【最終話:ありがとうセイラさん──静けさの中の最後のレッスン】
静かな別れ、やわらかな旅立ち
冬の足音が近づく午後、図書館の窓から淡い光が差し込んでいた。 真理は、いつもの場所──あの丸テーブルに、一人で座っていた。
最近、なぜか星来と会うことがなくなった。
今日も、星来の姿は見えない。
机の上には、ノートが一冊。 そのページの端には、走り書きのような文字が残されている。
“答えを知っている必要はないよ。感じながら、進めばいい。”
(…セイラさん、もう来ないのかな) けれど、不思議と不安ではなかった。
真理: (セイラさん、今日も会えなかったな…。 でも、なんとなく会えなくなるような気はしていたんだ…。 セイラさんに、もう頼らなくても大丈夫って思えるようになってきたから…)
セイラ(心の声): そう。もう、真理ちゃんの中に“わたし”はいるから。
真理: (前の私なら、不安でたまらなかった。 けれど今は、不思議と心が穏やかなんだ。)
セイラ: わたしはずっと、あなたの中にいた存在。 あなたが“自分の声”を信じられるようになるまで、 その外側に姿を借りて現れていただけ。
真理: (セイラさん、ありがとう。私は変わったよ。…ううん、違う。思い出せたんだ、本当の自分を。)
セイラ: うん。 答えは、いつでもあなたの中にある。
最後のページを閉じるように、 真理はノートをカバンにしまった。
光の射す窓辺には、もう誰もいない。 だけど、心の中には確かな“灯”があった。
──もう、迷ってもいい。 ──わからなくても、進んでいい。 ──私は、私と一緒に、生きていく。
小さく息を吸って、真理は図書館をあとにした。 扉が静かに閉まり、新しい季節の風が頬を撫でた。
その先には、まだ見ぬ世界が広がっている。 でももう、ひとりじゃない。
それは、“自分の中にいるセイラ”と歩む、 真理自身の人生のはじまりだった。
(『自分軸』真理編 完)あとがきへ
いいなと思ったら応援しよう!
記事がお役に立てたら嬉しいです♡応援していただけると、とても励みになります(❁´◡`❁)💖