「五月病」でイラストが描けない…イラストレーターが自分でできる【7つの対処法】
ゴールデンウィークも終わり、新しい案件に取り組んだり、気持ちを切り替えて制作にはげんでいるフリーランスイラストレーターの皆さん、こんにちは。アトウダイスケ(@AtoDaisuke)です。
なぜか気分が上がらなかったり、普段なら楽しめるはずの創作活動に集中できなかったりしていませんか?もしかしたら、それは「五月病」かもしれません。
「会社員じゃないから五月病なんて関係ない」と思っている方もいるかもしれませんが、実はフリーランスこそ環境の変化が多く、五月病のような心の不調を感じやすいと言われています。
今回は、心理学の専門家による解説を参考に、フリーランスイラストレーターが陥りやすい五月病の原因と、具体的な対策について詳しくご紹介します。この記事を読めば、心のモヤモヤを解消し、再び創作活動を楽しむためのヒントが見つかるはずです。
五月病って一体何?専門家が語るその正体
「五月病」という言葉はよく耳にしますが、医学的な病名ではありません。一般的には、新しい環境に適応しようとする中で生じる心身の不調のことを指します。特に、4月に新しい生活がスタートし、ゴールデンウィークで一旦リフレッシュした後に、再び現実に戻るタイミングで症状が出やすいことから「五月病」と呼ばれています。

専門家によると、この五月病の症状は、医学的には「適応障害」に近い状態であると考えられています。
【専門用語解説:適応障害とは?】
適応障害とは、新しい環境や状況、大きなライフイベントなど、特定のストレス要因に対してうまく適応できず、心身にさまざまな不調が現れる状態のことです。憂鬱な気分、不安感、集中力の低下、不眠、食欲不振、頭痛、腹痛など、症状は人によって異なります。

フリーランスのイラストレーターの場合、以下のような環境の変化がストレス要因となることがあります。
新しいクライアントとの仕事の開始
大規模なプロジェクトへの参加、またはその終了
仕事の量の急増や急減
生活リズムの変化(例:大きな案件で昼夜逆転していた生活からの調整)
引っ越しやプライベートでの大きな変化
これらの変化は、たとえポジティブなものであっても、心身にとってはストレスとなり得るのです。
なぜフリーランスイラストレーターも五月病に?主な5つの原因
では、具体的にどのような原因で五月病のような不調が引き起こされるのでしょうか?専門家の解説を元に、主な5つの原因を見ていきましょう。
原因1:急激な環境変化とそれに伴うストレス
専門家によると、五月病の最も大きな原因の一つは、急激な環境の変化に適応できないことによるストレスです。
フリーランスのイラストレーターは、会社員と比べて仕事の環境が流動的です。新しい案件が始まれば、新しいクライアントの要望に応え、納期を守り、時には慣れないコミュニケーションを取る必要も出てきます。特に4月は新規案件が動き出す時期でもあり、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいる可能性があります。
また、自宅で仕事をするフリーランスの場合、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりやすく、生活リズムが乱れがちです。大きな案件の締め切り前には徹夜が続くこともあるでしょう。こうした急激な生活リズムの変化も、心身への大きな負担となります。専門家は「新しい環境や急激なストレス増加に適応できない状態」が問題を引き起こすと指摘しています。
原因2:「ゴール喪失症候群」――燃え尽きていませんか?
専門家が指摘するもう一つの原因は、「ゴール喪失症候群」です。これは、いわゆる「燃え尽き症候群」の一種で、大きな目標を達成した後に、次の目標が見つからず、虚無感や無気力感に襲われる状態を指します。

イラストレーターの仕事は、一つ一つの案件がプロジェクトであり、目標です。特に、長期間にわたる大規模な案件や、自分にとって非常にやりがいのある案件が終わった後、「やり切った!」という達成感と同時に、心にぽっかりと穴が空いたような感覚に陥ることがあります。
専門家によると、「転職できた」「入学できた」「入社できた」といった目標達成の直後に、次の明確な目標がないと、このような状態になりやすいとのこと。フリーランスのイラストレーターも同様に、大きな案件を納品し終えた後、次の仕事の目処が立っていなかったり、何を目標にすれば良いかわからなくなったりすると、モチベーションが低下してしまうのです。
原因3:「期待」と「現実」のギャップによる失望
フリーランスという働き方に夢や理想を抱いて独立した方も多いでしょう。しかし、実際にフリーランスとして活動してみると、想像していた以上に大変だったり、思い通りにいかないこともあります。専門家は、この「期待と現実のギャップ」も五月病の引き金になると言います。

例えば、「自分の好きな時間に好きなだけ絵を描いていられる」と思っていたのに、実際にはクライアントワークに追われ、事務作業も多く、なかなか自分の創作活動に時間が割けない、といったケースです。
このような理想と現実のギャラリーを感じると、「認知的不協和音」という心理状態に陥ることがあります。
【専門用語解説:認知的不協和音とは?】
認知的不協和音とは、自分の中に矛盾する二つ以上の認知(考えや信念、価値観など)が存在するときに感じる不快な状態のことです。例えば、「フリーランスは自由で楽しいはずだ(期待)」という認知と、「実際は忙しくて大変だ(現実)」という認知が矛盾すると、心の中で不快感が生じます。この不快感を解消しようとして、考え方を変えたり、行動を変えたりするのですが、それがうまくいかないとストレスが溜まっていくのです。
専門家は、「思い描いていた理想の自分や職場(フリーランスの場合は仕事環境)と、現実とのギャップに失望する」ことが、この原因に当たると説明しています。
原因4:神経伝達物質の乱れ――心と体のサイン
心身の不調は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れとも深く関わっています。専門家によると、睡眠不足、食事の乱れ、運動不足などが続くと、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の分泌量が低下し、気分の落ち込みや意欲の低下などを引き起こすことがあるそうです。

【専門用語解説:セロトニンとドーパミン】
▶ セロトニン:「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定や安心感、平常心などに関わる神経伝達物質です。セロトニンが不足すると、イライラしやすくなったり、不安感が強まったり、うつ状態になったりすることがあります。日光を浴びることで分泌が促されると言われています。
▶ ドーパミン:快感や多幸感、意欲、学習能力などに関わる神経伝達物質です。目標を達成したり、褒められたりすると分泌され、モチベーションを高める働きがあります。ドーパミンが不足すると、無気力になったり、物事への興味を失ったりすることがあります。
フリーランスのイラストレーターは、不規則な生活になりがちです。締め切り前は特に、睡眠時間を削ったり、食事も簡単なもので済ませたり、運動不足になったりしやすいのではないでしょうか。こうした生活習慣の乱れが、知らず知らずのうちに神経伝達物質のバランスを崩し、五月病のような症状を引き起こしている可能性があります。
原因5:連休明けの反動
ゴールデンウィークのような長期休暇は、心身をリフレッシュさせる良い機会ですが、その反動で不調を感じることもあります。専門家は、連休中に解放的な気分で過ごし、ドーパミンが多く分泌されていた状態から、日常に戻ることでドーパミンの分泌量が減少し、意欲が低下する「連休明けの反動」も五月病の一因となり得ると指摘しています。
五月病かも?イラストレーターが自分でできる7つの対処法
もし「最近なんだか調子が悪いな…」と感じたら、無理せず自分を労わることが大切です。ここでは、専門家のアドバイスを元に、自分でできる7つの対処法をご紹介します。

対処法1:自分を責めない。「怠け」や「甘え」ではないと理解する
まず大切なのは、「やる気が出ないのは自分のせいだ」「怠けているだけだ」と自分を責めないことです。専門家も、「五月病のような症状は、ストレス反応であり、怠けや甘えとは違う」と強調しています。
環境の変化に適応しようと、心も体も一生懸命頑張っている証拠なのです。自分を責めるのではなく、「今は少し疲れているんだな」と受け止め、休息を取ることを優先しましょう。
専門家は、「自己責任であることは確かだが、どう対応するかという戦略を知らなかった場合は、自己責任だとしても何もできない」と述べています。つまり、不調の原因や対処法を知ることも、自己責任を果たすための一歩なのです。
対処法2:生活リズムを整える。基本に立ち返ろう
フリーランスは時間の使い方が自由な反面、生活リズムが乱れやすい傾向にあります。専門家は、生活リズムを整えることの重要性を説いています。
睡眠時間と起床時間を一定にする:できるだけ毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけましょう。質の高い睡眠は、心身の回復に不可欠です。
朝日を浴びる:朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。日光を浴びることで、精神を安定させるセロトニンが活性化されます。
対処法3:軽い運動を取り入れる。気分転換にも効果的
運動不足も五月病の一因となります。専門家は、軽い運動を推奨しています。
20分程度の散歩:近所を散歩するだけでも、気分転換になり、ドーパミンやエンドルフィン(脳内麻薬とも呼ばれ、幸福感をもたらす)の分泌が促されます。
一駅分歩く:もし外出する用事があれば、一駅手前で降りて歩いてみるのも良いでしょう。
フリーランスは通勤がないため運動不足になりがちですが、意識して体を動かす習慣をつけることが大切です。
対処法4:完璧主義を手放す。80点でOKの精神で
イラストレーターという職業柄、作品のクオリティにこだわり、完璧を求める方も多いかもしれません。しかし、専門家は「完璧主義を手放すこと」も五月病対策には有効だと述べています。

完璧主義は、時に自分を追い詰めてしまうことがあります。「完璧でなければ意味がない」という考えは、達成不可能な高い基準を自分に課すことになり、結果としてストレスを増大させます。
専門家は、「物事に完璧とか完全体というのはそもそも存在しない。上手くやらねばとか、できることから少しずつやるという思考が大切」とアドバイスしています。すべての案件で120点を目指すのではなく、「今回は80点でOK」と自分に許可を出すことも時には必要です。
対処法5:人と比べない。比べるなら過去の自分
SNSなどで他のイラストレーターの活躍ぶりを目にすると、つい自分と比べて落ち込んでしまうこともあるかもしれません。しかし、専門家は「人と比べないこと」が重要だと言います。
SNSで見えるのは、他人のキラキラした一面だけかもしれません。その裏には、見えない苦労や努力があるはずです。
「比べるなら過去の自分」
昨日より少しでも成長できたこと、新しいスキルを身につけられたことなど、自分自身の進歩に目を向けましょう。そうすることで、自己肯定感を高めることができます。
対処法6:趣味や好きなことで脳を休める。意識的なリフレッシュを
仕事のことばかり考えていると、脳も疲れてしまいます。専門家は、趣味や好きなことに時間を使うことで、意識的に脳を休ませることを推奨しています。
😄よく笑う
🎧好きな音楽を聴く
📖読書をする
🌿アロマを焚く
など、自分がリラックスできること、楽しめることを見つけましょう。
専門家は、「仕事や勉強以外の報酬を意識的に増やすこと。やらなければいけないことが多すぎて、やりたいことができないのではなく、時間がないと思うなら、趣味の時間をスケジュールに組み込んでしまうのも手」と提案しています。仕事の合間に、意識的にリフレッシュする時間を作ることで、結果的に仕事の効率も上がることがあります。
対処法7:未経験の環境に100%対応できないのは当然と心得る
専門家は、「未知の環境に100%対応できないのは当然のこと」と述べています。新しいクライアント、新しいジャンルの仕事、初めての営業活動など、フリーランスイラストレーターは常に新しい挑戦に直面します。最初から完璧にこなせなくても、それは当たり前のことなのです。
少しずつ慣れていけば良い、という気持ちで、焦らずに取り組むことが大切です。
どうしても辛いときは専門家の力を借りよう
セルフケアを試みても、なかなか症状が改善しない、日常生活に支障が出ているという場合は、無理せずに専門家の力を借りましょう。
専門家への相談の目安
専門家が示す、医療機関などへの相談を検討する目安は以下の通りです。

2週間以上、気分の落ち込みや無気力が続く
食欲や体重に大きな変化がある(極端に食べられない、または食べ過ぎるなど)
「自分はいない方がいい」「消えてしまいたい」といった考えが浮かぶ
睡眠障害が続く(なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、逆に寝すぎてしまうなど)
これらのサインが見られたら、心療内科や精神科、カウンセリングルームなどに相談することを考えてみてください。
専門家によるサポートの例
専門家は、いくつかの心理療法についても言及しています。
認知行動療法:ものの受け取り方や考え方(認知)に働きかけて、気持ちを楽にする心理療法です。専門家によると、無意識に浮かぶ否定的な考え(自動思考)を修正する手助けをしてくれるとのこと。例えば、「このままだとダメになる」とつい考えてしまう思考パターンを、「これは一時的な疲れで、回復に必要な期間なんだ」と捉え直す(リフレーミング)練習をします。
【専門用語解説:自動思考とリフレーミング】
▶ 自動思考:ある状況に置かれたときに、瞬間的に頭に浮かぶ考えやイメージのこと。ネガティブな自動思考が続くと、気分が落ち込みやすくなります。
▶ リフレーミング:ある出来事や状況に対する考え方の枠組み(フレーム)を変えることで、ネガティブな感情をポジティブなものに変えたり、新しい視点を得たりする技法です。
マインドフルネス瞑想:「今、この瞬間」の自分の体験に注意を向け、現実をあるがままに受け入れる心の状態を目指す瞑想法です。専門家は、瞑想は他人にガイドしてもらうことで、準備や集中がしやすくなると述べています。ストレスを抱えていると、瞑想に集中すること自体が難しいため、専門家のサポートが有効です。
対人関係療法:対人関係のストレスに焦点を当て、コミュニケーションのパターンを見直したり、問題解決スキルを高めたりする心理療法です。フリーランスの場合、クライアントとの関係や、同業者とのつながりなど、仕事上の人間関係のストレスを整理し、調整するのに役立ちます。
専門家は、「技法を知っている人に頼んだ方が良い」と述べており、自分一人で抱え込まず、専門知識を持つ人のサポートを受けることの重要性を示唆しています。
五月病を乗り越えて、もっと輝くイラストレーターへ
五月病のような心の不調は、決して特別なことではありません。環境の変化が激しい現代社会において、誰にでも起こりうることです。特に、常に新しい挑戦と向き合い、自分自身で道を切り拓いていくフリーランスのイラストレーターにとっては、避けて通れない壁かもしれません。
しかし、専門家はこうも語っています。
「一度、適応障害のような状態を経験し、それに対応して乗り越えることができれば、同じような状況になっても以前より強く対応できるようになる」
つまり、この経験は、あなたをさらに成長させるための糧となるのです。
大切なのは、自分の心と体の声に耳を傾け、無理をせず、時には立ち止まって休息すること。そして、必要であれば専門家の力も借りながら、自分に合った対処法を見つけていくことです。
「五月病」を上手に乗り越えて、再び創作の喜びを感じ、フリーランスイラストレーターとしてさらに輝いていきましょう。
あなたの素晴らしい才能が、これからも多くの人を魅了し続けることを心から応援しています。
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