活用編 第77章|“借りて買う”を学ぶ──信用取引の怖さと使い道
77−1|はじめに──“自分のお金じゃない投資”

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
ある日の午後、パソコンでSBI証券の口座を開いて、資産状況をチェックしていたときのことにゃ。
画面の左上に、小さな数字が目に入った──
「信用建余力 177,294,590円」。
最初は「にゃあ、ついに億り猫になったのかにゃ!?」と思ったけれど、よく見ればこれはにゃあのお金じゃない。
この数字は、証券会社が“もし信用取引を使うなら、ここまで貸せるよ”と計算してくれた上限枠なんだにゃ。
つまり、にゃあがいま持っている株を担保にすれば、最大で約1億7千万円まで“借りて投資できる”という意味。
でも、冷静に言えばそれは未来の借金枠。
資産が増えたわけではないにゃ。
にゃあの現物資産は、
「株式 71,618,222円」「投資信託 933,750円」、合わせて7,255万円あまり。
そのうち5,496万円分が“代用有価証券”として信用の担保に計算されている。
つまり、証券会社はこの担保をもとに「3倍まで取引できる」と判断しているわけにゃ。
もしにゃあがその上限いっぱい、1億7千万円分の株を信用買いしたら──
株価が10%下がっただけで1,700万円の含み損。
現金を持っていなければ「追証(おいしょう)」が発生し、
証券会社から「今日中に○○万円を入金してください」と通知が届く。
それでも入金できなければ、強制的にポジションを決済される。
わずか1日の値動きで、何年もかけて築いた資産が吹き飛ぶこともあるにゃ。
この「信用取引」という仕組みは、一見するとチャンスを広げる魔法のように見えるけれど、
実際は“リスクを前借りする仕組み”でもある。
にゃあも昔、少しだけ触ってみたことがあるけれど、
画面に並ぶ「建玉一覧」「評価損益」「追証予告」の文字を見て、
まるで冷たい風が背中を通り抜けたにゃ。
株価は昼夜を問わず動く。
信用取引を始めた瞬間から、あなたの時間は市場に縛られるんだにゃ。
だから、にゃあは今「信用取引を使わない」ことを選んでいる。
それは臆病だからじゃなく、“現物だけで十分に戦える”と知っているからにゃ。
投資は、スピードではなく、継続の力。
次の章では、この“借りて買う”という仕組みがどんなルールで動いているのか──
数字の裏にある現実を、もう少し丁寧に見ていくにゃ。
77−2|信用取引の仕組み──“借りて買う”のルールを知る

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
前の章で話した「信用建余力1億7千万円」という数字。
これがどう計算されているのか、気になる人も多いと思うにゃ。
実は、信用取引にはしっかりとしたルールがあって、
その根幹にあるのが「委託保証金率」という考え方にゃ。
ざっくり言えば、「どれだけ担保を出して、どれだけ借りるか」の比率。
SBI証券では、最低30%の保証金率を維持する必要がある。
つまり、30万円の保証金で100万円の取引ができる──
これが“3倍のレバレッジ”という意味にゃ。
たとえば、にゃあが300万円の現物株を代用担保にした場合、
証券会社は「最大900万円まで取引できる」と計算する。
でも、もしその株の評価額が下がれば、保証金率も下がってしまう。
保証金率が30%を割り込むと、「追証(おいしょう)」という追加保証金の通知が来るにゃ。
このとき、投資家は現金を入れるか、建玉を減らす(売る)しかない。
つまり、自分の判断で動ける時間が極端に短くなるということにゃ。
信用取引には2つのタイプがある。
ひとつは「制度信用取引」。
6か月以内に返済が必要で、金利・貸株料も証券取引所で決まっている。
もうひとつは「一般信用取引」。
一般信用の返済期限は証券会社ごとに異なり、無期限や長期設定のケースもある
金利・貸株料は年数%台で日割り発生。水準や条件は各社・時期で変わるため最新の料率を確認してほしい。
この金利は、信用買いをした日から返済日まで毎日発生する。
つまり、持っているだけでコストがかかる投資でもあるんだにゃ。
そして、もうひとつの特徴が「信用売り(空売り)」にゃ。
これは、証券会社から株を借りて先に売り、あとで買い戻す取引。
株価が下がれば利益になるけれど、上がれば損失が無限に広がる。
しかも“貸株料”や“逆日歩(ぎゃくひぶ)”が発生することもある。
たとえば人気の優待銘柄では、貸株が不足して逆日歩が1日で数百円つくことも。
短期間のつもりで始めた取引が、気づけば手数料と金利でマイナス──なんてことも珍しくないにゃ。
信用取引の画面を見ると、
「保証金現金:0円」「代用有価証券評価額:5,496万円」「委託保証金率:--%」
という表示が並んでいる。
一見すると意味が分かりづらいけど、
この“--%”こそが、にゃあがいま信用を使っていない証拠にゃ。
建玉(たてぎょく)がゼロだから、保証金率も計算されない。
つまり、「リスクを取らない」という選択が、数字としても反映されているにゃ。
信用取引は、うまく使えば便利な道具。
でも、それを「資産を増やす手段」として使い始めた瞬間、
リスクは一気に拡大する。
信用取引とは、“市場からお金を借りる”ことではなく、
“未来の自分からお金を借りる”行為にゃ。
未来の自分が笑って返せるなら使ってもいい。
でも、涙で返すことになるなら──
最初から借りない方が、ずっと賢い選択だと思うにゃ。
逆日歩が発生するのは“制度信用の売り”が中心。一般信用の売りは通常、逆日歩はなく固定の貸株料で運用されるかな?
77−3|追証と強制決済──“信用の恐怖”がやってくる瞬間

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
信用取引の怖さを一言で表すなら、それは“時間との戦い”にゃ。
現物取引なら、株価が下がっても「そのうち戻るかも」と待てる。
でも信用取引では、待つことが許されない。
値下がりした瞬間から、時計の針が“追証カウントダウン”を刻み始めるにゃ。
たとえば──にゃあが信用取引で500万円の株を買っていたとするにゃ。
翌日、その株が10%下がった。
評価損は50万円。
保証金が150万円なら、保証金率は30% → 一気に25%台へ。
この瞬間、証券会社のシステムが自動でアラートを出す。
「委託保証金率30%を下回りました。追加入金が必要です」。
そして画面の右上に、冷たく点滅する文字──
「追証発生」。
この通知が来た瞬間、投資家の心は一気に凍るにゃ。
スマホを何度更新しても数字は変わらない。
メールには「翌営業日の14時までに入金が確認できない場合、保有建玉をすべて強制決済いたします」とある。
にゃあも一度だけ、友人の画面でその光景を見たことがあるにゃ。
指先が震えて、声も出なかったという。
“強制決済”とは、証券会社が投資家の意思とは関係なく、保有中の信用ポジションを自動的に売る(または買い戻す)こと。
つまり、「待つ自由」も「判断する余地」も奪われる。
しかもその処分価格は、市場のどんなタイミングで行われるか分からない。
朝の寄り付きで安値叩き売りになることもあれば、板が薄くて想定以上に損失が拡大することもある。
それが信用取引の“最後の瞬間”にゃ。
SNSを見ていると、「追証で退場しました」という投稿を見かけることがあるけれど、
それは単なる“損失”ではなく、時間切れで退場させられる恐怖の記録。
にゃあが見た中で一番多いのは、「損を取り返そうとしてさらに信用を重ねる」パターンにゃ。
“ナンピン”を繰り返して保証金率を下げ、最後に全てを失う。
相場はやさしくない。
信用取引の世界では、「勇気」よりも「冷静さ」が生き残る鍵になるにゃ。
にゃあ自身は今、信用口座を開いていても使っていない。
それは「怖いから」ではなく、
一度この“強制決済”の現場を見たからにゃ。
信用取引は、資金を増やす魔法ではなく、
“自由を担保に差し出す契約”なんだと感じた。
だからにゃあは、こう決めている。
「借りて買う投資は、学びのために見るもの。
利益を狙って踏み込むものではない。」
次の章では、その逆の発想──
「信用を“使わない”ことが最大のリスク管理になる理由」
について、にゃあ流の考え方を整理していくにゃ。
77−4|信用を使わないという戦略──“持たない勇気”を味方にする

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
ここまで読んでくれた人なら、もう気づいたと思うけど──
信用取引の本当の怖さは、数字よりも「心が支配されること」なんだにゃ。
相場が上がれば有頂天、下がれば不安。
その波が、何倍ものスピードで襲ってくる。
けれど、にゃあが選んでいるのはその逆。
“持たない勇気”を味方にする投資にゃ。
にゃあのSBI口座には、今も「信用建余力 177,294,590円」と表示されている。
つまり、使おうと思えば1億7千万円まで“借りて買う”ことができる。
けれど、にゃあはそれをあえて使わない。
それは臆病だからじゃなく、「余力を残すことが、最大の防御」だと知っているからにゃ。
現物株だけで運用していると、たしかに上昇相場では「取り残された」気分になることもある。
信用買いをしていた人のほうが短期的には利益を伸ばす。
でも、下落相場では一瞬で立場が逆転する。
信用取引は“借金で膨らませた期待”だから、相場が崩れると同時に資金だけでなく精神まで削られていく。
にゃあは、その代償を何度も見てきたにゃ。
投資を続けていく上で本当に大切なのは、「勝つこと」よりも「残ること」。
どんなに利益を出しても、退場してしまえば終わりにゃ。
だからにゃあは、信用取引を使わないことで、
「損を限定する自由」を手に入れているんだと思ってる。
どんなに相場が荒れても、強制決済のメールは届かない。
夜中に保証金率を気にして眠れなくなることもない。
この“静かな時間”こそ、にゃあにとっての最大の利益にゃ。
もうひとつ大切なのは、信用取引を使わないことで見えてくる「真の値動き」。
レバレッジをかけていると、どうしても短期の上下ばかり追いかけてしまう。
でも、現物だけのポジションでじっくり構えていると、
企業の成長や決算の積み重ねを“時間の流れ”として感じられるにゃ。
株は“買うもの”ではなく“育てるもの”──その感覚を取り戻せるんだにゃ。
もちろん、信用取引を完全に否定するわけじゃない。
短期トレードや優待クロスのように、目的が明確なら有効な道具になる。
でも、にゃあにとっての“信用”は、
証券会社から借りるものではなく、企業と自分のあいだに積み重ねる信頼。
その信頼があれば、借金の力なんていらないにゃ。
にゃあがいつも思うのは、
「投資で一番強いのは、何もしていない時間を味方につける人」。
信用取引を使わないという選択は、何もしないことではなく、
“焦らない力”を選んでいるということにゃ。
次の章では、信用取引の“もう一つの顔”──
「上手に使えば守りにもなる」という活用法を、
優待クロスやヘッジ取引の実例とともに見ていくにゃ。
77−5|信用取引を“防御”に使う──クロス取引とヘッジの現実

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
ここまで「信用取引は怖いにゃ」と話してきたけれど、
実はにゃあもほんの少しだけ信用取引を使うときがある。
それは“攻め”ではなく、“守り”のため。
つまり、リスクを抑えるための使い方にゃ。
たとえば、「株主優待のクロス取引(つなぎ売り)」がその代表。
これは、同じ銘柄を信用売りと現物買いで同時に保有することで、
株価の値動きを相殺しながら、優待の権利だけを取る方法にゃ。
にゃあの投資仲間の中にも、
SBI証券や楽天証券を使って「ANAの株主優待券」や
「KDDIの株主優待(Pontaポイント、またはローソン/成城石井の詰合せセット)」、
「明治ホールディングスの自社製品セット」などを毎年のように手にしている人が多い。
昔は「オリックスのふるさと優待カタログ」が大人気だったけれど、
2024年を最後に優待は廃止されたにゃ。
この変化が示しているのは、「優待制度も永遠ではない」ということ。
ルールが変わるのは、信用取引も優待も同じ。
だからこそ、制度を“正しく理解して一歩引いて使う”姿勢が大切にゃ。
⚠️優待内容や運用は年度で変更されることがあるため、権利取り前に最新IRを必ず確認
クロス取引には注意点もある。
信用売りをすると貸株料(日歩)が発生し、
人気銘柄では「逆日歩(ぎゃくひぶ)」と呼ばれる追加コストがつくこともある。
特に3月や9月の権利付き最終日が近づくと、
1日で数千円の逆日歩がつくケースもあるにゃ。
「優待で1,000円分の商品をもらったのに、
手数料と逆日歩でマイナスになった」という失敗談も少なくない。
だからにゃあは、クロス取引をする時は
「費用を差し引いても確実にプラスになる銘柄だけ」を選ぶようにしているにゃ。
もうひとつの“防御的な信用取引”が、下落ヘッジ。
にゃあは商社株や海運株を多く持っているから、
「短期的に相場が重たくなりそうだにゃ」と感じた時、
TOPIXや日経平均に連動するETFを少しだけ信用売りすることがある。
これで、相場全体が下落したときのダメージを一部吸収できるにゃ。
ただし、これは“長く持たない”のが鉄則。
信用売りは日数が増えるほど金利とリスクが積み重なる。
にゃあは1〜2週間以内に手仕舞うルールを決めているにゃ。
つまり、信用取引は「使い方次第」。
夢を見るために使えば破滅、
リスクを測るために使えば味方になる。
にゃあが15年の投資生活で学んだのは、
信用取引とは“資金を増やすための道具”ではなく、
“自分の心を映す鏡”だということにゃ。
欲が強いときほど、数字の魔法に惑わされる。
だからこそ、怖さを知り、距離を保ち、
必要な時だけ静かに使う──それが、にゃあ流の“信用との付き合い方”にゃ。
次の章では、この物語の締めくくりとして、
“信用を持たない自由”と“学んで使う知恵”をどう両立させるかを、
にゃあの言葉でまとめていくにゃ。
77−6|まとめ──“信用を持たない自由”と“学んで使う知恵”

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
ここまで「信用取引の怖さ」「持たない勇気」について話してきたけれど、
実はにゃあにも信用を使って“うまくいった”時期があるにゃ。
それは2020年の春──コロナショックで株価が暴落したあと。
にゃあは、ずっと観察していた三菱商事(8058)や日本郵船(9101)を「長期で見れば必ず戻る」と判断して、
一時的に信用買いで仕込んだにゃ。
現物も持っていたけれど、下げすぎたタイミングで少しだけ“借りて買った”。
怖かったけれど、1カ月後には商社も海運も急反発。
にゃあは無理せず返済して、短期間で+40万円ほどの利益を確定できたにゃ。
あの時学んだのは、
信用取引は「運」や「度胸」で勝つものではなく、準備と計算で使うものだということ。
買い値・金利・保証金率・返済期限──そのすべてをノートに書いて管理していたにゃ。
そして、“退くライン”を先に決めておいたことが成功の理由。
もし株価があと5%下がっていたら、その瞬間に自動でロスカットするつもりだったにゃ。
結果的に利益が出たけれど、
それ以上に、「信用を“コントロールできた”体験」が、
今のにゃあの投資姿勢をつくったと思ってるにゃ。
だからにゃあは今も、「信用取引を使うな」とは言わない。
大事なのは、“使う前に、使い方を学ぶ”こと。
制度を理解し、金利を計算し、最悪のシナリオを想定する。
それができるなら、信用取引は“攻め”でも“守り”でもなく、
「判断力を磨く教材」になるにゃ。
にゃあにとって、信用取引とは「鏡」のようなもの。
焦りがあれば、数字がそれを映す。
落ち着いていれば、静かに利益を返してくれる。
借りるのはお金じゃなく、自分への信頼。
そしてそれをどう使うかが、投資家としての“成熟”なんだにゃ。
この第77章で、にゃあが伝えたかったのはただひとつ。
「信用取引は、怖い道具ではなく、“自分を映す道具”である。」
学べば使える。
知らずに使えば、痛い目を見る。
けれど、どんな結果であっても、そこから“考える力”を手に入れられるなら、
それはもう立派な投資の成果にゃ。
おまけ|なぜ“株はギャンブル”と思われるのか──それは信用という魔法のせい

にゃあ〜、赤猫福にゃ。
昔から「株なんてギャンブルだ」と言われるけれど、
にゃあは思うにゃ──そう見えてしまう一番の理由は“信用取引”にあるんだにゃ。
本来の投資は、会社にお金を託して成長を待つ「時間のビジネス」。
けれど、信用取引が入ると一気に“スピードのビジネス”に変わる。
1日で何十万円も動く世界、3倍のレバレッジ、そして“借りて買う”という緊張感。
それを知らない人が見れば、まるで競馬やパチンコのように映るのも無理はないにゃ。
そしてもうひとつ。
人は“借りる”と、無意識のうちに「取り返さなきゃ」という焦りを抱える。
焦りが判断を曇らせ、損を取り戻そうとしてまたリスクを取る。
それが「信用=借金」の怖いところ。
数字の上下に心が支配され、気づけば“勝ち負け”で一喜一憂している。
そんな姿を周りが見たら──「やっぱり株はギャンブルだ」と言いたくもなるにゃ。
でも、にゃあは知っている。
本当の投資家は、ギャンブルのように見える世界の中で、
あえて賭けない勇気を持っている人たち。
信用取引を理解し、距離を測り、使う時だけ静かに使う。
それが“株をギャンブルにしない方法”なんだにゃ。
信用という魔法は、使い方を間違えれば幻を生む。
でも、その仕組みを理解しておけば、
「借りて買う」ことさえも、学びに変える道具になる。
株がギャンブルかどうかを決めるのは、制度じゃない。
それをどう使うかを決める、投資家自身の心なんだにゃ。
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ここまで読んでくれて、ありがとうにゃ。
チップは「よかったよ」「続きも楽しみにしてるよ」という
気持ちのメモみたいなものにゃ。
無理のない範囲で、そっと置いていってもらえたら嬉しいにゃ。この記事は noteマネー にピックアップされました

