インテリジェント・アスリートって? 「考えて動ける選手」が育つ理由を講習会で学んできました。
同じ練習をしているのに、
なぜか伸びる選手と、伸び悩む選手がいる。
同じ勉強内容なのに、
なぜかすぐに理解出来る生徒と飲み込むのに時間がかかる生徒がいる
指導をしていると、そんな場面に何度も出会います。
その差は、体格やセンスだけでは説明できません。
では、その違いはどこから生まれるのか。
どうすれば子どもたちは「考えて動ける選手・生徒」に育っていくのか。
先日、そのヒントを探すために
「インテリジェント・アスリート育成」に関する講習会に参加してきました。
今回の記事では、講習会で学んだことを指導の現場だけでなく
実際にスポーツをしている子どもたちや保護者の方にも伝わる形でまとめています。
1. はじめに
参加のきっかけは、自宅に届いた案内でした。
内容を見てみると、この分野でとても有名な先生が登壇されること。
そして自分の知り合いの先生もパネリストとして出席されると知り「せっかくの機会だから行ってみよう」と思ったのが正直なところです。
テーマ自体にも興味があり、自然と参加を決めました。
普段の指導の中で、大きな課題を感じているわけではありません。
ただ、全国大会で活躍する選手を輩出している先生方や、その分野の第一線で活躍されている方々の考え方と今の自分の指導との間に違いがあるのか。
また、今後に活かせるヒントがないか。
それを知りたくて、今回の講習会に足を運びました。
この記事では、
講習会を通して自分が感じたことや学んだことを指導者の方や学校の先生、保護者の方、そして実際に選手として頑張っている人たちに向けてまとめています。
すぐに答えが出るものではないかもしれませんが、
何かひとつでも、前に進むための“きっかけ”や
ヒントのようなものを届けられたら嬉しいです。
2. インテリジェント・アスリートとは?
「インテリジェント・アスリート」とは、
状況を理解し、自分で判断し、自分で最適な動きを選択できる選手 のことを指します。
単に走る・跳ぶ・投げるといった“身体能力の高さ”だけではなく、
そこに 思考力・戦術理解・問題解決能力 が備わっている状態です。
スポーツの世界では近年、
「言われた通りに動くだけの選手」では勝ち切れないと言われています。
必要なのは、瞬間的な状況変化に対して 脳と身体をセットで使う選手 です。
▼ インテリジェント・アスリートに必要とされる力
状況判断力(何が起きているかを読み取る)
決断力(どう動くかを自分で決める)
実行力(選択した動きを素早く実行する)
振り返り力(結果から学び、次に活かす)
特に育成年代では、ただ技術を詰め込むよりも、
「考えて動くクセ」をつけること が将来の成長スピードを大きく左右すると言われています。
この考え方が「インテリジェント・アスリート育成」の中心です。
3.講習会で特に印象に残ったポイント
■ デュアルキャリアという考え方
講習会の冒頭でまず印象に残ったのが、
「デュアルキャリア」 という考え方でした。
選手として活動している間は、もちろん競技一筋でいい。
ただ、アスリートの多くは30歳前後で競技を引退するケースが多く、その後の人生の方が圧倒的に長いという現実があります。
競技を引退したあと、人は社会人として生きていく。
そのときに、アスリートとして培ってきた力が“価値”となり、さらに人としてのキャリアを進化させていく。
だからこそ、競技だけで完結させず、
将来を見据えながら積み上げていくことが大切 だという話がありました。
■ 「この子は伸びる」と感じる選手の共通点
続くパネルディスカッションで特に印象的だったのは、
「この子は成長するな」と感じた選手の共通点についての話です。
登壇されていた先生方が共通して挙げていたのは、
“人としての土台ができ始めてから、一気に成長曲線が上がる” という点でした。
・実績を冷静に捉えられる
・いろいろなことを素直に楽しめる
・壁にぶつかっても前向きに乗り越えようとする
そういった選手ほど、
最後まで前のめりで行動し続ける傾向があるそうです。
もちろんこれは、スポーツの場面だけではなく、学校生活においてもそうです。
・挨拶ができる
・人の話を素直に聞ける
・当たり前のことが当たり前
■ 情報が溢れる時代だからこそ「考える力」を
今の時代は、検索すれば情報が出てきて、
YouTubeを見ればすぐにお手本が見つかります。
その便利さの反面、
「自分で考える力が失われてしまわないか」
という懸念も挙げられていました。
印象的だったのは、
子どもたち自身が「こういう練習はどうですか?」と提案してきたとき、
まずは とりあえずやってみる という姿勢を大切にしている、という話です。
そして、その練習が
・自分に合うのか
・合わないのか
を 自分で判断させる。
このプロセスこそが、
考えて動ける選手を育てる上で重要なのだと感じました。
■ 選手と同じ目線で向き合うこと
指導の中で大切にされていることとして、
選手と同じ目線で話す という点も挙げられていました。
上から教えるのではなく、
一人の人として向き合い、対話する。
その姿勢が、選手の主体性や自立につながっていくのだと思います。
■ インテリジェント・アスリートに必要な「自立」
今後、インテリジェント・アスリートを育てていく上で、
キーワードとして何度も出てきたのが 「自立」 でした。
・コミュニケーション力
・将来を見据える力
・自分をコントロールする力
・「今、何をすべきか」を考える力
これらは競技力だけでなく、
人として生きていく上でも必要な力です。
また、保護者とのコミュニケーションについても、
良いことだけでなく、
例えば「学校でスマホを触って注意された」といった
ネガティブな情報もしっかり共有する という話がありました。
簡単なことではありませんが、
登壇されていた先生方は、そうした部分も含めて丁寧に向き合われているようでした。
4.現場でどう活かせると感じたか
今回の講習会で話されていた内容は、
指導者として活動している自分にとって、改めて大事にしたいと感じることばかりでした。
普段の指導の中で、特に意識しているのは
説明が一方的にならないこと です。
よく「言葉のキャッチボールが大事」と言われますが、
練習のポイントや、人として大切にしてほしいことは、
指導者側が答えを先に伝えることもできます。
ただ、人は話を聞いているようで、
実際には7割ほどは内容が入っていないとも言われています。
だからこそ、
いかに考えさせるか、自分で考えさせるか
という点を大切にしています。
■ まずは質問を投げかける
スポーツの指導の場面では、
いきなり答えを伝えるのではなく、まず質問を投げかけます。
「この練習のポイントは何だと思う?」
「どうしたらもっと上手くできそう?」
「どうすれば、もっと力強くなると思う?」
そうすると、意外と自分なりの答えが返ってくることも多いです。
もし難しそうなときは、ヒントを出しながら考える時間をつくる。
考える時間と、アウトプットする時間を持つこと
これはとても大事にしています。
■ 上からではなく、同じ目線で向き合う
人としての成長も大切にしてほしいという思いがあるので、個別で話すときも、絶対に上からは話しません。
これは態度というより、目線の話です。
地面に膝をつき、しっかり目線を合わせて話す。
高圧的にならないため、という理由もありますが、
目を見て話すことで、
相手も「考えよう」としてくれると感じています。
何かうまくいかなかったときも、
最初から「ダメ」と伝えるのではなく、
「何が良くなかったと思う?」
「どうすればよかったと思う?」
と問いかけることで、
原因 → 改善 までを自分で考えさせるようにしています。
■ 保護者とのコミュニケーションも含めて
今回登壇されていた先生方も共通して、
保護者とのコミュニケーションをとても大切にされていました。
今の時代、
コンプライアンスやパワハラ・モラハラなど、
指導の難しさを感じる場面もあります。
それでも、
「人としての成長を望んでいる保護者の方」が多いのも事実です。
実際に「どんどん言ってください」と言ってくださる方もいて、とてもありがたいなと感じています。
スポーツが上手くなったことももちろん嬉しい。
でもそれ以上に、人として成長したと感じられた瞬間が一番嬉しい
という声もよく聞きます。
だからこそ、
・子ども・生徒とのコミュニケーション
・保護者とのコミュニケーション
この両方を丁寧に重ねていくことが大切なのだと、改めて感じました。
今回学んだことを、
これからの指導の現場でも、しっかりと活かしていきたいと思います。
5.まとめ
今回の講習会に参加して感じたのは、
指導者として「特別なこと」を学んだというよりも、
当たり前の質がとても高かった ということでした。
コミュニケーションの取り方や、
「この選手は成長するな」と感じる視点。
どれも一つひとつは当たり前のことかもしれません。
ただ、その当たり前をどれだけ丁寧に、どれだけ本気で積み重ねているか。
そこにこそ、大きな差が生まれるのだと改めて気づかされました。
今回の講習会を通して、
今自分がやっている指導は間違っていなかったのだと感じられた一方で、
「まだまだできることがあるな」とも素直に思えました。
指導者としての考え方をアップデートできた、
とても良い時間だったと思います。
学んだことは、これからの現場でしっかり実践していきたいです。
■ 保護者の方へ伝えたいこと
指導そのものは、学校の先生やスポーツ指導者が行います。
ただ、家庭でできる関わり も、選手の成長にとってとても大きな意味を持ちます。
例えば、
「今日の練習どうだった?」
「学校で何か学べたことはあった?」
そんな一言をかけてもらうだけでも、
その日の出来事を振り返る“アウトプットの機会”が生まれます。
アウトプットが増えることで、
学びの質も、気づきの深さも変わっていきます。
また、
「ここは成長していますか?」
「逆に、良くなかったところはありますか?」
と指導者に聞いてもらえると、
こちらとしても「ここまで話していいんだ」と分かり、
より踏み込んだ指導やサポートがしやすくなります。
家庭と、学校やスポーツの現場。
その両方で情報を共有しながら関わっていくことで、
人としても、選手としても成長できる時間は、確実に増えていく と感じています。
今回の講習会で学んだことを、
これからの指導、そして関わりの中で、
一つひとつ大切にしていきたいと思います。
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