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やべえ。もやし焼き、覚醒しました。(つくってみた)

皆さん、大事件です。

私の生命線を支える主食が、
ついに上位職へとクラスチェンジを果たしました。

その名も「もやし焼きEX」。

「なんだ、ただのもやしを粉で焼いたやつじゃん」
と鼻で笑ったそこのあなた。

甘い。

業務スーパーの、1キロ入り白砂糖くらい甘い。

人類はまだ、この料理に秘められた
真のポテンシャルを知らないのです。

数年にわたる極貧サバイバル生活の末、
私はある一つの真理に到達しました。

たった一つのアイテムを合成するだけで、
伝説の料理に進化するということを。

ついに!

その禁断のアイテムを引き当ててしまったのです。

事の始まりは、限界民の聖地である、
業務スーパーでの物資調達クエストでした。
私はなけなしの小銭を握りしめ、
錬金術の基本素材である中力粉をロックオン。

1kg、150円。

一般のスーパーなら250円はくだらないこの白い粉。
これを入手した時点で、
私のクエストは半分成功したようなものです。

心の中でガッツポーズを決め、
私は次なるダンジョンの、
クスリのアオキへと足を踏み入れました。

そこで、運命のエンカウントが待っていたのです。
見切り品コーナーで神々しい光を放つ、
25円に値下げされた「もやし」。

神か。いや、神である。

そして、今回の主役となる禁断の魔法アイテム。

紅ショウガ、98円。


財布の残高を何度も確認し、
息を殺してレジへ向かう。

中力粉、もやし、紅しょうが。
これだけ買っても、ワンコインでお釣りが来る。

石油王にでもなったかのような、全能感に包まれます。

帰宅後、さっそく錬金術の開始です。

ボウルに中力粉と水を入れ、
スライム状になるまで無心でぐるぐる混ぜる。
そこへ、25円のもやしを豪快に投下。
そして、いよいよ、禁断のアイテムを解放する時。

紅しょうが、ドゥーーン!!!

これです。

赤い。美しい。ボウルの中に広がる鮮やかな深紅。

見るからに、
「クックックッ……。私を混ぜればよいのだ。
 お前の料理の攻撃力を、一段階引き上げてやるぞ」という、
 圧倒的な強者のオーラを放っている。

混ぜる。
熱したフライパンにぶち込む。
焼く。

ジュゥゥゥゥゥ……ッ!!!

ああ……このASMRだけで、白飯が三杯はいける。
いや、白飯なんて高級品はウチには無い。
だから、これを主食として食うのだ。

焼き上がった物体に、
ソースとマヨネーズを親の仇のようにドバーッとぶっかける。

完成。

これが上位スキル(もやし焼きEX)。

いざ、実食。
一口かじる。

「……。」

うっっっっっっっっっっっま。
えっ、何これ。バグ? 味覚のバグ??

今まで私が食べていた「ただのもやし焼き」は、
スライムを棒で叩くレベル1のチュートリアルだったらしい。

紅しょうがという、バフが付与された瞬間、
私の主食は一気に、
レベル99のカンスト状態へと跳ね上がったのだ。

たった98円。されど98円。

紅しょうが。

お前は、貧乏料理界を救うために遣わされた勇者だった。

ソースの甘辛さ、マヨネーズのコク、
もやしのシャキシャキ感、
そこへ、紅しょうがの圧倒的な、
酸味と辛味のメテオストライクが突き刺さる。

完璧なフルコンボである。

しかも、驚くべきはこの総量。

この錬金術、一回の発動では終わらない。
ボウルにはまだ、あと二回は戦えるだけのタネが残っている。

つまり、一食あたりのコストは……。

いや、計算はやめておこう。

リアルな数字を弾き出すと、
謎の虚しさが襲ってきて、
せっかくの「幸せパラメーター」が……
急激に減少してしまう気がするから。

私は今、日本で一番美味いものを食べている。

もちろん、壮大な勘違いである。

ミシュランの星がつくような高級レストランになんて、
前世から一度も行ったことがない。

でも、不思議なもので。

腹が減りきって、財布のHPも赤ゲージで、
「今日はもうこれを作るしかない」
という背水の陣で焼き上げたこの一枚は、
きっとどんな高級フレンチのフルコースにも負けない。

……たぶん。知らんけど。

もし今、極限の金欠状態で食費に悩んでいる同業者がいたら、
ぜひこの錬金レシピを試してみてください。

小麦粉
もやし
紅しょうが
ソース
マヨネーズ

これだけで、人間の幸福度は限界突破します。

少なくとも私は、このレベル99のバフ飯を食らいながら、

「よし、これであと数ヶ月は生き延びて、
 頭の中のファンタジー世界の執筆作業を、
 狂ったように続けられるな……!」

そう、本気で確信しました。

もちろん、長期的にはちゃんとした栄養も取らなきゃダメです。
でも、今日だけは、世界の中心で叫ばせてください。

紅しょうがは、世界を救う。

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アイネコ ここまで読んだあなたは、だいぶ仲間です。 チップというパン代を投げてくれると、たぶん明日も生きます。

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