いじられるセブチメンバー、ネタになるセブチメンバー-セブチの「名前」を受信する
いじられるセブチ、ネタになるセブチ
セブチを見ていると、よく名前が出るメンバーがいます。
「スングァン、また呼ばれてる」
「ジョンハンの話になると、コメント欄が伸びる」
「ミンギュ、いつもいじられてない?」
こういう感覚、カラットなら何となく持っていると思います。
でも、ここで終わると「それって単なる感想ですよね」の世界になる。
今回は、GOING SEVENTEENの字幕123話分と、韓国語コメント12,806件のデータを使って、セブチの「名前」がどう出てくるのかを数えてみました。
すると、想像していたのとは少し違う、はっきりした構造が見えてきました。
先に、この記事の地図を出しておきます。見えてきたのは、3つの層です。
ひとつ、番組の中には「いじられる人」と「ネタになる人」がいる。
ふたつ、番組でよく名前が出る人と、ファンが語りたくなる人は、ぜんぜん違う。
みっつ、その中で一人だけ、別格の存在がいる。
順番に、受信していきます。
第1の層 ―「いじられる人」と「ネタになる人」
まず、字幕の中でメンバーの名前がどう出てくるかを見ます。
ここで一つ、面白い分け方ができます。同じ「名前が出る」でも、出方が2種類あるんです。
ひとつは、呼びかけ。「ヤ、スングァン!」「ちょっとバーノン!」と、その場で名指しで呼ばれる。韓国語だと `승관아` `버논아` のように、名前のうしろに `아/야` が付く形です。
もうひとつは、言及。「さっきのホシがさ」「ミンギュがね」と、話題として名前が出る。誰かについて話している形です。
字幕の名前を、この2つに分けて数えました。すると、13人がきれいに2つに割れました。
呼ばれる人(名前の60%以上が「呼びかけ」)
メンバー : 呼びかけの割合
スングァン :73.5%
バーノン : 68.3%
ドギョム : 62.4%
ジョンハン : 61.8%
語られる人(名前の85%以上が「言及」)
メンバー :呼びかけの割合
ホシ : 13.1%
ミンギュ :15.8%
ウジ : 16.3%
ウォヌ :9.7%
エスクプス : 10.3%
ジョシュア : 6.5%
ディエイト : 7.5%
13人の平均は約30%。でも実際には、60%以上の人と、25%以下の人に、ぱっくり分かれます。中間がほとんどいない。
この差は、何を意味しているのか。
呼びかけが多い人は、その場で名指しでかまわれる人です。「ヤ、スングァン!」と呼ばれて、ツッコまれて、いじられる。場の中心で、宛先になっている。
言及が多い人は、あとで話題になる人です。その場で名指しされるより、「さっきのあれ、ホシがさ」とエピソードとして語られる。ネタとして転がっていく。
だからこの2つを、こう呼んでみます。
いじられる人(スングァン、バーノン、ドギョム、ジョンハン)
ネタになる人(ホシ、ミンギュ、ウジ、ウォヌ、ジョシュア…)
ここで、ちょっと意外なことに気づきます。
GOING SEVENTEENで一番の盛り上げ役と言えば、ホシやスングァンの名前が浮かぶ人が多いと思います。でもデータ上、スングァンは「いじられる人」の1位(73.5%)、ホシは「ネタになる人」側(13.1%)。同じ「面白い人」でも、名前の出方は正反対なんです。
それは性格ではなく、立ち位置
ここで一つ、注意しておきたいことがあります。
「いじられる人」と聞くと、性格の話だと思うかもしれません。でも、これは性格ではありません。
その証拠に、「いじられる人」側を見てください。スングァン、バーノン、ドギョム、ジョンハン。バーノンはマイペースで飄々としたタイプで、スングァンのように場をかき回す人ではありません。性格はバラバラです。
では、何が共通しているのか。
ひとつは、名前の呼びやすさ。`승관아` `도겸아` `버논아` `정한아`。どれも `아/야` を付けて呼びかけやすい音です。
もうひとつ、これが大事なんですが、年齢の立ち位置です。
前回の記事で、セブチは出生年で序列を整理している、という話をしました。その地図で見ると、「いじられる人」側は、下のラインや、いじられても許される位置にいる人が多い。逆に「ネタになる人」側のエスクプス(最年長リーダー)やウジ(制作の中心)は、気軽に `쿱스야` `우지야` と呼び捨てでいじる相手ではありません。
つまり、名前の出方は、性格よりも、呼びやすさと、年齢・役割の立ち位置を映している。
ここに、韓国語の面白さがあります。誰を `아/야` を付けて呼べるか。誰は呼びにくいか。それ自体が、関係の地図なんです。日本語で「呼び捨てにできる相手か、さん付けする相手か」を無意識に選んでいるのと、少し似ています。
第2の層 ― 番組とコメント欄で、順位が変わる
さて、ここまでは「字幕の中」の話でした。
ところが、ファンの韓国語コメント欄を見ると、景色がまるで変わります。
字幕で名前がよく出る順と、コメントで名前が語られる順を、並べてみます。
メンバー | 字幕での順位 | コメントでの順位
ジュン | 1位 | 11位 |
ドギョム | 2位 | 9位 |
スングァン | 3位 | 7位 |
ミンギュ | 4位 | 8位 |
ホシ | 5位 | 2位 |
ジョンハン | 9位 | 1位 |
ウジ | 11位 | 3位 |
ディエイト | 13位 | 6位 |
見ての通り、順位がぐちゃぐちゃに入れ替わります。
字幕で1位のジュンは、コメントでは11位。番組の中ではいちばん名前が出るのに、ファンはそこまで語らない。
逆に、字幕で13位のディエイトは、コメントでは6位。番組での露出は最少なのに、ファンはよく語る。
この入れ替わりが、何を教えてくれるか。
字幕は、番組の中でどう機能しているかを示す。
コメントは、ファンが誰を語りたいかを示す。
この2つは、別物なんです。
番組の中で名前がよく出るのは、呼ばれやすかったり、進行上いじりやすかったりするから。でも、ファンが語りたくなるのは、それとは違う理由です。かっこよかった回、キャラが刺さった瞬間、誰かとの関係、そういうものが、コメントの名前を動かします。
たとえばジュン。字幕では断トツ1位なのに、コメントでは11位。これは「人気がない」ということでは、もちろんありません。番組の進行の中で名前がよく出る(呼ばれる・話題になる)ことと、ファンがわざわざコメントに書きたくなることは、別の話だ、というだけです。
前編で、こういうことを書きました。本編字幕は推しが何を言ったかを教えてくれて、コメント欄はカラットが何に反応したかを教えてくれる、と。名前でも、まったく同じことが起きています。
第3の層 ― 一人だけ、別格がいる
ここまでで、2つの層を見ました。番組の中の「いじられる/ネタになる」。そして、字幕とコメントの「ズレ」。
その全部を通して、一人だけ、明らかに様子が違うメンバーがいます。
ジョンハンです。
ジョンハンは、字幕では9位。番組の中では、そこまで名前が出るほうではありません。いじられる人ではあるけれど、出現数で言えば中の下です。
ところが、コメントでは1位(905件)。ファンが、いちばん語りたいメンバーなんです。
字幕9位から、コメント1位へ。順位の跳ね上がりは、13人で最大でした。これはファンじゃなくても何となく分かります。「顔は天使、心はジャイアン」というキャラの立ちっぷりからすれば当然言及回数は増えるのは察しが付きます。
しかも、ジョンハンの特別さは、それだけではありません。
韓国語コメントで、同じコメントの中に2人の名前が一緒に出る「ペア」を数えると、上位はこうなります。
ペア | 一緒に語られた回数 |
ジョンハン × エスクプス | 106 |
ジュン × ディエイト | 70 |
ジョンハン × ミンギュ | 70 |
ホシ × ウジ | 69 |
ジョンハン × ジョシュア | 67 |
ディノ × スングァン | 66 |
ジョンハン × ウォヌ | 61 |
上位7ペアのうち、5つにジョンハンがいます。
これは、すごいことです。ジョンハンは、一人で語られるだけでなく、誰と組ませても語られる。エスクプスと、ミンギュと、ジョシュアと、ウォヌと相手を変えて、何度も話題になる。
つまりジョンハンは、ファンがセブチの関係を語るときの、中心の結び目(ハブ)になっているんです。
ジョンハンの名前が出ると、そこに95年組、年上ライン、いたずら、儚さ、強さ・・・いろいろな読みがくっついてくる。ファンはジョンハンを、一人の個人としてだけでなく、「セブチの関係を語る入口」として使っている。
番組の中ではそこまで呼ばれないのに、ファンの世界では中心にいる。この字幕とコメントのギャップこそ、ジョンハンというメンバーの位置を、いちばんよく表しています。
ペアで見ると、フィルターが見えてくる
ジョンハン以外のペアも、面白い読み方ができます。
2位の ジュン × ディエイト(70回)。これは、上位ペアの中で唯一、ジョンハンが絡まない組み合わせです。しかも2位。
なぜ、この2人がこんなに一緒に語られるのか。年齢でも、同じユニットでもありません。共通点は、二人とも中国出身だということです。
ファンは、セブチを13人の個人としてだけ見ているのではありません。
ジョンハン × エスクプス なら、95年組・リーダーライン。
ホシ × ウジ なら、96年組・ステージを作る側。
ジュン × ディエイト なら、中国ライン。
ディノ × スングァン なら、末っ子まわりの距離感。
名前のペアの裏に、いつも何かの「フィルター」が働いています。年齢。役割。国籍。ユニット。ファンは、そのフィルター越しに、無意識にセブチの関係を語っています。このフィルターこそは今まで解説してきた「年齢」「役職」を重視する儒教的なフィルターとも言えるでしょう。
だから、コメント欄の名前の並びは、ただの人気順ではありません。ファンがセブチをどう分類し、認識しようとしているかが見える地図なんです。
まとめ ― 名前を受信する
今回数えて見えてきたのは、単なる人気順ではありませんでした。
第1の層:番組の中には「いじられる人」(スングァン・バーノン・ドギョム・ジョンハン)と「ネタになる人」(ホシ・ミンギュ・ウジ…)がいる。それは性格ではなく、呼びやすさと年齢の立ち位置の反映。
第2の層:番組でよく名前が出る人(ジュンが1位)と、ファンが語りたい人(ジョンハンが1位)は、まるで違う。字幕は番組内の機能、コメントはファンの視線。
第3の層:その中でジョンハンだけが別格。字幕9位→コメント1位、しかも誰と組ませても語られるハブ。
セブチを見るとは、13人の名前を覚えることではありません。(覚えるの大変だったけど・・・)
その名前が、どう呼ばれ、どう語られ、どんなフィルター越しに見られているかを受信することです。
そこまで見えてくると、GOING SEVENTEENはただのバラエティではなくなります。本編は、セブチが番組の中でどう動いているかを教えてくれる。コメント欄は、カラットがセブチをどう見ているかを教えてくれる。
