第200話 【爆笑】イケてる一言を言ったつもりが店員に同情された話
【もとしの爆笑日記 第200話】
――前半(無料部分)――
「今日こそ、自然体でイケてる一言を出す。」
そう決めた日は、だいたいロクなことにならない。
27歳・独身・もとし。読書と朝散歩とプラモデルが心のオアシス。
この日も俺は、“日常あるある”の地雷原に、ノーガードで足を踏み入れた。
店内は平日夕方。客はまばら。
なのに、なぜか空気だけはピンと張りつめている。
イヤな予感は、いつも静かに始まる。
■「自然体」が一番ムズい問題
レジ前で並びながら、俺は頭の中でリハーサルを繰り返していた。
カッコつけすぎない。
でも、ナメられない。
サラッと。サラッとだ。
「一言で、印象を残す。」
その理想が、なぜか今日はイケる気がしていた。
根拠はない。
でも、根拠がない日の自信ほど危険なものはない。
■店員さんの“ちょうどいい距離感”
担当してくれた店員さんは、丁寧で、声がやわらかい。
会話もスムーズ。
俺は内心でガッツポーズを決めていた。
(よし、空気は悪くない)
(ここで一言、イケてるのを…)
レジの数字がピッと光る。
会計金額。
このタイミングだ。今しかない。
■期待 → 不安のスイッチ
「袋、いりますか?」
この質問が来た瞬間、心拍数が上がった。
俺は、ここで“イケてる一言”を言うつもりだった。
頭の中で、候補が渋滞する。
(軽すぎる?)
(重すぎる?)
(それ、寒くない?)
一瞬の沈黙。
たった一秒なのに、体感は五秒。
後ろの客の視線が、背中に刺さる。
■安心 → 混乱の始まり
そして俺は、言った。
「……今日は、身軽で行こうかな、って。」
言った瞬間、
自分でも意味が分からなかった。
身軽?
何が?
どこが?
でも、もう取り消せない。
言葉は、レジの上で宙ぶらりんになった。
店員さんは一瞬、固まった。
ほんのコンマ数秒。
でも、その“間”が、やけに長い。
■空気がズレ始める音
「あ、えっと……」
店員さんは、困ったように笑った。
その笑顔が、なぜか優しすぎた。
(あれ?)
(今の、ウケてない?)
(いや、理解されてない?)
レジ周りの空気が、少しだけ重くなる。
後ろの客が、咳払いをした。
俺の耳だけが、やたらと熱い。
■混乱 → 絶望の予兆
「かしこまりました……」
その声色が、さっきと違う。
丁寧なんだけど、
どこか“気を遣っている”。
まるで、
「触れちゃいけない人」に接するみたいに。
(待て)
(今の一言、そんなにヤバかったか?)
俺は、レジ横の小さな鏡に映る自分を見た。
顔が、赤い。
自分でも引くくらい、赤い。
そして次の瞬間――
店員さんが、口を開いた。
その一言で、
空気は完全に別物に変わった。
ここから先は
よろしければ応援お願いします!いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!
