たいてい序盤に|毎週ショートショートnote
男は困惑していた。
目の前の機械は「未来予測装置」だという。
ディスプレイには
「あなたの人生における予期せぬ出来事は『たいてい序盤に』起こります」と表示されていた。
序盤とはいつだ?数日か、数週間か。
その夜、男は装置に従い早く寝た。
翌朝、目覚めると見知らぬ豪華な客船の一室。
甲板に出ると、優雅な老婦人が彼に微笑みかけた。
「あら、私の相続人、ようやくお目覚めかしら」
男は混乱したまま、自分が何者か記憶がないことに気づく。
その瞬間、船が大きく揺れ、轟音と共に真っ二つに。
男は海へ投げ出された。
意識が遠のく中、彼は思った。
「どうやら、予期せぬ出来事は、たいてい序盤に起こるものらしいな……」
次に目覚めたのは、柔らかいベッドの上。
傍らには威厳ある老人がいた。
「おお、目覚められたか、大帝ジョバンニよ」
男の頭に、膨大な記憶が流れ込む。
銀河帝国を統べる自身の記憶。
これまでの出来事は全て夢だったのか。
未来予測装置の予言は正しかったのだ。
彼の人生における「予期せぬ出来事」とは、海難事故でも相続でもなかった。
それは「大帝ジョバンニ」として目覚めること。
そしてそれは、彼の壮大な人生の、まさに序盤に起こったのだった。
(497文字)
今回参加させていただいたのは、いつも感謝。
こちらの企画にの裏お題になります。
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