「ムーンライトエイリアンズ」第6話
人物表
鷲宮星彦(16)アルタイル星人
久住公晴(17)ヴァンマーネン星人
竹中光(16)月の民
小日向恋綿(17)星彦のクラスメイト
徳永雅(16)光の友人
新川椿(16)光の友人
鈴谷茉子(16)光の友人
安達晃一(36)星彦の担任教師
エンラ(44)金星人
マツリ(24)金星人
グァルネリ(27)木星人
ホワイトアウト(17)海王星人
スノードーム(20)海王星人
アイスクリーム(9)海王星人
本文
○星琴高校・教室(朝)
教室内には生徒がまばらに座って各々勉強している。鷲宮星彦(16)は席に座って手に持ったのライターを眺めている。その後ろの席には小日向恋綿(17)が教科書越しに星彦のことをバレないようにコソコソと見ている。
星彦「(M)あのエンラってやつも竹中さんの懸賞金狙い。でも奴は久住やプロキオン星人と違ってツーマンセルで動いてた」
教室に久住公晴(17)が入ってくる。公晴はライターを見ている星彦を一瞥するも、黙ったまま星彦の隣の席に座る。
星彦「(M)もう組織ぐるみで竹中さんを狙いに来ていると考えた方がいいだろう。ただ、そうなれば僕一人、その上竹中さんに正体を隠しながら異星人を撃退するのは難しくなる。そうなれば……」
星彦は隣に座る公晴を見る。公晴は気まずそうに星彦の方を見る。
公晴「な、なんだよ。なんもしてないぞ俺……」
○同・図書室前(朝)
図書室のドアは大破しており、その前にはカラーコーンが置かれ『生徒立ち
入り禁止』と書かれている。図書室の前を竹中光(16)徳永雅(16)新川椿(16)鈴谷茉子(16)が通り過ぎようとするが、光が立ち止まって図書室の中を見ている。
椿「どうしたの? 早く行こうよ」
光は椿の方を一瞬見て、再び図書室の中を覗く。
雅「まあ実際気になるよねー。学校でこんなこと普通起こらんしさー。しかも図書室でガス爆発って!」
雅も図書室の中を覗く。
椿「……確かに、調理室とかなら分かるけど、図書室って変だよね」
雅「誰かが爆発させたんだよ! きっと!」
椿「ええ? その方が変でありえないよ」
茉子が肩にかけたスクールバッグの紐をギュッと握る。
茉子「……私さ、見たんだ」
雅と雅が茉子の方を見る。光は図書室の中を除いたままぼーっとしている。
雅「なになに!?」
茉子「……ボロボロの図書室から、小日向ちゃんを抱えた鷲宮くんが図書室から出てきたのを……」
光は茉子の方をバッと見る。
○同・教室(朝)
教室では生徒達が席についてテストを解いている。黒板には『現代文』と書かれており、その前には安達晃一(36)が座って本を読んでいる。
星彦「(M)……仮に組織で動いていたんだとしたら、もうこの高校に竹中さんがいるという情報も共有されているはず。地球人はまだ異星人の存在を知らない。だから、地球においての異星人の戦闘は銀河系法で犯罪とされる。だから、組織としても目立った行動はできないはず……」
椿「(M)鷲宮くんが……? あんまり喋ったことないけど、もしかして凄いヤンキーなのか……?」
雅「(M)ワッシーとコヒちゃんが!? 意外な組み合わせ!」
茉子「(M)……やばい、余計なこと言っちゃったかな……」
公晴「(M)俺、鷲宮に何かしたか……?」
恋綿「(M)鷲宮くん、話してみたい……」
星彦「(M)ただ、組織がどれほどのものかによっては、法を犯すことを厭わないことも考えられる。金星人が送られてきたんだ。銀河系が連盟になって竹中さんを狙っている可能性だって十分ある。……ダメだ、ダメだな。今は一旦テストに集中しよう」
星彦は首を大きく横に振る。公晴、雅、椿、恋綿はそれをみてビクッとする。
公晴・雅・椿・恋綿「(M)集中できない……」
×××
生徒達は席に座りながら机の上にバッグをおいて各々談笑している。
安達「……はい。お疲れー。明日も頑張れよなー」
生徒達は教室から出たり、そのまま談笑したり、勉強したりする者で分かれ
ている。星彦はバッグを肩にかけ、隣に座る公晴の方を見る。
星彦「……久住、この後は暇か?」
久住はビクッとして星彦を見る。
公晴「……お、おう」
光は二人の様子を後ろからぼーっと見ている。
○ファミリーレストランタケウチ
テーブル席に星彦と公晴が向かい合う形で座っている。公晴の前にはパスタ
が置かれており、星彦の前にはパフェが置かれている。
公晴「……つまり、姫様を狙って組織ぐるみで動き始めてるかもしれない、と」
星彦「うん」
公晴「そんで、一人じゃ手が回らねえから俺にも手伝ってほしいってことか?」
星彦「そうだ」
公晴「ハッ、断るぜ」
星彦「……」
公晴「自分勝手が過ぎないか? 要は復讐を確実に実行するために協力してくれってことだろ? 確かに俺は鷲宮に監視されてる身だ。だからって下僕になったわけじゃねえ。ましてや狙ってたターゲットを逆に護衛するなんて、バウンティハンターにとっちゃあ最高の屈辱だぜ」
星彦「……そうか。そうだよな」
公晴「……随分余裕が無いみたいだな。俺が協力しないことなんて、ちょっと考えればわかることだろ」
星彦「銀河中を相手にしようとしてるんだ。一人じゃ流石に無理が生じてくる」
公晴「……いいのか? そんな状況なのに俺とこんなところに居て」
星彦「羽代市内なら竹中さん気配を感じ取れる。異常があっても僕ならすぐにわかるし、この距離ならすぐに駆けつけられる」
公晴は星彦の目を見ながら話す。
公晴「……取引だ、鷲宮。お前に協力してやるから俺を監視下から外してくれよ」
星彦「……え?」
公晴「何があったって俺は姫様を守ったりはしない。鷲宮のために戦うようなこともしないさ。ただ、情報提供はしてやるよ。俺は星々を飛び回るバウンティハンターだからな。色々知ってんのよ。……お前がどんなアルタイル星人か、ってこともな」
星彦「……分からないな。そこまでして監視から逃れたいものか? 久住の自由を奪うようなことはしてないだろ」
公晴「余裕が無くなって察しも悪くなったか? 監視をやめてくれってのは建前で、要は対等な関係に戻ろうってことが言いたいのさ。皆まで言わせるなよな、まったく」
星彦「それこそ建前だろ。口先だけで対等に戻ったと言っても、本質的に対等になれないことは、久住が一番わかってんだろ」
公晴はフッと笑う。
公晴「分かってたのか。俺らがアルタイル星人と相性悪いことを」
星彦「……お前が放つビームは、超高密度に凝縮されて光を放っているだけのただ水だ。確かに、それを高出力で放てば大抵の敵にとっては命取りになる」
公晴「そう、鷲宮みたいな奴ら以外はな。水を操れるような奴に対しては、俺は武器を持ってないようなもんだ」
公晴はパスタをフォークに巻き付ける。
公晴「鷲宮と姫様に牙向こうとして言ってる訳じゃないのが分かっただろ。言われた通り情報を誰かにリークするようなこともしねえ。……どうだ? 鷲宮にとってはメリットしか無くないか?」
公晴が巻きつけたパスタを口に運ぶ。星彦は考え込むようにパフェを見つめる。パフェに乗ったアイスクリームが溶けていく。
公晴「……悩んでいるようだから特別に一つ良い情報を提供してやろう。鷲宮が戦ったエンラって金星人はな……」
○太陽系星間警備隊本部・廊下
T―土星・太陽系星間警備隊本部
シックで薄暗く長い廊下、窓の外は天の川のような幻想的な星空が広がっている。スーツ姿のエンラ(44)と体の半分が機械のマツリ(24)が歩いている。
エンラ「はぁー、叱られちゃうかなー」
マツリ「叱られるで済んだらマシなほうです」
エンラ「マツリが見つけた時捕まえてくれりゃあよかったのに」
マツリ「あんなところで私が力を使ったら目立ち過ぎます。分かってて言ってますよね」
エンラ「分かってるけどぉ、分かんねえのよぉ……」
エンラがため息をついて俯いて歩く。
マツリ「……何か用ですか?」
エンラ「えぇ?」
エンラが視線を上げるとそこには木星人のグァルネリ(27)が立っている。肌の色はベージュ、指揮者のような格好でダークグリーンのタキシードを身に纏っている。頭部には額から伸びた10センチ程度の鋭いツノがあり、黒髪のぴっちりとしたボブカットで目を閉じている。グァルネリを見たマツリは機械ではない部分から汗を垂らしている。
エンラ「あらぁ……、久々じゃないか。グァルネリ君。元気そうで」
グァルネリ「中央議会に向かわなくて結構ですよ。金星人諸兄姉」
エンラ「え! もしかして俺クビ!?」
肩をこわばらせるエンラ。
グァルネリ「いえ、今回の議会でエンラ様に対する処罰は下されていません」
エンラはホッとして肩を撫で下ろす。
グァルネリ「それよりも、早急に時期かぐや姫と、護衛についているアルタイル人への対応を急ぐよう、指示が下りました。エンラ様への処罰は次回の議会に回されました」
エンラ「そりゃ流石にお咎めなしってわけにゃあ行かないよな……」
エンラはため息をつきながら俯く。
マツリ「それで、グァルネリ様はどうしてここにいらしたんですか……?」
グァルネリ「ジャズ=デリ様に命じられました。エンラ様が来ると面倒そうだ、と止めてくるように」
エンラ「……えぇ? どういう意味だぁ? 俺、ジャズちゃんに嫌われてんの?」
エンラは姿勢をそのままに視線だけをグァルネリに向ける。
グァルネリ「……地球に、海王星の三兄弟が送り込まれることに決定が下りました」
マツリはごくりと唾を飲み込む。エンラから呆れたように乾いた笑いがでる。
エンラ「……なるほど、当て付けってわけね」
○海岸(夕)
海岸に巨大な菱形十二面体が存在感を放っている。十二面体は水色で、細い黒色の線が細かく描かれている。海岸には十二面体を中心に、クレーターができている。クレーターの周囲には分厚い氷で氷漬けになった海水浴客が大量にいる。十二面体の一面が大きく開く。中から海王星人のホワイトアウト(17)スノードーム(20)アイスクリーム(9)が出てくる。3人とも真っ白な肌で、水色の髪色である。ホワイトアウトは両腕に銀色のガントレットをつけている。スノードームは長髪の長身、文豪のような服装でから傘をさしている。アイスクリームは120cmにも満たない身長のお団子ヘアである。
ホワイトアウト「スノードームが変にいじるせいでメチャクチャな座標に着陸しちまったじゃねえか! カス! バカ! 死ね!」
スノードーム「仕方ないよ。これが、地球人が言うところの”運命“だったんだよ」
ホワイトアウト「テメェのミスだ! 認めろカス! 謝れバカ! 死ね!」
アイスクリーム「地球あっつーい……」
アイスクリームは右の手のひらを上に向ける。手のひらから雪が湧き出し、雪だるまのようなものができるも、溶け出して形を保てない。
アイスクリーム「やばっ! ゴーレムちゃん出せないよ! すぐ溶けちゃう!」
スノードーム「……綺麗だ。どんなにもがこうとも、忘れ去っていくだけの思い出のようだね」
ホワイトアウト「意味分かんねーこと言ってんじゃねーぞカス! 殺すぞバカ! 死ね!」
スノードームはアイスクリームの肩に手を置く。
スノードーム「アイス、彼を見ていると教養と語彙力の大切さが身に沁みて分かるね」
ホワイトアウト「あぁ!?」
アイスクリーム「分かんないけど、私は二人みたいな大人にはならないよ!」
スノードーム「ハハッ、僕は傷ついたよ……」
ホワイトアウトは氷漬けになった海水浴客を砕くように全力で殴る。氷とともに氷漬けになった人間は砕け散る。
ホワイトアウト「全くイラつくぜカスが! 行くぞバカ共! 時期かぐや姫の女を殺しに行くぞ! 死ね!」
第7話
