なぜ、全房を一度に処理できないのか?見極める「最高のタイミング」 シャインマスカット編Vol.2
こんにちは。
山梨県で理想のぶどう作りを目指している三ツ星ヴィンヤードです。
昨年はマイハートの栽培記録を中心に発信していましたが、今年は主力品種であるシャインマスカットの栽培についても、できるだけリアルにお伝えしていきたいと思います。
今回は、ぶどう栽培の中でもとても重要な作業のひとつ、「ジベレリン処理(1回目)」です。
種なしぶどうは、ここから始まる
5月後半。
畑ではシャインマスカットの花が咲き始め、いよいよジベレリン処理の時期を迎えました。
ジベレリン処理は、種なし化や果粒肥大につながる大切な工程です。
ですが、この作業は「今日は全部終わらせよう」というわけにはいきません。
実は、一房一房、それぞれに最適なタイミングがあります。
同じ畑でも、成長はみんな違う
畑を歩いていると、すでに処理できる房もあれば、まだ開花途中の房もあります。
同じ樹になっていても、成長のスピードは驚くほど違います。
花が房の下まで咲き、満開になった房。
粒が見え始め、今まさに処理に適した状態です。
ここで専用の容器に入れたジベレリン液へ、一房ずつ丁寧に浸していきます。
毎年この作業を始めると、「今年もぶどうのシーズンが始まったな」と実感します。


「待つ」という判断も技術
一方で、まだ花が咲ききっていない房もあります。
こうした房を焦って処理すると、粒の揃いや肥大に影響することがあります。
だから今回は見送りです。
収穫を急ぐのではなく、その房にとって一番良いタイミングを待つ。
農業では、この「待つ」という判断も大切な技術のひとつです。
数日違うだけで、夏にできあがる房の姿が変わることもあります。
だから私は毎日畑を歩き、一房一房の表情を見ながら、「今日処理する房」と「もう少し待つ房」を判断しています。
ぶどう作りは、木と対話する仕事なのだと改めて感じる瞬間です。
小さなピンにも理由があります
まだ処理できない房には、小さなピンで印を付けています。
次に畑へ来た時、「どの房を確認すればいいのか」がすぐに分かるようにするためです。
ほんの小さな工夫ですが、こうした積み重ねが品質のばらつきを減らし、一房一房を最適なタイミングで管理することにつながります。
ぶどうは相手が自然だからこそ、人ができる管理はできる限り丁寧に。
それが三ツ星ヴィンヤードの栽培で大切にしている考え方です。

ここから、ぶどうらしい姿へ
今はまだ、小さな花が咲いているだけの房。
ですが、これから摘粒、房づくり、袋掛け、傘掛けと、一房ずつ手作業で育てていくことで、美しいシャインマスカットへと成長していきます。
この一粒一粒にかける手間と時間が、夏に皆さまへお届けする一房につながっています。
今年も、このnoteでシャインマスカットが育っていく様子を、できるだけリアルにお届けしていきます。
小さな花が、やがて宝石のような一房になるまで。
ぜひ、その物語を最後まで見守っていただけたら嬉しいです。
