「普通の子」 朝比奈あすか(著)を読んだよ。
「いじめ」問題に正面から切り込む、著者渾身の意欲作!
成績は平均的。口答えもそれほどしない。
ごくごく普通のわが子が、教室のベランダから飛び降りた。
佐久間美保は小学5年生の息子・晴翔(はると)と、同じ会社で働く夫・和弥と、忙しないながらも普段通りの毎日を過ごしていた。そんなある日、晴翔が小学校のベランダから転落して骨折してしまう。転落した理由を尋ねるも、息子はかたくなに口を閉ざしたまま。ひょっとすると、わが子はいじめを受けていたのではないか――。そう思った美保は独自に真相を探ろうとするが、自身も小学生時代に、あるいじめを「体験」した記憶がよみがえり……?
事件の真相を追う母親に、過去の子ども時代が交錯する。
すべての記憶を揺るがす、衝撃のラスト10ページ!

とても面白く読めました!
でも流石に出版社の煽り文句はチープ過ぎるというかありきたり過ぎてもう少し丁寧なコピーを考えても良いんじゃないか?とも思います。
出てくる人は大人も子供も「普通」に収まる人ばかり。
だからこそ人間の本質がそこにあって面白いです。
確かにラストに向けて加速しますが、本をよく読んでる人や人間の本質を漠然と理解している方なら数ページ読んだだけでラストはどうなるかは大体想像できると思います。
虐めを扱った本作なので人によっては体調の良い日に読んだ方がよいかもしれません。
個人的にはおすすめの一冊です。
さてここから若干のネタバレ?
佐久間美保という旦那と小学5年生の息子がいる主婦。
主人公も旦那も同じ警備会社で働いき持ち家もある。
十分幸せに見える家庭でも主人公は仕事や家のローンなどで毎日息苦しさを感じている。そして旦那に対する不満も少々。
そう全て普通だ。そして「自分は悪くない」という他責の思いを丁寧に、丁寧に、丁寧に書いてある(笑)
主人公の小学生時代のエピソードも含めて「自分は悪くない」「自分は大変」という主人公の思いをしっかりと描いている。
また子供を自分の分身のように思っているのだろう「子供は悪くない」とも思っている。そういう気持ちやエピソードを丁寧に丁寧に繰り返し描いてあるので読んでる人は人によってかなりの違和感を覚えるだろう。
個人的には
「人は記憶を書き換える」
「子供に純粋無垢を求め過ぎてはいけない」
「子供は演技する」
「邪悪に大人も子供も無い」
「嘘つきの大人は嘘つきの子供の成れの果て」
「だからこそ教育と丁寧なコミュニケーションは大事」
と思っているのでこの小説の結末はまあそうなるよねという感じではあった。
またいじめについてもよく、いじめた方が絶対的に悪い!
と言われるけれどあまりにも物事をシンプルに見ようとし過ぎていたり、
それは問題から逃げてるようにも思う。物事はシンプルにしてしまうと大切なものまで切り捨ててしまう事も多い。人には色んな面があり色んなものの見え方がある。勿論どんな理由があれど表面化させずに人を私刑で追い詰める事はあってはならない。
圧倒的邪悪の加害と虐められっ子にも問題があるの間には
やはり「被害者であり加害者」という場合が個人的には圧倒的に多いと過去の経験から思っている。もちろん加害者意識が無い人が被害者になって被害を訴えている場合もあるし、なんの落ち度も無く邪悪な存在によって被害を受ける場合もある。だからこそ型に当てはめていじめをなくそうなんてのは絵空事に感じてしまう。
本来はなぜそういうトラブルに巻き込まれたかをしっかりと親や子学校関係者が向き合う必要がある。とても嫌で面倒で気持ちの良い事では無いけれど。
あとよく言われる虐めやトラブルから「逃げろ」という人が居るけれど個人的にはあまり好きじゃないし言いたくない。
「逃げろ」ってひたすら後ろ向きに聞こえるし、言われた方も負い目を感じる。
環境を変える、進学先を考える、進路を変える、ライフスタイルを変えるは別に逃げる事じゃない。「選択」でありその選択はより良い自分の人生を歩む為のその人の正当な権利である。
またより良い人生を歩むには必要以上に「人の恨みを買うような人を軽んじる行動」は避けるべきである。
案外軽々しくやってしまいがちだけれどとてもコスパの悪い行動。
常に他人に敬意を持って接してコミュニケーションすれば下手でも悪い人生にならないとも思う。
この主人公も変化を嫌い、問題に向き合わない性格で騙し騙しの人生を送ってきた歪みが時限爆弾のように爆発してしまった。
そうならないように丁寧な暮らしとコミュニケーションを心がけたい。
このように色々再確認したり、思いを巡らせさせてくれた本作品に感謝したい。
そして最後に一つ怖いことを言うけれど…
野々村君は誰も赦してはいない


