見出し画像

呪願の代償 終章 ハッピーエンド

 暗闇の中、ほのかに辺りを照らす白い光がある。

 この世の光ではない。誰も、その光を見ることは出来ないだろう。

 その光の中に、ブレザーの制服に身を包む少女の姿があった。すらりとした容姿、長い黒髪が背中に流れ落ちる。

 少女は右手をスッと前に伸ばし、何かを摑むように指を曲げている。

「観念して」

 優しく静かな口調だが、声音は冷たい。

 モスキート音のようなかん高い、耳障りな音が辺りに響き渡った。

 目に見えない何かを少女がぎゅっと握りつぶすと、さらにかん高く音が鳴り響いた。

 指にぐっと力が込められて、少女は何かを握り絞める。

 同時に大きな破裂音がした。

 すると、霧が晴れるように暗闇が徐々に薄まり、太陽の光が辺りを照らしだした。

 半分崩れた廃墟。

 コンクリートの塊が積み重なったがれきの上に、ブレザー姿の少女が立っていた。

 両手で手のひらをはたいて、軽い足取りでがれきから降りる。

 がれきの下で尻餅をついた男に、少女は手を差し伸べた。

「槙人おじさん、やっつけたよ」

 槙人が体を起こして、内ポケットに入れておいた、文字が書かれた紙に包まれたものを少女に渡した。

 少女がそれを太陽にかざして呟く。

「まだまだだね」

「少しずつだけど、ちゃんと浄化出来てるよ、涼々」

 封印されたラムネ瓶を、涼々は握り絞める。

 まだ、ラムネ瓶は黒い。

 そして、涼々の贖いは始まったばかりだ——。

いいなと思ったら応援しよう!

🐱藍上央理🐱 面白かったら、応援よろしくお願いします。いただいたチップは小説家としての活動に使わせていただきます!