第230話 【赤っ恥】自信満々で声かけたら双子だった件
【もとしの爆笑日記 第230話】
導入(最初の5行で生死が決まる)
「今日は、イケる」
なぜか根拠のない自信だけが、俺の背中を強く押していた。
朝の散歩で気分が良く、読書で頭も冴え、前日に作ったプラモデルも完璧。
調子がいい日は、だいたい何かをやらかす。
このときの俺は、その事実を都合よく忘れていた。
① その日は“声かけ日和”だった
場所は、駅前のちょっとした広場。
人通りは多すぎず、少なすぎず。
27歳独身・もとしにとっては、**「失敗しても誰も覚えてない」**という最高の条件。
前を歩く女性の後ろ姿を見た瞬間、直感が言った。
(あ、今日の主役はこの人だ)
服装はシンプル。歩き方は落ち着いていて、変にスマホも見ていない。
**「話しかけやすそう」**という、危険な判断基準が頭を支配する。
② いつもより“自然に”歩けている気がした
距離は約3メートル。
心拍数は、たぶん平常時の1.3倍。
(よし、落ち着け…今日は普通にいける…)
変に気取らず、軽く。
あくまで“日常の一部”みたいに声をかける。
そう、何事もなかったかのように。
この時点で、俺の中には謎の安心感があった。
③ 声をかけた瞬間、完璧な手応え
「すみません」
振り向いた彼女は、ちゃんとこちらを見てくれた。
目が合う。逃げない。イヤな顔もしない。
(勝った)
この一瞬、脳内で小さくガッツポーズを決めたのを、俺は忘れない。
会話の入りもスムーズ。
空気も、悪くない。
(やばい…今日、歴史変わるかも)
④ なのに、なぜか“視線”が増えた
彼女と話している最中、
ふと、視界の端に「もう一人の視線」を感じた。
最初は気のせいだと思った。
駅前だし、人もいるし。
でも、その視線は――
明らかに、俺たちに向いている。
(ん?)
彼女も、一瞬だけそちらを見る。
そして、なぜか小さく笑った。
⑤ 安心 → 混乱へ切り替わる瞬間
「えっと……」
彼女が何か言いかけて、言葉を止めた。
その直後、背後から聞こえた声。
「ねえ」
振り返ると、
そこに“もう一人”立っていた。
同じ背格好。
同じ服の雰囲気。
同じ顔。
(……ん?)
脳が理解を拒否する。
現実なのに、夢みたいな違和感。
⑥ 頭が追いつかない
(え、誰? 友達? 姉妹? いや、似すぎじゃない?)
俺は完全にフリーズ。
さっきまでの自信は、音を立てて崩れ始めていた。
二人は、俺を見て、
なぜか同時に目を合わせた。
その瞬間、
俺の中で「嫌な予感」が確信に変わる。
⑦ 空気が、ゆっくり重くなる
駅前のざわざわが、急に遠く感じた。
時間が、変な伸び方をする。
(待って、これ…)
どちらかが、口を開く。
その一言が、すべてを壊す気がした。
——そして次の瞬間、
最悪の一言が、あまりにも普通のトーンで投げられた。
(※ここから先で、すべてが終わります)
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