予言の魚|毎週ショートショートnote
世間を騒がせた「予言ギョ」。腹に浮かぶ文字が未来を言い当てる、透明な魚だ。
「明日、満員電車で足踏まれる」
「午後、総理くしゃみ」
──どれも的中。テレビは連日生中継。
そんな中、私は思った。
「食えば…予言者になれる?」
深夜、水族館に忍び込み魚を強奪。
フライにして塩とレモンで平らげた。
翌朝、腹がゴロゴロ鳴り、脳内に、自分の声ではない、乾いた魚臭い囁きが走った。
「今日、上司ネクタイ忘れる」
出社すると、課長は素首。
「明日、スーパーのカレー半額」
狙って行けば本当に半額。私は小躍りした。
テレビ局に売り込むと「魚じゃなきゃ帰って」。SNSでは「自称イタい予知おじ」と炎上。
職も失い、駅前で予言を呟く毎日。誰も信じない。
母だけが、温め直したカレーを出し、「夕飯の残りだけどね」と笑う。
私は静かに腹をさすった。
その奥から、声が響く。
「明日の朝も、カレー」
──それは、回避不能の未来だった。
(386文字)
今回参加させていただいたのは、いつも感謝。
こちらの企画になります。
いいなと思ったら応援しよう!
もしこの記事が少しでも役に立ったり、楽しんでいただけたりしたら、チップをいただけるととても嬉しいです!
いただいたチップは、今後のより良いコンテンツ制作のための書籍代📚とnote購入🗒️、他の方へのチップ代💰に使わせていただきます。
いつも応援ありがとうございます!