第210話 【赤っ恥】ナンパ中に母親から電話が鳴り響いた話
【もとしの爆笑日記 第210話】
導入:5行で「やらかす未来」を確定させる
ナンパで一番怖いのは、断られることじゃない。
「想定外の音」が鳴ることだ。
しかもそれが、
自分の人生で一番聞き慣れた音だったら──?
この日、27歳独身の俺・もとしは、
絶対に鳴ってほしくない着信音を、
一番鳴ってほしくないタイミングで響かせてしまった。
第1章|「今日はいける」と思った、あの慢心
その日は土曜の夕方。
駅前のカフェ通り、人も多すぎず少なすぎず。
俺は朝の散歩中に読んだ自己啓発本の影響で、
謎にメンタルが仕上がっていた。
(今日は自然体でいける気がする)
(変に気取らなければ、いける)
そう思わせてくれたのが、
前を歩いていた白いコートの女性。
歩くスピード、距離感、雰囲気。
すべてが「声をかけても不自然じゃない」ライン。
俺は深呼吸して、いつものやつを確認する。
・声は出る
・喉は詰まってない
・スマホはマナーモード……のはず
よし。
完璧だ。
第2章|声をかけた瞬間の、あの“空気”
「す、すみません」
声は裏返らなかった。
これだけで、今日は勝ちだと思った。
女性が振り返る。
驚きつつも、嫌そうではない。
(よし、いける)
「急にすみません、雰囲気が素敵だなって思って」
我ながら、100点ではないが赤点でもない。
70点くらいの無難な一言。
女性は少し笑って、
「ありがとうございます」と返してくれた。
ここで俺の脳内に、
謎の安心感が広がった。
(あ、大丈夫だ)
(会話、始まった)
──その瞬間までは。
第3章|安心した“直後”に訪れる、違和感
次の一言を考えようとした、その時。
ポケットの中で、
小さな振動を感じた。
ブルッ。
(あ、通知か?)
一瞬そう思ったが、
振動が、やけに長い。
ブルルルル……。
しかも、
音がする気配がある。
(……ん?)
俺は嫌な予感を抱いたまま、
女性の顔を見る。
彼女の視線が、
一瞬だけ俺のポケットに落ちた。
その視線が、
なぜかやけにゆっくりだった。
第4章|「鳴らないはずのもの」が、鳴り始める
次の瞬間。
🎵〜〜〜♪
鳴った。
はっきりと。
逃げ場のない音量で。
しかもそれは、
俺が子どもの頃から使っている、
家族用の着信音。
(え?)
(なんで?)
(マナーモードじゃ……?)
脳内で言い訳が高速回転する中、
音は止まらない。
🎵〜〜〜♪ 🎵〜〜〜♪
カフェ通りに、
あまりにも生活感のある音が響く。
女性は完全に、
俺のポケットを見ている。
通行人も、
一瞬こちらをチラ見する。
空気が、
ゆっくりと重くなっていく。
第5章|表示された“名前”と、頭が真っ白になる感覚
震える手で、
俺はスマホを取り出した。
画面が光る。
そこに表示されていたのは──
「母」
(……母?)
27歳。
独身。
ナンパ中。
この3つの単語が、
頭の中でバラバラに浮かんで、
まったく繋がらない。
女性の視線が、
画面 → 俺の顔 → 画面
と、行き来しているのが分かる。
俺は笑うべきか、
謝るべきか、
切るべきか、
出るべきか、
完全に判断不能になっていた。
そして次の瞬間──
母親から、ありえない追撃が始まった。
その瞬間、
空気が完全に死んだ。
(※この続きで、すべてが崩壊します)
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