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ネイビーよりもブルーを纏う:改

2026年6月8日、月曜日。猛暑や暴風の週末とは一変して、ニューヨークは久しぶりに気温が25度を下回った。おいおい、だいたいこんな上天気の日に限って月曜日だったりしないか。

僕は月曜日が嫌いだ。優雅に過ごした週末の夢見心地から、現実に一気に引き戻されるあの感覚。脳内が少しずつ憂鬱な青に染まっていく。月曜日ってマジでブルーだよなと思い始めたのは、思春期に観たアニメ「交響詩篇エウレカセブン」の第1話「ブルーマンデー」以来、ずっとそうだ。

退屈な毎日にうんざりしていた主人公レントン少年の家に、突如空から幻のLFOニルヴァーシュが墜落する。部屋は半壊、生活は一変。そういう始まりの話だ。予測不可能な急転直下。もちろん、そんなアニメ的なイベントが僕の現実に起きるわけがない。もし仮に、ベーグルを口にぶら下げたまま自転車のヘルメットを小脇に抱えて、角のデリを一目散に曲がってドン!なんてベタな衝突をこの街で起こしたら、恋が始まるどころか高確率で怒鳴り合いになる。人生はそんなに甘くない。

できることなら、朝起きてジムに行き、コールドシャワーを浴びてランニングをするような、テストステロン満載のルーティーンで平日を迎えたい。でも、僕の月曜日はただひたすらどんよりしたブルーだ。テストステロンなんて高望みはしない。ベストコンディション(維持)で精一杯。お気に入りの服を着て、香水を振りまいて、メロウなテンションで出勤する。いつもなら迷わずネイビーに手が伸びる、でも今日は昨日ゲットしたばかりの、真新しいKnicksのTシャツを着ていくことにした。

だって今、この街でKnicksのブルーを身に纏うこと以上に、ニューヨークっぽいことなんてないからだ。

今、街はNBAファイナルの真っ最中。ニューヨーク・ニックスは27年ぶりのファイナル出場を果たし、敵地で2連勝、破竹の13連勝を成し遂げてマディソン・スクエア・ガーデンに帰ってきた。そして今日運命の第3戦。なにせ最後に頂点に立ったのは1973年、半世紀も前のことだ。この街はずっと、あと一歩のチームを愛し続けてきた。

街を見渡せば、右も左もニックスのユニフォームやキャップで溢れかえっている。子供も大人も、観光客も、僕と同じように月曜日が憂鬱だったはずのサラリーマンでさえも、一様にオレンジとブルーの期待を胸に膨らませている。

すれ違う僕に、街のみんなは「KNICKS IN 4 !」と声をかけてくる。僕は少し照れ臭くなりながら、すかさずブランソンポーズで顔を隠すんだけど。

アパートの階段を駆け上がる。鍵を回してドアを開ければ、窓の外に広がる空は夕暮れ深いオレンジと青に染まっていた。テレビの電源を入れてソファに腰掛ける。憂鬱だったはずの僕の月曜日は、この街の熱狂的な群青に飲み込まれて、いつもより少し鮮やかだった。

パブリックビューイングに飛び込みたい気持ちをグッと堪え、今日は大人しく家にいよう。僕らのホームコートで、歴史が変わる瞬間を見届けるために。

追記:ニックスが負けたから、やっぱり月曜日は嫌いだ。

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