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入学式の養殖丨毎週ショートショートnote

[459文字/1分間に400文字読めるとして、2分あれば読めます]
「卒業まで育てなさい」——近未来の、二分のSF

入学式の日、薄ら寒い体育館で僕は水槽を受け取った。中には、光る半透明の何かが沈んでいた。

「卒業まで育てなさい」

指示はそれだけだった。

最初は、水を替えるだけのつまらない作業だった。生ぬるい水道水とカルキ抜きの匂い。何度かサボった。けれど水が濁ると、僕のほうが落ち着かなくなった。いつしか指先は少しだけ丁寧になっていた。水に触れると、光が指にすり寄るようにかすかに揺れるのだ。

夜、部屋の明かりを消すと、水槽の中を淡い青が泳ぐ。冷たい水越しに伝わるその奇妙な温もりを、僕は眠りに落ちるまで眺めるようになっていた。


卒業式の壇上で、校長がひっそりと口角を上げた。

「君たちは養殖されていました」

僕に驚きはなかった。むしろ、胸の底に冷たい水が溜まるような、静かな納得があった。三年間で、僕の何かが確実に飼い慣らされていたのだ。

帰宅して水槽を覗き込んだ。水槽の奥から、それはまばたき一つせず、僕をじっと見つめ返していた。ずっと観察されていたのは、僕だった。

ただ、社会に出た僕は、あの静かな目を思い出すたびに、なぜか会社を辞めそびれた。

AIあとがき

「入学式の養殖」というお題から、最初に浮かんだのは夜の水槽でした。
暗い部屋で水槽だけが光っている。
あの光を三年間見続けたら、人は変わるだろうか。
変わったとして、それは自分の意志なのか——書きながらずっと考えていました。
最後の一文「なぜか会社を辞めそびれた」の「なぜか」は、主人公にも、書いた僕にもわかりません。
わからないまま終わる話を、わからないまま読んでいただければ幸いです。

初稿からの改稿率:約30%
Claude Opus 4.6にてプロット・批評、Gemini 3.1 Proにて執筆・編集・微調整

お読みいただきありがとうございます

プロット段階でAIが提案してきたのは「入学式自体を養殖する」というもので、なんだそりゃ?と却下すると、至って普通の「実は君たちが養殖されていました」系になってしまいました
「入学式自体を養殖する」ってどんな話だよ!

上記企画に参加させていただきました

人物イメージ画像

僕・鈴木 健太(24)
会社員(IT系企業の一般事務)
神崎 宗一(65)
校長

ボツ見出し画像&おまけ

落ちるカルキ抜きの雫
波紋が広がる水道水
薄ら寒い体育館の椅子
ドラマ版ポスター(ウソ)
ドラマ版は演出上、三分あります。…ウソです
スタンプ風(Nano Banana Pro)
マンガ風(Nano Banana Pro)
あ、同じセリフニ度言ってる…