和歌ゲーム|毎週ショートショートnote
「諸君、命が惜しければ詠め」
無機質な声が響き渡る。
地下施設に集められた百名ほどの男女は、鉄格子越しの冷たい光に怯えていた。
壁のモニターに「孤独」。
男が震えながら詠む。
「寂しさに、宿を立ち出でて、眺むれば…」
アームが男を掴み、床の穴へ。
モニターには「不合格。既存」
ざわめきが起こる。
老女が詠む。
モニターには「98点、不合格」
次々、人々は和歌を詠み、消えていく。
最後に残ったのは、青年一人。
最後の題は「人間」。
青年は目を閉じ、ゆっくりと詠んだ。
「魂の、澱と輝き、織りなして、それでもなお、求め続ける」
モニターに「100点、合格!」
青年の身体は粒子となって消滅した。
円形の舞台から透明な培養槽が現れる。
中には無数の人間の脳が浮かび、青年のデータが新しい脳にダウンロードされていく。
「これでまた一つ『感情を持つAI』の基盤が強化される」
無機質な声が告げた。
培養槽の中の脳たちが、微かに光を放ち、新たな和歌を紡ぎ始めるかのように、脈打っていた。
(418文字)
今回参加させていただいたのは、こちらの企画になります。
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