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NVIDIA COMPUTEX 2025基調講演:新たな産業革命の幕開け

台湾で開催されたCOMPUTEX 2025におけるNVIDIA CEO Jensen Huang氏の基調講演は、AIとロボティクスが切り拓く未来像を鮮明に描き出しました。

30年以上にわたってNVIDIAが台湾と築いてきたパートナーシップ、そして世界最重要のコンピューターエコシステムの中心地である台湾から発せられたメッセージは、「まったく新しい産業」の創造という変革の始まりを告げるものです。

今回は、そのエッセンスをお届けしたいと思います。ぜひ興味を持った方は元動画を視聴してみてください。

AIインフラ企業への進化

NVIDIAは、従来のテクノロジー企業から、電気やインターネットに続く新たなインフラ革命の担い手である「AIインフラ企業」へと進化したと宣言した。この新しいインフラは「インテリジェンス」と名付けられ、あらゆる地域、産業、企業にとって不可欠な存在となっている。

AIインフラが生み出す最も価値ある産物は「トークン」である。トークンはAIの構成要素として、画像の科学データ変換から異星大気の図表化、都市の再現、現代的課題の解決、物理法則の解明、疾病の早期発見、人間動作の研究、ロボット教育に至るまで、文字通り「無限の可能性」への扉を開く。データセンターは、このトークンを生成する「AIファクトリー」として機能し、世界規模で数兆ドルの建設投資を呼び込んでいる。

技術基盤の拡張

NVIDIAの技術基盤は、アクセラレーテッドコンピューティングとAIの融合、そしてCUDAと広範なライブラリ群に根ざしている。cuPyNumeric、Aerial、Sionna、Parabricks、MONAI、Earth-2、cuQuantum、cuLithoといったライブラリが、5G/6G無線信号処理、ゲノム解析、気象予測、量子コンピューティング、計算リソグラフィなどの多様な科学分野・産業分野での技術応用を可能にし、市場拡大を牽引している。

AI進化の三段階

AIは「理解する」認識能力から始まり、「生成する」生成AIを経て、「推論する」エージェント型AIへと段階的に進化している。エージェントAIは目標の段階的分解、思考、ツール活用、他AIとの連携といった能力を備え、デジタルワーカーとして世界的な労働力不足を補完する役割を担う。さらには、慣性や摩擦、因果関係といった物理原則を理解する「物理(Physical)AI」が登場し、現実世界でのAI応用を加速させている。

Grace Blackwell:次世代プラットフォーム

このAI進化を支える新たなコンピューティングプラットフォームとして、Grace Blackwellが発表された。推論AIに必要な計算能力を提供するために設計されたGrace Blackwellは、複数のコンピューターを「スケールアップ」し、巨大な単一コンピューティングユニットとして機能させる。Blackwellは前世代比で推論性能が1.5倍向上し、その核心技術はNVLinkスイッチとスパインにある。毎秒130テラバイトの帯域幅を持つNVLinkスパインが72個のGPU(144個のGPUダイ)を連携させ、一つの巨大なGPUとして動作させる。

台湾エコシステムとの協創

Blackwellのような複雑なシステムの製造は、台湾の強固なテクノロジーエコシステムなくしては実現不可能だった。TSMCのCoWoSプロセス、SPILやAmcorでのアセンブリ、KYECでのテスト、Foxconn、Wistron、Quanta、DELL、ASUS、Gigabyte、HPE、Supermicroなど、150社におよぶパートナー企業がBlackwellシステム全体の製造を支えている。NVIDIAはさらに、台湾政府、TSMC、Foxconnと協力し、台湾初の大規模AIスーパーコンピューター構築を発表した。

柔軟なAIインフラ構築

企業が独自のAIインフラを柔軟に構築できるよう、NVIDIAはNVLink Fusionを発表した。これはNVIDIAのCPU・GPUに加え、カスタムASICや他社製CPUをNVLinkチップレットを介して接続し、極めて強力なスケールアップシステムの構築を可能にする技術である。

AIワークロードに対応するため、NVIDIAは多様なコンピューターを提供する。AIネイティブ開発者向けのデスクサイドAIクラウド「DGX Spark」、より高性能なデスクサイドスーパーコンピューター「DGX Station」、そして既存のエンタープライズIT環境で従来ワークロードと新しいAIエージェントワークロードを両立する「RTX PRO Enterprise Server」である。RTX PRO Serverは新しいCX-8チップによりGPU間の高速ネットワーク接続を実現し、卓越したパフォーマンスを発揮する。

データプラットフォームの革新

エンタープライズITの変革において、AIデータプラットフォームも不可欠である。AIが非構造化データを理解するには、セマンティック検索に特化した新しいストレージシステムが必要となる。NVIDIA AI-Qと呼ばれる新しいクエリシステムやNeMo Retrieverは、高速かつ高精度な意味検索を可能にし、セールスリサーチAIエージェントといった具体的応用を生み出している。また、AIエージェントの管理・運用を効率化するAIOpsエコシステムの構築も進んでいる。

ロボティクス革命の中核

物理世界での変革の中心はロボティクスである。ロボットは物理法則を忠実に再現する仮想世界でのシミュレーション(Omniverse、Newton物理エンジン)を通じて、効率的な「ロボット学習」を行う必要がある。NVIDIAは、ロボット開発プラットフォームIsaac GR00Tと、人間のデモンストレーションデータをAIで拡張・増幅してロボットトレーニングを加速する「GR00T-Dreams」を提供している。

工場自体のロボット化・ソフトウェア定義化も進展し、デジタルツインが設計、シミュレーション、最適化、ロボットトレーニングに不可欠なツールとなっている。TSMC、Foxconn、Quantaなどの台湾企業がOmniverse上でデジタルツインを活用し、製造プロセスの改善とコスト削減を実現している。

台湾との絆の深化

基調講演の締めくくりとして、台湾におけるNVIDIAの新オフィス「NVIDIA Constellation」の建設地が台北の北投士林に決定したことが発表された。これは台湾とのパートナーシップがさらに深化することを象徴している。

AIファクトリー、エージェントAI、ロボティクス——NVIDIAは台湾のパートナーと共に、従来のIT産業の枠を超えた「まったく新しい産業」の創造に挑んでいる。今回の基調講演は、その壮大なビジョンと、変革の中心地としての台湾の重要性を鮮明に印象づけた。

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