【地獄】「年収1億にしたい」と銀行に相談したら、NISAのパンフだけ渡された話 #note大学新入生🎈

① はじめに
ある日、ふと思った。
「年収1億って、銀行に相談したら何とかなるんじゃね?」
投資?副業?起業?そんなの素人には難しすぎる。だったら、金のプロに頼めばいい。俺の目標はただ一つ――“金持ちになりたい”。その一心で、Google検索に「年収 1億 方法」と打ち込み、なぜかたどり着いたのが…地元の信用金庫だった。
銀行って、金持ちの味方だろ?
なら、俺みたいな“夢追いおじさん”にも、希望のルートを示してくれるはずだ。
――そんな希望を胸に、俺はスーツに袖を通した。

② 銀行に突撃する俺
勝負の日の朝。俺は慎重に“金持ち風コーデ”を選んだ。
ユニクロの中でも「これは高見えする」と噂のジャケット。シャツはノーアイロン仕様、靴は3年前の入学式用ローファー。そして仕上げに、髪をジェルでビシッと流し、香水を1プッシュだけ。ポイントは“やりすぎないこと”。これが“金持ち風”の鉄則らしい。
鏡の前でキメ顔を作り、「これは…年収800万の雰囲気」と自分に言い聞かせた。
だが、内心はガクブルだった。
「年収1億にしたいんですけど」なんて言った瞬間、銀行員に笑われるかもしれない。いや、通報される可能性だってある。47歳、貯金は少なめ、職業は…まあ色々だ。
でも、夢を語らずして何が人生だ。
俺は深呼吸を一発キメて、ガラスの自動ドアをくぐった。

③ ガチ相談スタート
受付の女性に番号札を渡され、しばらく待合席で心を落ち着ける。だが、落ち着かない。俺の心臓は、ハイスピードでNISAどころかNASDAQ並みに乱高下していた。
「小宮様、お待たせいたしました」
呼ばれた瞬間、俺の背筋はピンと伸びた。目の前のブースには、若そうな男性行員。ネクタイの締め方が完璧で、すでに“勝ち組の空気”が出ている。
俺は、なるべく真面目な声で言った。
「すみません。…年収を、1億にしたくて相談に来ました」
その瞬間、空気が…止まった。
行員のまばたきが、一瞬だけ“処理落ち”したのを見逃さなかった。隣のATMからも振り返る人がいて、まるで俺が“とんでもない爆弾を投下した中年”みたいな空気になっていた。

「それは……どのような手段で、1億をお考えでしょうか?」
行員の声は穏やかだったが、目は完全に“地雷対応モード”だった。
俺は真顔でうなずきながら、相談カードに記入した。
「目標:年収1億円」「手段:相談中」「理由:金持ちになりたい」「趣味:プラモデル」
行員はカードを見て、一瞬まばたきを忘れたあと、笑顔で言った。
「なるほど……非常に、夢のある目標ですね」
その「夢のある」が、“現実味ゼロ”という意味にしか聞こえなかった。
「ちなみに現在のご年収は……?」
「ちょっと低めです。でも、ポテンシャルは無限です」と答えた俺を、彼は“初めてAIと会話した人間”みたいな目で見ていた。
相談というより、“人間観察”が始まっていた。

④ 提案された現実
行員は、しばらく沈黙したあと、ゆっくり口を開いた。
「まずは、小規模でも“資産形成”から始めてみませんか?」
出てきたのは、“NISA”とか“iDeCo”とか“積立投資”という、聞いたことだけはあるワードの連打。
「年収1億に直結するプランは……正直、ありません」と苦笑いしながらも、パンフレットを数枚並べて説明してくれた。彼は真面目だった。真面目すぎて、逆に申し訳なくなった。
俺は心の中で絶叫していた。
「違う!そういう地道なやつじゃなくて、もっとこう……バッと!ドカンと!一撃で億万長者に!」
でも口から出たのは、
「……なるほど。NISAから、コツコツですね」
俺の“億万長者ビジョン”、NISAの文字に包まれて、そっと折りたたまれていった。

⑤ 帰り道の反省
銀行を出た俺は、近くのコンビニでアイスコーヒー(Sサイズ)を買った。レシートを見ると「98円」の文字。
“億万長者への第一歩”にしては、ずいぶん庶民的な金額だった。
でもなぜか、心は少しだけスッキリしていた。
夢を語った自分を、ちょっとだけ誇らしく思った。
よし、次は――証券会社に行ってみよう。

(完)


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