会社員を辞めて博士課程へ① | 心理面の変化編
こんにちは、ノソノソ(妹、東大卒)です。
新聞記者を辞めて農学系の大学院の博士課程に入学してから、あと少しで1年が経とうとしています。
最近は京都で自由を謳歌するトコトコ(姉、京大卒)に多く投稿してもらっていますが、そんな姉を盾に(?)、私も笹を食むパンダのように気ままに生きています。
今回は、私が学生→社会人→学生とサンドイッチして気がついたことを書きました。
※私のプロフィールを簡単に紹介しますと、東大の農学部で学士・修士号を取得→新聞社で2年間記者として勤務→昨年辞めて別の大学の農学系の博士課程に入学しています。
【結論】 劇的な変化はなかった
学生=暇、は幻想だった
皆さんは、学生に戻ったら何をしたいですか?
有給残数を気にせず平日に遊びたい、学割を使いたい…など、社会人になり失われた権利を大いに行使したい、と私は思っていました。
特に、私が新聞社を辞めるまでの3か月ほどは、怒涛の出張&取材ラッシュ。新聞記者として働けなくなると思うと口惜しさに仕事に熱が入り、退職日前日にも出張に行き、当日も取材で出会った方が主催するイベントに参加していました。

その頃の私は「学生に戻ったら暇になるんだ」と、これから始まる学生という身分に幻想を抱いていました。
ここまで読んで気がついたかもしれませんが、私はワーカホリック、つまり働かないと落ち着かない人間なんですね。落ち着きのない人間とも言います笑。
ご想像の通り、このような人間が学生に戻ったところで、スタンスが変わることはありませんでした。
感覚が狂うため平日に遊ぶことはなく、なんなら社会人のときより朝早くに家を出ています(新聞記者の出社は遅いので特に)。
The more 研究業績, the better な博士課程だと、このような"遊べない”傾向が強いのではないかと思います。
栽培試験に奮闘したエピソードはこちらのnoteに詳しく書いています。
貧乏暇なしとはよく言ったもので、「何かしなくちゃ」がベースにある精神的に貧乏な私は、結果的にセルフマネジメントぽい何かで自律しているように思います。
研究と仕事の比率が変わっただけ
とはいえ、社会人から学生へと急に身分が変化するので、病んだりしないか、燃え尽き症候群になったりしないかといった不安はありました。
しかし、幸いなことにその兆候は今のところありません。
それはなぜか。理由を考えると「研究と仕事の比率が変わっただけで、自分のスタンスに大きな変化がなかったから」なのではないかと気がつきました。
というのも、
≪社会人のとき≫ 仕事9割、研究1割
平日は仕事をしながら、
①退勤後に自分の研究の論文を書き出版(辛かった…)
②会社で隣の席だった同僚(博士号を持っていた)と研究を思いつき、学会で発表
③自費で学会を聴講
といったように完全に研究からは離れずに生活していました。
≪学生のいま≫ 研究9割、仕事1割
①記者関連の仕事の依頼が来る
②仕事で仲良くなった社内外の方々と、個人的な交流が続く
③記者時代に電話で頻繁に原稿のやり取りをしていた直属の上司から、いまだに電話がかかってくる →辞めたと認識されていない可能性があります笑
このように、主たる身分は変わったものの、主観としては比率が変わっただけです。研究もしたいしジャーナリズムも大切にしたい私の強欲さが、急激な変化の緩衝材になっているのではないかと思います。
研究者と記者の仕事は似ている
研究者と新聞記者というと仕事内容が違うと思われるかもしれませんが、どちらも経験して「やっていることの根底は同じなのではないか」ということに気がつきました。
理由① プロセスがほぼ一緒
どういうことかというと、理系の研究の流れは
仮説を思いつく→文献調査→実験→解析→論文執筆&出版→プレスリリース
です。
一方、新聞記者の主な仕事の流れは、
記事のテーマを思いつく→インタビュー→分析→記事を執筆→掲載
です。
データを自分で集めるか人に聞くかといった手法やスピード感の違いはあれど、仮説&検証、その後活字で広く周知するという点で同じだと思っています。
ちなみに、記者の"記事のテーマを思いつく”というのは、「世の中でこういう流れが出てきているのではないか」「データからこういうことが言えるのではないか」といった、記事のネタになる核心部分に自分で気がつく、ということです。
調査報道やいわゆる企画ものではこの"目利き”が重要だと思います。
理由② スペシャリストである
研究者は特定のテーマに特化しています。
一方の新聞記者は、扱うテーマは幅広いけれども最新トピックを知っている、という専門性があります。
それぞれの研究者が持つテーマの時間的変遷を縦串に例えるなら、新聞記者はその先端で横串を通しているイメージです。
このように、研究者と新聞記者は違う職業ながら、共通点があるなあと感じます。
そもそも、研究とメディアは密接に関わっています。研究をメディアが取材することは多いですし、逆に研究者がメディアの報道を受けて研究を始めることもあります。メディアと大学の共同研究もあります。
こうした中、両者の若干違う専門性をどちらも経験した、「ジャーナリズム精神を持った研究者」「研究者の角度を持つ新聞記者」が増えていくと面白い流れになると思います。
そういえば、博士号を持った新聞記者を増やす、とどこかの新聞で読んだ記憶があるのですが、その後の進展を聞きません。この計画はどうなったのでしょうか…笑。
とはいえ変わったこと
ここまで、社会人から学生になり、いかに思ったほど変化がなかったかをとうとうと説明してきました。とはいえ、さすがに多少の心理的・財政的変化がありました。
社会人で時間管理スキルを身につけた
社会人経験前の学生時代と比較し、だいぶ変わったなあと思うポイントです。
これを説明するには、修士時代の私のだらしなさを懺悔しなければなりません。
真面目そうな顔なのでバレたことはないのですが、結構とんでもない生活をしていました。
起きてからずっとYotubeをうだうだ見て、夕方に研究室に行って夜に帰っていました。しかし周囲からは「在宅で研究をしている」と思われていました。なぜなら顔が真面目そうだからです(2回目)。実態は全然違いました。
そんな生活を変えてくれたのが、新聞社への入社でした。
決まった時間の出社に加え、とにかく毎日締め切りに追われ、文字通り1分1秒を争うことも。時間に追われないように早めに仕事に手を付けることと、締め切りへの心理的耐性を培いました。
こうした経験を経て学生になったからか、決まった時間に研究室に行くことが苦でなくなりました。スケジュールを踏まえて余裕を持って発表資料の準備もできるようになりました。
優秀な人であればずっと学生の身分でも規律ある生活ができると思いますが、私の場合は社会人経験が良いスパイスになりました。修士時代の私からすると、異世界転生のチートものくらい大きな変化です。
私のように、修士から博士に進学する間に異世界を覗いてみるのも良いかもしれません。
作り笑いや相槌が減った
どういうことかというと、記者のときは「顔を覚えてもらうことが命」でした。そのため、さまざまな会合に出向いては笑顔を振りまいていました。取材でも相槌は多めで、なるべく厚意的に接する。もちろんスーツを着ているときは、誰かとすれ違うときはおじぎ。
しかしここで問題なのは、私はそういうのが得意ではないということ。
幸い大学では発表に相槌は必要なし、容赦なく突っ込んで良い、知らない誰かとすれ違う際に挨拶しないのが普通。真顔でいる時間も増えたと思います(笑)。
一度身につけた社会マナーは引っ込めて、大学生活を謳歌しています。
社会における大学の立ち位置を理解した
修士時代までの私は、農業分野だけをとってみても民間会社があまたあることや、大学で行う研究に社会が何を期待しているかなどを十分に知らずに学生生活を送っていました。
詳細は省きますが、新聞社に入って計数千人に取材する機会を得たことで、自分が大学にいることの意味を相対化できたと思います。
収入は減る
こちらは社会人と学生を比較した際の変化です。
当たり前かつ、同じような進路を考えている人には死活問題です。
「博士課程学生の懐事情」はこれだけでかなり分量が多くなってしまうのでここでは割愛します。
ざっくり言うと現在の私の収入は ①給付型の奨学金 ②RA(リサーチアシスタント)③アルバイト掛け持ち、で構成されています。
来年度からは学振DC2をもらう予定です。詳細はリクエストがあれば別の記事で書きます。
まとめ
さて、今回は社会人から学生に戻った1年の振り返りを書かせていただきました。
社会人から大学院進学を考えている人にとっては、物足りなかったかもしれません。
①大学院に行くのは働いてからの方がいい?
②社会人博士と退職して進学はどっちがいい?
③どうやって収入を得たらいい?
④修士と博士で大学と研究テーマを変えるのはぶっちゃけどうなの?など、疑問が尽きないかもしれません。
気になる方が多ければがんばって記事を書くので、この記事への「いいね!」や、コメントをお待ちしています。
あるいは「私も社会人を辞めて進学したよ!」など同志の方がいたらコメントで教えていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします🐼
(この記事は執筆ノソノソ、校正はすでに続きが読みたいトコトコがお送りしました)
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