職務経歴書は「全部」読まれていない? — 人事・部長・社長で変わる「採用の判断基準」視点を知れば転職は変わる
転職活動を始めると、多くの人が一度は悩みます。
「職務経歴書って、何を書けばいいんだろう?」
これまで担当してきた仕事を細かく書く。
プロジェクトを並べる。
資格を書く。
自己PRを頑張って書く。
もちろん、どれも間違いではありません。
しかし、ここで一つ知っておきたいことがあります。
採用担当者は、あなたの職務経歴書を「最初から最後まで、じっくり読んでいる」とは限りません。
むしろ最初は、
「この人は、今回のポジションに合いそうか?」
という視点で、短時間で全体を見ています。
つまり、職務経歴書で重要なのは、
「自分が伝えたいことを全部書くこと」
ではなく、
「採用担当者が知りたいことを、すぐ見つけられるようにすること」
なのです。
まず見られるのは「何ができる人なのか」
採用担当者が職務経歴書を見るとき、最初に知りたいのは、
「この人は結局、何ができる人なのか?」
ということです。
例えば、
・営業経験5年
・法人営業を担当
・新規顧客開拓
・既存顧客フォロー
・営業資料作成
・社内調整
・後輩指導
と書かれていたとします。
仕事内容は分かります。
しかし、これだけでは、
「この人を採用したら、何を任せられるのか?」
が少し分かりにくい。
一方、
「大手法人向け新規開拓営業を中心に、年間○億円規模の売上を担当。新規顧客○社を開拓し、チーム内でも上位の営業成績を達成」
と書かれていれば、印象は変わります。
採用担当者が知りたいのは、
「営業をやっていました」
ではなく、
「どんな営業ができて、どんな成果を出せる人なのか」
だからです。
「業務内容」と「実績」は分けて考える
職務経歴書でありがちな失敗が、
「やったこと」だけを書いてしまうことです。
例えば、
「法人営業を担当」
「新規顧客へのアプローチ」
「既存顧客のフォロー」
「提案資料の作成」
これでは、仕事内容の説明で終わっています。
ここに、
「年間○件の新規契約を獲得」
「売上○万円を達成」
「前年比○%増」
「営業成績○位」
「業務改善によって作業時間を○%削減」
などの「結果」を加える。
すると、
「何をした人なのか」
から、
「何ができる人なのか」
へ変わります。
採用担当者が評価しやすいのは、後者です。
では、採用担当者はどこを見るのか?
もちろん企業やポジションによって異なりますが、一般的には次のようなポイントが重要になります。
① 職種・経験
まず、
「今回募集している仕事と近い経験があるか」
です。
営業職なら営業経験。
経営企画なら経営企画・事業企画などの経験。
マーケティングならマーケティング関連の経験。
当然ですが、募集ポジションとの関連性が重要です。
② 具体的な実績
次に、
「その仕事で何を成し遂げたか」
です。
ここでは数字が強い武器になります。
売上、利益、顧客数、達成率、前年比、コスト削減率、プロジェクト規模など。
数字で表せるものは、できるだけ数字にする。
「多くの顧客を担当」
より、
「約100社を担当」
のほうが当然伝わります。
「営業成績が良かった」
より、
「年間目標120%を達成」
のほうが伝わります。
③ 仕事の規模
意外と見落とされやすいのが、
「どれくらいの規模の仕事をしていたか」
です。
例えば、
・売上規模
・顧客規模
・担当社数
・チーム人数
・プロジェクト規模
・予算
・担当エリア
など。
同じ「マネージャー」でも、
3人のチームを管理していたのか、
30人の組織を管理していたのかでは意味が違います。
採用担当者がイメージできるようにすることが重要です。
④ 「自分が何をしたのか」
プロジェクト経験を書くときにも注意が必要です。
例えば、
「新規事業立ち上げプロジェクトに参加」
だけでは、あなた自身の貢献が分かりません。
採用担当者が知りたいのは、
「そのプロジェクトで、あなたは何をしたのか?」
です。
例えば、
「市場調査を担当」
「事業計画の策定を担当」
「営業戦略を立案」
「○社とのアライアンスを実現」
など。
チームで仕事をした場合ほど、
「自分の役割」
を明確にすることが重要です。
⑤ 転職回数・在籍期間
採用担当者は、仕事内容だけを見ているわけではありません。
職歴全体も見ています。
例えば、
「なぜこの会社から、この会社へ移ったのか?」
「短期間で転職を繰り返していないか?」
「キャリアに一貫性はあるか?」
といった点です。
ただし、転職回数が多いことだけで必ず不利になるわけではありません。
重要なのは、
「その転職に合理的な理由があるか」
「転職によって何を積み上げてきたのか」
です。
転職するたびに、
「営業→営業→営業」
であっても、
「中小企業向け→大手企業向け→エンタープライズ営業」
のように専門性が深まっているなら、キャリアの一貫性として説明できます。
「自己PR」は最後に考えてもいい
職務経歴書を作るとき、
「自己PRをどう書こう?」
と最初に悩む人がいます。
しかし、個人的には、
自己PRは最後でいいと思います。
先に、
「これまで何をしてきたのか」
「何を達成したのか」
「何ができるのか」
を整理する。
その上で、
「だから私は、この会社でこういう価値を提供できます」
とつなげる。
この順番のほうが、説得力のある自己PRになります。
職務経歴書は「自分の歴史」ではない
ここが、職務経歴書を書くうえで最も重要な考え方かもしれません。
職務経歴書を見ると、
「これまで自分がやってきたことを全部書かなければ」
と思ってしまいます。
しかし、採用担当者が知りたいのは、
「あなたの人生のすべて」
ではありません。
知りたいのは、
「このポジションで活躍できそうか」
です。
だから、
「何をやったか」
だけではなく、
「今回応募する仕事と、どうつながっているか」
を意識する。
同じ人でも、職務経歴書の書き方で評価は変わる
例えば、同じ営業経験5年の人でも、
Aさん:
「法人営業を5年間経験。新規顧客開拓、既存顧客フォロー、提案資料作成などを担当。」
Bさん:
「法人営業として5年間、大手企業を中心とした新規開拓を担当。年間○億円規模の売上を担当し、新規契約○社を獲得。営業プロセスを改善し、チームの受注率を○%向上させた。」
どちらも「営業5年」です。
しかし、採用担当者が持つ情報量は大きく違います。
Bさんのほうが、
「この人なら何を任せられるか」
を想像しやすい。
つまり、
職務経歴書とは、
「自分の経験をたくさん書く書類」
ではなく、
「自分の市場価値を相手に理解してもらう書類」
なのです。
最後に、職務経歴書を書く前に考えたい5つの質問
もし今から職務経歴書を作るなら、いきなり文章を書き始めるのではなく、まず次の5つに答えてみてください。
① 私は何の仕事ができる人なのか?
② これまで、どんな成果を出してきたのか?
③ その成果を出すために、自分は何をしたのか?
④ 自分の強みは、他社でも再現できるものなのか?
⑤ 応募する企業が、自分を採用するメリットは何なのか?
この5つが明確になれば、職務経歴書はかなり書きやすくなります。
「自分が伝えたいこと」から「相手が知りたいこと」へ
転職活動では、
「自分はこんなに頑張ってきた」
と伝えたくなります。
もちろん、それは大切です。
でも、採用担当者が見ているのは、
「この人を採用したら、うちの会社で活躍してくれるだろうか?」
という一点です。
だからこそ、
「何をやってきたか」
だけではなく、
「何ができるのか」
「どんな成果を出せるのか」
「この会社でどう活躍できるのか」
まで伝える。
それが、職務経歴書を「経歴の説明書」から「自分を売り込む営業資料」に変えるポイントです。
転職活動を始めるときは、まず求人を探す前に、
「自分は市場で何を評価される人間なのか?」
を考えてみてください。
そこが明確になるほど、応募する企業も、職務経歴書の書き方も、面接で話す内容も変わってきます。
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