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田中みな実の新「au PAY カード」CMは、なぜスペックを語らないのか

10年以上前のソフトバンクCMと同じ"勝ち筋"

クレジットカードのCMといえば、「年会費永年無料」「ポイント最大〇倍」と、機能(スペック)を畳みかけるのが王道だ。

ところが、2026年5月19日から全国で流れている田中みな実さん出演の新「au PAY カード」CM「新しいって、嬉しくない?」篇は、その王道をきれいに外してくる。具体的な数字はほとんど出てこない。残るのは、田中さんの次々と決まるポーズ、虹色のカード、そして耳に残る軽快なメロディだけだ。

この"あえて語らない"という設計。実はこれ、10年以上前に放送されたソフトバンクのある名CMと、驚くほど同じ発想でできている

1. 「説明」ではなく「印象」で刻みにいく

このCM、まず音楽が効いている。流れているのはラグタイムの名曲「The Entertainer」を現代風にアレンジしたもの。
一度聴けば誰でも口ずさめる、あの軽やかなメロディだ。

そこに乗るのが、ダンサー・振付師のNOSUKE(のすけ)さんが手がけた決めポーズ。顔の横でカードを見せる、振り返りざまにのぞかせる
田中さん自身が「カードの向きはミリ単位で直してもらった」と語るほど作り込まれた動きが、テンポよく切り替わっていく。
狙いはNOSUKEさん言うところの"登場感"だ。
理屈で説明する代わりに、「つい目で追ってしまい、気づけば真似したくなる」という身体感覚で、新しいカードの存在を脳に焼き付けにいっている。

衣装も白で統一されている。
背景も田中さんもシンプルにまとめることで、虹をモチーフにした新デザインのカードだけが画面で際立つ。
「新しくなりました」と一言も言わずに、ビジュアルだけで"刷新"を伝えているわけだ。

2. 2012年のソフトバンク「アヤ変身」と同じ構造

「プロダクトの特徴を、スペックではなく演者の視覚的インパクトで表現する」。この手口、見覚えがある人も多いはずだ。

2012年、ソフトバンクのPANTONEケータイのCM。
上戸彩さん演じる"アヤ"が、色とりどりの衣装をまとって画面いっぱいに増えていく、あの「アヤ変身」篇である。
流れていたのはノーランズの「ダンシング・シスター(I'm in the Mood for Dancing)」
1979年の大ヒット曲で、これまた一度で耳に残る一曲だ。

このCMが伝えたかったのは「20色のカラーバリエーション」という当時の端末の強み。
だがそれを数字で語らず、「色とりどりに増えていく上戸彩」という映像のインパクトで、直感的に分からせた

並べてみると、構造がそっくりなのが分かる。

  • 耳に残るキャッチーな楽曲
    (au:The Entertainer/SB:ダンシング・シスター)

  • 演者の身体表現で製品の特徴を可視化
    (au:決めポーズで"登場感"/SB:増殖で"カラバリ")

  • スペックの数字は前面に出さない

10年以上前の上戸彩さんの動きを、いまだに「あのCMね」と思い出せてしまう。その事実こそが、「理屈ではなく、音楽と映像で直感に刻む」という手法の強さを物語っている。

3. スペックを伏せられるのは、土台が強いから

ではなぜ、金融商品でありながら数字を伏せる勝負に出られるのか。裏を返せば「わざわざ説明しなくても、中身はすでに強い」という自信の表れでもある。

今回のリニューアルでデザインが一新されたのは「au PAY カード」と「au PAY ゴールドカード」の両方だ(2026年3月)。

ここで間違えやすいのが、通常の「au PAY カード」は、au PAY 残高にチャージしただけではポイントがつかないという点。
ポイントの"二重取り"が本領を発揮するのは、上位の「au PAY ゴールドカード」のほうだ。

ゴールドカードの強さは、まず毎月の固定費に直結する。
本会員ぶんはもちろん、家族カードぶんも含めたau/UQ mobileの通信料、さらにauひかりの利用料が、いずれも最大10%還元(通常1%+ゴールド特典9%)。
そのうえでau PAY 残高へのオートチャージで最大5%、決済分0.5%と合わせて最大5.5%
年会費は11,000円(税込)だが、家族の通信費までまとめてしまえば、この10%還元だけで早々に元が取れてしまう計算だ。

つまり、「語ろうと思えばいくらでも語れる」土台がある。
だからこそ、ユーザーとの最初の接点であるCMでは、細かい数字を潔く伏せ、表現のすべてを"認知"と"ブランドの空気感"に振り切れる。
スペックは、興味を持った人が後から調べたときに必ず効いてくる。要は順番の問題なのだ。

4. まとめ:無機質なものを「気になる」に変える技術

田中みな実さんの新CMも、かつての上戸彩さんのCMも、本来は無機質になりがちな「決済サービス」や「携帯端末」を、人の身体と衣装と音楽を使って、感情に訴えるものへと変換している

数字や理屈をいったん脇に置き、「なんだか気になる」「新しくなったんだな」と一瞬で思わせる。情報が洪水のように流れていくいまの時代に、"理屈の前に印象を取りにいく"この戦い方は、想像以上に効く

次にあのメロディが流れてきたら、つい手が動いてポーズを真似していないか?
それこそが、このCMが狙いどおりに機能している、何よりの証拠だ。

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