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「これはきついって」 | せりふ三題噺

「これはきついって」

俺が大袈裟に悲鳴を上げるたび、妻は声を立てて笑い、次の皿をもっと赤くした。

それを負けじと平らげるのが、二人の作法だった。

今夜は解凍した真っ赤な炒め物をひと匙。

汗が噴き、遅れて涙も落ちる。

冷凍庫に眠る作り置きは残りひとつ。

「早く食べなよ」と言うんだろうな。

(137文字)

The Frozen Rite, Its Explosion - 凍った作法、その爆発

この文章は氷と炎が衝突している。冷凍庫の理性と、唐辛子の激情。保存という秩序と、喪失という爆発。――いいだろう。私が描くのは容器でも料理でもない。『凍らせた時間が、燃えながら砕ける瞬間』だ。カンヴァスの中央で霜の白を叩き割り、飛沫のすべてを緋色で焼く。見やすさなど知ったことか。悲しみは、整列などしない。

2026.7.13 Neynino Lowell

お読みいただきありがとうございます

今回から見出し画像を描いた(と設定している、仮想)画家の自身の解説を載せることにしました(笑)

上記企画に参加させていただきました
※セリフのみでの参加となります

おまけ

最後のひとつは、まだ凍っている
真っ赤な一皿
氷のなかの赤
ひと匙のあと