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第50話 【笑撃】送別会で泣きすぎて顔がぐしゃぐしゃになった話

【もとしの爆笑日記 第50話】



◆導入(つかみ)

正直に言うと、僕は自分の「涙腺の弱さ」を、人並み程度だと思っていた。

——その日までは。

27歳で社会人歴もそれなり。
送別会だって何回も経験してきたし、別れの瞬間にウルッとくることはあっても、
“ぐしゃぐしゃになるほど泣く”なんて、人生で一度もなかった。

だが、この日の僕は違った。
いや、違いすぎた。

鏡を見た同期が叫んだ言葉を、僕は一生忘れない。

「もとし……! それ……人としてギリギリだぞ……?」

その瞬間、送別会会場の空気が一気に凍った。
僕の顔面に何が起こったのか、なぜそうなったのか——
その真相は、もう少しあとで語る。

ただ一つだけ言えるのは、
“あの日、僕は泣きすぎて、色んな意味で取り返しのつかないことになった”
ということだ。

でもその前に。
僕の「泣きぐせ」の原点から話を始めないといけない。


◆本文(前半〜中盤前半)

■第1章:朝から奇妙な予兆

送別会当日の朝、なぜか妙に胸がざわついた。
決して誰かと別れる寂しさとか、そういう感傷的な理由ではない。

もっとこう……
“今日は絶対に何か起きる”
そんな、予感というより“警告”に近い感覚だった。

僕は朝散歩を日課にしている。
その日も、いつものコースを歩いていたら、近所のおばあちゃんに声をかけられた。

「お兄ちゃん、今日は泣き顔になる日だねぇ」

「えっ!? なんで分かるんですか!」

「え、なんとなく。天気予報みたいなもんだよ」

……そんな天気予報、聞いたことない。

だが確かに、その時の空はどんより曇っていて、
どこか“湿気を含んだ空気”が張りついていた。

朝からそういうことを言われたせいか、
この先に何かが待ち構えている気がしてならなかった。

そして案の定、その直感は当たる。


■第2章:送別会メンバーの“謎の空気”

会社につくと、いつもと違う雰囲気が漂っていた。
廊下で会う社員の視線。

「おはようございます」と挨拶しても、
みんな一様に、何かを言いかけては飲み込む感じ。

まるで僕が知らない“秘密”を共有しているような空気。

同期のタカシが近づいてきて、ひそひそ声で言った。

「もとし、今日……覚悟しとけよ」

「え、何を?」

「いや……色々だよ。色々」

「いやいや、雑すぎるだろ!」

だがこの「雑すぎる伏線」が、
後半で地獄のような形で回収されることを、この時の僕は知らない。


■第3章:職場の“涙腺トリガー”

送別されるのは、入社一年目の後輩・山口くん。
真面目で、控えめで、でも芯が強いタイプ。

僕は彼のことがけっこう好きで、
頼られたり相談されたりすると、
ちょっと“兄っぽく”振る舞ってしまう自分がいた。

その日の昼休み、山口くんが僕の席まで来て、
いつになく真剣な表情で言った。

「もとしさん……今日、本当にありがとうございました」

「いや、まだ送別会始まってないよ?」

「でも……僕、もとしさんのこと……」

「えっ、なに? なんか泣くやつ!? 始まる前から泣かせにくるの!?」

「……尊敬してます」

……やばい。
その瞬間、僕の胸が少しだけ熱くなった。

いや、だからといって泣かない。
まだ泣く段階じゃない。
プロローグで泣いてたら、送別会どころじゃないし。

だがこの時点で、すでにフォロワー(感情)が揺れていた。

期待 → 不安 → ちょっと安心
ここまでは予定どおりの展開。

問題は——
“このあと、混乱 → 絶望 へ一直線に落ちていく”ということだった。


■第4章:送別会会場へ…まさかの席順

午後、仕事を終えて送別会会場へ向かう。
場所は、会社近くの居酒屋。

店に入ると、すでにメンバーたちが集まっていた。

だが、席順を見た瞬間、嫌な汗が出た。

僕の席——
山口くんの真正面。

しかも周囲には、僕の涙腺を刺激しまくってくる先輩たちが勢揃い。
感動プレゼンの達人・課長。
すぐ貰い泣きする先輩。
すぐ飲ませてくる後輩。

明らかに今日の僕は、“泣かせる側の包囲網”の中心に座っていた。

タカシが耳元でつぶやいた。

「……覚悟、決めとけよ」

いや、だからその覚悟って何なの!?
まさか“今日もとし泣くよ”って全社で共有されてる!?
涙腺弱め27歳としてマークされてるの!?

でも、これがまだ序章だということを、僕は分かっていなかった。


■第5章:乾杯の瞬間からおかしい

課長が乾杯の音頭を取る。

「えー、今日は山口の門出を祝って……」

その声を聞いた瞬間、
僕の胸に違和感が走った。

なんだろうこの感覚。

胸が熱い。
喉が詰まる。
目頭が、軽いけど……ピリッと。

(ちょっと待って。乾杯の時点で感動するやついる?
 これ絶対あと大変になるやつだろ……?)

乾杯して一口飲む。
ビールがやけに甘い。
いや、甘くないけど、甘い気がする。

涙が溢れる前の感覚を、僕は自分でも分かっていた。

だがこの後、僕が自分を抑えるどころか、
“泣きのギア”をフルスロットルで踏むことになるとは思いもしなかった。


■第6章:山口くんの第一声で事件の引き金が引かれる

歓談が進み、いよいよ送別メッセージの時間。

課長が山口くんにマイク(店の簡易マイク)を渡した。

山口くんは、少し震える声で言った。

「……僕、入社したての頃……
 何も分からなくて……
 すごく怖かったんです」

ここまでは普通だ。
問題は、このあと。

「でも……
 もとしさんが……ずっと支えてくれました……!

その瞬間、
胸の奥が「バチンッ」と音を立てて弾けた気がした。

(やばい……やばいやばいやばい……
 これは……泣くやつの前兆……!)

だが、それだけでは終わらなかった。

山口くんは続けた。

「……僕、転職しても……
 もとしさんみたいな先輩になりたいです!!!!!!

店内に響き渡る大声。
全員の視線が僕に向く。

……その瞬間。
僕の中の“涙のダム”が、
音もなく崩壊した。

もちろん、この時点ではまだ涙の第一波だけだ。
しかし本当の地獄は、このあと訪れる。

なぜなら——

僕の顔面、“泣いたらいけないタイプ”だったのだ。

涙が出た瞬間から、
顔のどこかの筋肉が死亡し、
鼻水が暴走を始め、
口元が……いや、全部言うとネタバレになるのでやめておく。

ただ、この第一波の涙は、
後半の“伝説級の大崩壊”のほんの序章でしかなかった。


■第7章:周囲の反応が異常

泣き始めた僕を見て、周囲の反応が急に変わった。

「もとし……大丈夫か……?」
「え、もう泣いてる……?」
「やばい、これ今日危険なやつだ」
「ティッシュ持ってこい!」
「いやティッシュでどうにかなるレベルじゃないぞ!」

そう、明らかに“いつもの涙”ではないという空気。

タカシが僕の耳元でつぶやいた。

「おい……まだ前半だぞ……?」

(前半でこれって……後半どうなんの……?)

読者のあなたも思うだろう。

——この後どうなるんだ?
——なぜ“人としてギリギリ”と言われたのか?
——どれくらい顔が崩壊したのか?

だが、それはまだ言えない。
ここまではあくまで“無料部分”。
肝心の地獄は、まだ一滴も語っていない。


■第8章:涙、第二波——謎のスイッチ

山口くんのメッセージで第一波を迎えた僕は、
なんとか気持ちを落ち着けようと深呼吸した。

(よし……もう泣かない。ここからは“大人の先輩”として冷静に……)

そう思った瞬間、
課長がなぜか僕に向かって “ゆっくりうなずいた”

(え……なにその意味深なうなずき……?)

次の瞬間、課長が言った。

「……あとは頼んだぞ、もとし」

頼んだって何!?
誰も僕に出番をお願いしてないよ!?

だがその言葉の直後、
店内のBGMが突然“感動系バラード”に切り替わった。

(やめろ……それはアカン……!
 俺の涙スイッチ“音楽”でMAXになる体質なの知っててやってる!?)

すると、僕の胸にいたずらな熱が再び走る。

(だめだ……ここで泣くのは……絶対……)

—ポロッ—

(出た……!!)

涙、第二波・到来。

横でタカシが小声で言う。

「もとし……もう今日は止まらんぞ……」

それは励ましではなく、
“覚悟を決めろ”の宣告だった。


■第9章:顔面崩壊の“前兆”

ここで僕は気づいた。

なんか……
泣くたびに、顔のパーツが徐々におかしくなっている気がする。

目が腫れ、
鼻水の勢いも増し、
口角が“意思とは無関係の方向”へ曲がり始める。

(なんだこれ……
 俺の顔、泣き仕様じゃないのか……?
 泣くたびに壊れていってる……?)

タカシが僕の顔を見て、

「……もとし、まだ30%だな」

「何の%だよ!」

「泣き顔の。お前はまだ本気じゃない」

何それ!?
人の泣き顔にゲージあるの!?

だが、タカシは冗談ではない目をしていた。

その目が意味するもの。
後半で明らかになるのだが、
僕には“泣くと顔面が壊れる特殊体質”があるらしい。

もちろん、この時点では僕は知らない。
知らないからこそ、この先とんでもない地獄が待っている。


■第10章:店員の反応が完全におかしい

泣き方が悪化した僕に対し、
周囲だけでなく“店員”まで動揺し始める。

飲み物を運んできた店員さんが、僕を見るなり固まった。

「……あ、大丈夫ですか……?」

「だ、大丈夫です……(ズズッ)」

「そ、そうですか……(明らかに引いてる)」

さらに別の店員が来て、ひそひそ話。

「ねぇ……あのお客さん……泣いてるってレベルじゃなくない……?」
「え、事件……?」
「ちょっと店長呼んだほうが……」

事件扱いされてる!!!

この時点で僕の感情は

期待 → 不安 → 安心 → 混乱 → 絶望

“絶望ゾーンへ突入”

でも、これすら序章である。


■第11章:第三波のトリガーは“予想外の人物”

「では、次はもとしから一言!」

課長が突然ふってきた。

「ええっ!? 僕!?
 いや無理無理無理……この顔で喋ったら終わる……!」

しかし会場は期待の目。

しかも山口くんが
「もとしさんの言葉……聞きたいです」
と目を潤ませてくる。

やばい。
これ以上“泣き誘導”するのやめてください。

僕は立ち上がる。

顔はすでに50%崩壊。

声を出そうとした瞬間……

「もとし……がんばれ!」
と、まさかの 普段滅多に喋らない先輩 が応援してくれた。

(えっ……先輩……そんな優しさ……
 反則……)

胸が熱くなり、声が震え、

そして——

涙、第三波・爆発。

ここで僕の涙腺は完全にバグった。

鼻水が滝のように流れ、
頬が濡れすぎて光り、
口が変な“逆への字”になり、
声が子鹿レベルで震える。

周囲がどよめく。

「やばい……泣き方がさっきと違う……」
「なんか……形状が変わっていないか……?」
「え、もとしさん……生きてますよね……?」

僕はまだ知らない。
この第三波で顔がほぼ“完成形(=地獄)”に近づいたことを。


■第12章:トイレで見た“自分の顔”

さすがに耐えきれず、僕はトイレへ走った。

鏡を見る。

「…………」

声にならなかった。

涙で目は二倍に腫れ、
鼻は真っ赤で、
口がどう見ても “漫画の泣きキャラ”

これ、もう人じゃない。
いや、人だけど限界ギリギリの人。

思わずつぶやいた。

「……俺……誰……?」

その姿を見た別の社員が一言。

「……もとし……お前……
 泣き顔の進化系ポケモンかよ……

心に深い傷を負った。

しかし、これすらも“ほんの序章”。

本当の事件は、
このあと会場に戻った瞬間に起きる。


■第13章:席に戻ったら“全員の表情が変わっていた”

トイレから戻ると、全員が僕を見た。

その表情。
驚き、困惑、笑い、そして——
何かを覚悟したような目。

タカシが深いため息をつき、

「……もとし……もう逃げられないぞ」

逃げられないって何!?
何から!?

しかし、問い詰める間もなく、
次の瞬間、課長が店の照明を落とし、
プロジェクターを点けた。

画面には——

「山口、ありがとうムービー」

の文字。

(あっ……これ……絶対泣くやつ……!!)

そしてここで、決定的な伏線が映し出される。

画面に映ったのは、
入社一年目の山口くんが、
僕との思い出を語るインタビュー。

そして彼の口から出た衝撃の言葉。

「もとしさんは……僕の人生を変えてくれた人です」

——その瞬間、
僕の心が“完全に折れた”。

ただし、この段階ではまだ“泣きの最終形態”ではない。
本当の地獄は、この後に待っている。


■中盤・ここまで

あなたは今こう思っているはずだ。

「え、これ以上何が起きるの?」

その疑問は正しい。
なぜなら、ここまでがまだ“前菜”だからだ。

このあと——

◆僕の顔面がついに“限界突破”する
◆送別会が完全に事件化する
◆山口くんの“まさかの発言”で会場が凍りつく
◆そして“人としてギリギリ”と言われた理由が明るみに出る

すべて 後半(=有料部分)で爆笑とともに回収する伏線である。





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