昔の人はナンバ走り
現代人は、右手(実際は腕。肩と言ったほうがいい)を後ろに振ったら左足を前に出し、左手(実際は腕。肩と言ったほうがいい)を後ろに振ったら右足を前に出すという方法で、歩き、走る。
すると体をねじるような走り方になるのだが、現代の人たちはそれが普通だと思っている。
何の違和感もなく、不自然とも感じず、そうやって歩き、走る。
しかし、昔の人は違う歩き方、走り方をしていた。
それを「ナンバ走り」という。
「ナンバ走り」を知っているだろうか?
昔の人は和服を着ていたので、裾が乱れないように、両手で着物や袴の腿のあたりをつまんで歩き、走っていた。
その姿勢で走ると、右足と右手が、左足と左手が同時に動く。
そのような走り方を「ナンバ走り」という。
…のだと思っていたが、調べてみると少し違った。
専門家によると、本当の「ナンバ走り」とは、「同じ側の手足を同時に出すのではなく肩を上下に動かすように走る走法である。脚と同じ腕を振ると思っている方がいるが、通常の走りと同じように行うとバランス良く走れない」そうだ。
「腕は前後に振らず、肘から先を上下に動かすようなイメージで行う。結果的に肩は前後ではなく、上下に動く」という。

これが本当の「ナンバ走り」なのだそうだ。
「現代の走り方よりも“ナンバ走り”のほうが楽に走ることができる」という。
なぜ「楽に走ることができる」のか?
「通常の走りでは脚と反対の腕を前に振るため、体にひねりが発生する。ひねりは、前進作用と後退作用の両方を持っているので、すべての力を前進作用に活かすことができない」
のに対し、「ナンバ走り」ならその「ひねり」がなくなるため、前進作用しか生まれず、それで楽に走ることができるらしい。
江戸時代には飛脚や忍者が、この「ナンバ走り」で1日に100キロも200キロも走っていたという。

考えてみると、日本の武術も、右手を前に出すときは右足を前に、左手を前に出すときは左足も前に出すことが多い。
これと「ナンバ走り」は何か関係があるのかもしれない。
では、それをなぜ「ナンバ走り」と呼ぶのか?
この「ナンバ」は「難波」ではなく「難場」なのだそうだ。
つまり、歩きにくいところ、走りにくいところを「難場」といい、そういうところでも楽に歩けて走れる方法が「ナンバ走り」と呼ばれるようになったらしい。
和服を着ていたからという私の考えは違うようだ。
「ナンバ走り」を少し試してみたが、私にはどうにも馴染めなかった。
このほうが楽に走れるからと広めようとしても、今の時代では無理なのではないかと感じた。
オリンピックの短距離走者がこの「ナンバ走り」で走ったら、記録はどうなるのだろうか?
短距離では不向きでも、マラソンなどの長距離走なら有効かもしれない。
誰か試してみてくれないかな。
