20年前にフランスで経験した、忘れられない悔しい思い出
こんにちは。エバンス愛です。アメリカ人の夫と社会人向けの英語コミュニティ運営、通訳翻訳、英語コンサルティングなどをしています。
今日は、20年以上前のことだけど、今も絶対に忘れない、悔しい思い出の話をさせてください。
私が、大学4年生になる年の春休みに、フランスのカンヌに1ヶ月間語学留学した時の話です。
カンヌは、カンヌ映画祭が行われる地中海沿いの美しいリゾートです。大通りには高級ホテルや高級アパルトマンが立ち並ぶにぎやかな街ですが、一本裏道に入ると、昔の漁師町の風情が残っていてとても素敵なところでした。

私にとっては、この留学が初めての海外でした。最初はパリに到着したのですが、飛行機の窓から、パリの街並みが見えたときの感動は今も忘れません。この美しい街がほんとに、目の前にあるんだ・・・夢じゃないよね・・・?と。

人間って、ほんとに感動したらほんとにほっぺをつねるんだ。と、私はこのときに知りました。(笑)
はじめてのフランス
当時、20人くらいの日本人留学生と一緒にカンヌの語学学校に入学することになっていました。日本各地から留学生が集合するまで2日ほど、パリで過ごしました。
パリのサンドイッチ屋さんでフランス語で注文するのもドキドキしました。大学の先生以外でフランス語を外国人に話すのははじめてでしたから。
サンドイッチ屋さんのイケメン店員さんに「どこから来たの?パリには観光で?」といろいろ聞かれて、一生懸命フランス語で答えました。「君、フランス語が上手だね!」と(お世辞で)言われたときは、ほんとに、天にも昇る気持ちでした。
当時は、フランス語を話す若いアジア人が多少は珍しかったのかもしれません。去り際には、そのイケメンお兄さんに「美人さん、またね!チャオ!」とウィンクしながら言われ、それがラテン系の男性には普通の挨拶と知らなかったウブな私は、めっちゃ挙動不審で店を去りました。(;゚;ж;゚)
まあ、そんな話はどうでもいいのですが(笑)
語学学校初日のオリエンテーションで
20人の日本人留学生が揃い、一緒にカンヌの語学学校に入学しました。初日に、学校のスタッフから新入生にオリエンテーションがありました。
言葉は、もちろんフランス語。でも、学校に日本人スタッフはいません。留学生の私たちだけ。日本人留学生の中には、フランス語が全く初めてという人もいました。
オリエンテーションを担当したフランス人の男性スタッフは、自分の話が全く理解できていない様子の日本人学生が数人いるのに気づき、「誰か、今僕が言ったことがわかった人? 彼女たちに説明してくれないかな?」と言いました。
その男性のフランス語を私は理解できたので、「私、やります」と通訳を買って出ました。私は、大学で3年間勉強していたので、日本人留学生の中では一番できる部類だったのです。

通訳を買って出たものの
で、彼が話し終わって、実際に通訳しようとしたら・・・
全然、説明できないんです。(,,゚Д゚)
いっこうにしゃべらない私を見て、その男性スタッフは「なんだ、君も分かってないんじゃん」と、呆れ顔でボソッと言いました。
私は反論しました。「J'ai compris!(理解しました!)」
「じゃあ、説明してくれるかな?」
・・・全然、できなかったんです。
彼の言うことは理解したはずなのに、いざ、それを「説明して」と言われると、単語は思い出せるのだけど、それを文章にすることができず、なんにも言葉が出てきませんでした。
こんなことなら、黙っとけばよかった
その後、結局オリエンテーションがどうなったのか、フランス語初心者の彼女たちは大丈夫だったのか、全然、覚えていません。
理解できたつもりだったのに説明できなかったこと、男性スタッフに呆れられたことがものすごく悔しかったことだけ、20年経った今でも覚えています。
「私、分かります」って通訳を買って出たくせに、全然役に立たなかったことが、ほんとに恥ずかしくて情けなかった。「こんなことなら、黙っとけばよかった・・・」と。
今ならわかります。当時の私は、ただ「わかったつもり」だっただけなんです。
訳せなかった原因は、もちろん短期記憶(リテンション)の問題もあるけど、それ以上に文法、単語、構文、表現・・・すべての理解があやふやだったからです。

伝達(通訳・翻訳)できる度合いは理解度に比例する
ここでお伝えしたいのは通訳・翻訳の具体的なスキルの話ではありません。通訳者や翻訳者を目指す人のための話でもありません。そうではなく、「説明できる量と質」は「理解度」に比例するということです。
理解度が100%だったらちゃんと必要な情報を説明できるとしたら、理解度が90%なら少しは情報が抜け落ちても大筋は説明できるでしょう。
でも、私の経験では理解度が80%以下くらいになってくると、その時は「わかった」と思っても「じゃあ、どういう話だったか説明して?」って言われたら、困りはじめます。
理解が50%くらいだったら「●●の話をしてると思う・・・多分」という、一言程度の説明しかできないはず。
でも、その50%とか70%くらいで「だいたいわかった」で終わらせている人が多すぎるのです。
理解を深めるために、説明する「セルフレクチャー」
私が、英語教材「SPEEDIER READING」を一緒に作らせていただいたのは、ミスターステップアップという大学受験塾です。普段、その大学受験生たちと一緒にごはんを食べたり、勉強の相談に乗ったり、ラジオ収録をしたりしています。
で、彼らがやっている勉強法に「セルフレクチャー」というものがあります。
普段、彼らの自習風景をよく目にするのですが、たとえば数学の問題を解きながら「●●だから、○○になって、従って・・・」って、まるで人に説明するかのように一人でブツブツ言いながら勉強しているんですね。自分に対して授業をする、それがセルフレクチャーです。
でも、彼らは教師になることを目指して授業の練習をしているのではありません。あくまでも、「理解を確実にするため」にセルフレクチャーをしているのです。
問題を解くだけでは、「わかったつもり」「できたつもり」になっているだけかもしれません。実際にそれをよどみなくスラスラ説明できる状態になってはじめて、「本当に理解した」「腑に落ちた」と言えるんです。

「わかったつもり」を卒業しよう
あなたも、お子さんに勉強を教えたり、同僚に業務を説明したりするときに「あれ・・・?どうだったっけヾ( •́д•̀ ;)ノ」ってアタフタしたこと、ありませんか?
わかっているつもりだったのに、人に伝えようとすると自分の理解がいかに適当で穴だらけかに気づく。きっと、誰でもそういう経験をしたことがあると思います。
これは、英語でも同じことが言えます。実際に口に出したり(通訳)、書き出したり(翻訳)することではじめて、自分の気づかなかった理解の穴に気づきます。説明する(訳す)ことで、理解が深まり見えてくる世界があるのです。
通訳者、翻訳者になるためではなく、あくまでも英語力を上げるために「訳す」トレーニングをする。ぜひ、「人にスラスラ説明できるくらい」の理解度を目指して、一度勉強をしてみてください。きっと、新しい視点が得られると思います。
長くなりましたが、読んでいただいてありがとうございます!
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