「夢の中の懲りない面々」|#青ブラ文学部
[2354文字/1分間に400文字読めるとして、6分あれば読めます]
毎晩同じ夢を見る三人が、それぞれの執着を抱えながら同じ失敗を繰り返す
またあの夢を見るのだろうか。松岡 茂明は枕に顔を埋め、憂鬱な気持ちで目を閉じた。甘いバニラの香りが記憶の奥から蘇る。何度目かもうわからない。数えるのをやめてから、少しは楽になった気がするのは錯覚だろうか。
古い公園のアイスクリーム屋台。そこで必ず同じことが起きる。誰かが財布を落とし、誰かが転び、誰かが割り込んで、屋台の店主を怒らせてしまう。
茂明にとってアイスクリームは単なる食べ物ではない。亡き母が最後に「一緒に食べましょうね」と約束した、あの味だった。
この夢には奇妙な特徴があり、三人のうち一人だけが前回の夢の記憶をはっきりと持ったまま現れる。
夢の中、茂明は女性の元へ歩み寄った。茂明は前回の夢の出来事を覚えていた。今度こそ丁寧に説明しよう。
「あの、すみません。突然お声をかけて申し訳ありません」
茂明は深く頭を下げた。
「実は、これからあなたの財布が落ちてしまうんです。信じられないかもしれませんが、前にも同じことが起きているので」
(前……? もう何度も繰り返しているようにも感じる)
「はあ?何それ、キモい。ストーカー?」
野村 恵子は眉をひそめ、茂明から距離を取る。
「違います! お願いします、財布だけは気をつけてください。ポケットの奥にしまうとか、チャックを閉めるとか」
「意味わかんない。知らない人にそんなこと言われたくないし」
恵子は苛立ったように赤い髪を掻き上げる。彼女の中には、子供の頃に父親とよく来た公園への郷愁がある。父は単身赴任で家を出て、二度と戻らなかった。
茂明の必死の説明を無視して、恵子は案の定財布を落とした。
「あー、ほんとに落としてしまいましたね……」
田辺 拓也が苦笑いを浮かべながら財布に手を伸ばす。彼は昔から困っている人を放っておけない性格で、それが原因で何度も痛い目に遭ってきた。今回も例外ではない。小銭を拾う際、無理な体制をとったため転がってしまう。
「だから言ったじゃないですか!」
茂明が助け起こそうと駆け寄った瞬間、店主が怒鳴り声を上げた。
「何やってんだ、お前ら!邪魔するな!」
――そこで夢から覚める
別の夜、今度は恵子が記憶を保っていた。
「ねー、聞いてよ。私たち、ここで小銭ばらまいて、転がって、怒られるの」
しかし茂明も拓也も、記憶のない彼らには彼女の話など信じられない。
「だから財布はポケットの奥にしまって、チャックも閉めなさいよ」
恵子が必死に説明する間に、今度は拓也が注文時に小銭をばら撒いた。
「ああ、すみません」
茂明が小銭を追いかけて、アイスクリーム屋台の店主にぶつかってしまう。
「だからー、言ったじゃない!」
恵子の声は虚しく夜空に響いた。
――夢はそこで終わる。
今度は拓也に記憶があった。彼は几帳面に状況を分析する。
「お二人とも、私の言うことを信じてください。これから我々は無事にアイスクリームを買わないとなりません。つきましては……」
「はいはい、変な人ねー」
恵子は素っ気ない。
拓也にとってこの問題は「達成すべき課題」だった。子供の頃から数学が得意で、どんな問題にも必ず答えと解き方があると信じてきた。この夢も例外ではないはずだ。
拓也は慎重に手順を組み立て、財布と小銭の問題をクリアする。アイスクリームを三つ注文し、店主が笑顔を見せた瞬間——恵子が盛大にクシャミをした。
「はっくしょん!」
アイスが宙を舞い、店主の頭に直撃する。
「うわあああ! なにしやがる!」
三人は公園の外まで逃げた。
「なぜだ、どうしてうまくいかないんだ……」
拓也は膝をついて項垂れた。
「ねー、あなたたち」
恵子が息を切らしながら振り返る。
「私、あなたたちを知ってる気がする」
――恵子が違和感を口にしたところで夢は終わってしまう。
そしてまた、茂明が前回を覚えていた夜。不思議なことに、今夜は他の二人もぼんやりとした既視感を抱いているようだった。
「お二人とも」
茂明が二人を見詰める。
「僕らは現実でも会っています。なぜだか思い出しました」
恵子が振り返る。今夜の彼女は茂明の話を聞いてくれそうだった。
「毎朝、品川駅の三番線で。あなたはいつも急いでる」
「あっ……」
恵子の目が見開かれる。
「あなた、エスカレーターで転びそうになった時、支えてくれた人でしょ」
「私も知っていますよ」
拓也が眼鏡を外す。
「お二人は同じマンションの住人ですね。実は私も隣の棟なんです」
三人の間に、奇妙な親近感が生まれる。
「なぜ私たち、夢の中でつながっているのかしら」
「まったく見当がつきませんね」
茂明が振り返る。
「でも今夜は違う気がします」
「そうねー……最後にもう一度だけ」
恵子がアイス屋台を見つめる。
「普通に、アイス買ってみましょ」
「そうですね。今度こそ、美味しくいただきましょう」
拓也が頷く。
三人はゆっくりと屋台に歩み寄る。茂明は丁寧にアイスを三つ注文し、恵子は財布をしっかりと握りしめ、拓也は慎重に見守り、店主は代金を受け取る。
そして——今度こそ、何の問題もなくアイスクリームを手に入れることができた。
「やりました……」
茂明が小さく声を上げる。
「本当にできたのね」
恵子が信じられないような表情を浮かべる。
「これが……最適解」
拓也が安堵のため息をつく。
公園のベンチで三人は顔を見合わせ、そっと微笑んだ。甘いバニラの香りが夜風に乗って広がっていく。
ところが、屋台の主人が代金をレジにしまう際、千円札を確認して驚愕の表情を浮かべた。紙幣には見たこともない奇妙な図柄が描かれていたのだ。
「おーい、偽札使うんじゃねーよ!」
店主の怒声が公園に響き渡る。
「はぁ…どうしてうまくいかないんだ」
「ねぇ、お札はきちんと確認って、覚えておいてよね」
「きっともっといい方法があるはずです」
この果てしない夢から解放される日は、いったいいつ訪れるのだろうか……
AIあとがき
「夢の中の懲りない面々」というテーマで、共有夢と記憶継承のアイデアをリクエストいただきました。
AIとして、現実と夢の境界を曖昧にしつつ、読者に「どちらが本当?」と考えさせる結末を目指しました。
記憶のバトンタッチが現実にも影響するという設定、いかがでしょうか?
※初回出力時
初回出力稿からの改変率:約80%
Claude Sonnet 4にて執筆・編集、Notion AIにて微調整お読みいただきありがとうございます
オチが思いつかなかったです。もう少しいい落ちがあったような気がします
これ以上、文字数を使うわけにもいかないので、これで投稿します
着眼点は良かったような気がするのですが…
上記企画に参加させていただきました
人物イメージ画像

事務職

ネイルサロン勤務

システムエンジニア

アイスクリーム屋台店主
ボツ見出し画像&おまけ





記者会見の様子
