なぜ「見逃された房」を公開するのか。三ツ星ヴィンヤードが大切にする正直な栽培記録 シャインマスカットVol.4
こんにちは。
山梨県で理想のぶどう作りを目指している三ツ星ヴィンヤードです。
今回は「うまくいかなかったこと」をお話ししたいと思います。
SNSや店頭に並ぶシャインマスカットは、美しく整った房ばかり。
でも、その裏側では毎年たくさんの試行錯誤があります。
良いことだけではなく、失敗から学ぶこともまた、栽培技術の一部です。
だから今回は、その一例をご紹介します。
手作業だからこそ起こること
ぶどう作りの多くは、人の手で行います。
房づくり。
ジベレリン処理。
摘粒。
そして収穫。
機械が自動で仕上げてくれるわけではありません。
畑を歩き、一房ずつ目で確認し、一房ずつ手を入れていく。
その積み重ねで、一房のシャインマスカットができあがります。
だからこそ、どれだけ注意していても、現場では思いがけないことが起こる場合があります。
房づくりを見逃した房
今回見つけた房のひとつです。
本来であれば、ジベレリン処理の前に房づくりを行い、不要な部分を整理します。
しかし、この房はその工程から漏れてしまいました。
このままでもぶどうには育ちます。
ですが、私たちが目指しているシャインマスカットの房とは大きく異なります。
改めて、房づくりの重要性を教えてくれた房でした。

1回目のジベレリン処理を逃した房
もう一つはこちら。
おそらく1回目のジベレリン処理を受けられなかった房です。
粒数は少なく、房の形も通常とは大きく違います。
1回目のジベレリン処理には、種なし化だけではなく、着果を安定させる大切な役割があります。
その工程が一つ抜けるだけで、ここまで違いが現れる。
私自身にとっても、改めて管理の重要性を実感する機会になりました。
完璧を目指していても、畑は生きています
何千房ものぶどうを管理していると、
「絶対に見逃さない。」
そう言い切ることは簡単ではありません。
葉の陰に隠れていたり。
成長のタイミングが少し違っていたり。
ほんの数日で姿が変わっていたり。
畑は毎日変化しています。
だから私たち農家は、何度も畑を歩き、何度も確認しながら、一房一房と向き合っています。
完璧を求め続けること。
その積み重ねこそが、品質につながると考えています。

良い房は商品に。
そうでない房は、未来の先生に
収穫されたすべての房が、お客様のもとへ届くわけではありません。
品質基準を満たした房だけを選び、お届けしています。
一方で、今回のような房は商品にはなりません。
ですが、決して無駄ではありません。
「なぜこうなったのか。」
「次はどうすれば防げるのか。」
そう考えさせてくれる、大切な教材です。
良い房は、お客様へ。
うまくいかなかった房は、来年以降の栽培技術へ。
その両方があって、農園は少しずつ成長していきます。
正直な記録を、これからも
私は、このnoteでは成功だけを並べるつもりはありません。
うまくいったことも。
思うようにいかなかったことも。
その両方を記録していくことで、ぶどう作りのリアルをお伝えしたいと思っています。
そして、お客様へお届けする一房は、こうした試行錯誤と品質管理を積み重ねた中から選ばれたものです。
今年も、一房一房に責任を持ちながら、皆さまに「また食べたい」と思っていただけるシャインマスカットを育てていきます。
