見出し画像

柄谷行人『憲法の無意識』(900字)

①「憲法改正の困難」

柄谷は「憲法9条改正がなかなか実現しない理由は、日本国憲法が米国に押し付けられたものだからだ。」と言っている。

押し付け憲法だからこそ改正しなければならない、というのが改憲論の根拠の一つであり、それに対する反論として日本人の間にあった議論が反映されているというものがあるのだが、柄谷はどちらでもない。

柄谷の議論はフロイトの精神分析を論拠にしていてユニークだ。フロイトによれば「最初の欲動の断念は外部の力によって強制される。」9条の場合、欲動は攻撃欲である。強制は、超自我(米国)による禁止であり、超自我に抗うことは困難というわけである。フロイトは「欲動の断念が倫理性を生み出す。」とも言っている。

柄谷は9条限定で述べているのだが、日本国憲法は9条だけが押し付けられたわけではない。全体が押し付けられたものであり、9条だけ改正できないというのは変だ。


②「新自由主義は帝国主義の言い換え」


近代社会では、帝国主義という用語は頻用されたが、現代では使わていない。そこで言い換えが行われたというわけである。

例えば、医療費の患者の自己負担を増加させる政策は背景に米国の保険会社の意思が働いているというようなことを考えれば、「新自由主義は帝国主義の言い換え」であるという主張は正しい。新自由主義は覇権国である米国の衰退の結果、余裕の無くなった米国が、同盟国などに自らの意思を強要するためのイデオロギーであると見ることができる。


③「将来の覇権国は中国とインド」

柄谷は「人口から考えても、将来の覇権国は中国とインド」と言っている。中国とインドで二分するというのなら合っているかもしれない。米国の役割はインド、ソ連の役割は中国が継承すると考えれば、中国、インドが超大国として覇を唱えることになるだろう。ただ人口だけが覇権国の要素ではない。また本当は覇権国というのは一つである。

④憲法改正

今年で日本国憲法公布から80年を経過し、時期的にはそろそろ改正されてもおかしくない。憲法改正がいよいよ実現する段階になった時、識者達が、どのような発言をするか注視したいと思う。


お読みいただき、ありがとうございました。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集