顔のない屋敷 第1話「初めての夜」
わぁ〜い✨️あかりのパラレルワールド短編シリーズですっ!
このシリーズでは、同じ創作キャラたちが性格を引き継いだまま、違う世界や生い立ちで登場します✨️
そして物語の最後には、次に読みたい展開を選べるアンケートがあるよ〜!
反響が大きかった物語だけ続編を書いていくので、気になる展開へ投票してねっヽ(=´▽`=)ノ
本編は全部無料で読めるよっ。気軽に読んで、気軽に投票してねっ✨️
それじゃ、いってみようっ🔥
新シリーズは「顔のない屋敷」だよ!
今回はパニックホラー・脱出ものっ。
主役はサンだよ。眠ると、見たことのない屋敷に閉じ込められちゃうお話です……。
しかもその屋敷には、謎の少女・シロも先に迷い込んでいて――?
視点はサンです。それじゃ、いってみようっ!
目を開けたら、知らない場所にいた。
天井は高く、埃っぽいシャンデリアがぶら下がっている。壁紙は端からめくれて、まるで皮膚が剥がれかけているみたいだった。
「……ここ、どこ」
自分の声が、やけに響いた。
ベッドで寝落ちしたはずだった。新しい起爆装置の設計図を広げたまま、うとうとして――気づいたら、この部屋。
窓の外を覗いてみる。景色が、おかしい。空は紫色で、地面には見たこともない植物がびっしり生えていた。木というより、触手みたいにうねっている。
「夢……だよね?」

自分に言い聞かせるみたいに呟いて、私はドアを開けた。
廊下は長く、等間隔にドアが並んでいる。どのドアも、開けても大丈夫なのかどうか分からない。
「まあ、いっか。開けてみないと分かんないし」

普段の調子を無理やり引っ張り出して、一番近いドアに手をかける。
きい、と嫌な音がして、扉が開いた。
中は、空っぽの部屋だった。ただ、壁一面に、何かを引っかいたような傷跡が無数に走っている。
「うわ……趣味悪っ」
そう呟いた瞬間、背後で物音がした。
振り返る。廊下の奥、暗闇の中に、何かが立っていた。
人の形をしている。けれど、顔がない。
のっぺりとした、何もない顔。それが、ゆっくりとこちらを向いた気がした。
「……え」
足が、勝手に一歩下がる。
その「何か」が、ゆっくりと、こちらへ歩き出した。
「うそでしょ」
私は駆け出した。廊下を走り、適当なドアに飛び込む。
中は階段室だった。上へ続く階段と、下へ続く階段。迷っている時間はない。上へ駆け上がる。
背後から、足音がついてくる。速い。人間の歩幅じゃない。
「はやっ……!」
二階の廊下に飛び出して、目についたドアに体当たりするように飛び込んだ。
「――っ、痛……」
聞こえるはずのない声に、飛び上がりそうになった。
部屋の隅、暗がりの中に、誰か座っていた。小柄な女の子。薄い水色の髪、黒いパーカーのフードを目深に被っている。
「……人?」
恐る恐る聞くと、その子はゆっくりとフードを持ち上げた。青い瞳が、面白そうにこっちを見る。

「あー、新入りか。うちより後に落ちてきたんだ」
「新入り……って、あんたも、この夢に?」
「夢? まあ、そう呼んでもいいけど」
その子は、けらけらと笑った。緊張感のかけらもない。
「うち、シロ。よろしくね、先輩」
「先輩って……」
「見た目、うちより年上っぽいし。先輩でいっか」
「……それ、私が老けてるって言いたいわけ?」
「一言余計だよ」
しれっと流されて、それ以上ツッコむ気力もなくなった。
軽口を叩いてる場合じゃないと思ったけれど、ドアの向こうの足音はまだ止まっていて、思わず声を潜める。
「静かにして。外に、あれが」
「知ってる知ってる。のっぺらぼう、でしょ? うるさいの大好きだもんね、あいつら」
シロは慣れた様子で、床に落ちていた紙を拾い上げた。
「出口は正面玄関、でしょ。もう読んだ」
「……何それ、知ってるなら早く言ってよ」
「言う前に飛び込んできたのは先輩じゃん」
にやりと笑うシロに、毒気を抜かれる。
「行くよ。ついてきな」

シロはそう言って、迷いなく窓に近づいた。外壁に、細いバルコニーのようなものが続いている。
「ここ、通ったことあるの?」
「初めて。でも、廊下よりはマシでしょ」
適当な返事に不安になりながらも、他に選べる道はなかった。私はシロに続いて窓の外へ出た。
「――っ!!」
足元の手すりが、腐っていたのか、崩れた。
体が傾く。とっさに掴んだ壁の出っ張りで、なんとか落下は免れたけれど、腕に鋭い痛みが走った。
「痛っ……!」
見ると、腕に切り傷ができていた。血が滲んでいる。
こんなの、夢のはずなのに。
痛みは、リアルすぎるくらいリアルだった。
「先輩、大丈夫? ……って、大丈夫じゃなさそうだね」
シロが振り返って、私の腕を一瞥する。表情は変わらなかったけれど、声のトーンだけ少し落ちた気がした。
「平気、動ける」
歯を食いしばって、バルコニーを伝い歩く。下の階の窓から、また屋敷の中へ入り込んだ。
そこは、玄関ホールだった。大きな扉が、目の前にある。
「――あった!」
駆け出そうとした、その瞬間。
視界の端、階段の上から、あの「顔のない何か」が、ゆっくりとこちらを見下ろしていた。一体じゃない。二体、三体――暗がりの奥に、まだ増えていく。
「うそ、うそ、うそっ……!」
「先輩、走って」
シロの声が、それまでとは違って低かった。
「あんたは?」
「うちは平気。いいから、走れ」
答えを待たずに、シロが私の背中を強く押した。私は転がるように走り出す。
背後から、何かが追いすがってくる気配。指先が、肩に触れた気がした瞬間――
扉を、押し開けた。
視界が、真っ白に染まる。

振り返る余裕はなかった。ただ、扉の向こうで、シロがこちらに向かって小さく手を振っていたような――そんな気がした。
――目を開けたら、自分の部屋のベッドの上だった。
朝の光が差し込んでいる。設計図が、机の上に広げられたままだった。
「……夢、だよね」
そう呟いて、私は痛みを感じた自分の腕を見た。
昨夜、あの屋敷で切った場所――そこに、うっすらと赤い線が残っていた。
「……え」
夢のはずの傷が、現実の腕に、確かに残っていた。

それに――シロは、無事に出られたんだろうか。
「……いや、そもそも、あの子は本当にいたのかな」
自分に言い聞かせるみたいに呟いても、あの声も、あの笑い方も、はっきり覚えていた。
その日の夜。
私は、眠るのが怖くなった。けれど、眠気には勝てなくて――気づけば、また、あの天井を見上げていた。
今度は、前よりも部屋が、広い気がした。
※本作はフィクションです。実在の人物・団体等とは関係ありません。
さてさて、続きどうする〜?
①今夜も屋敷に囚われるサンの続きが見たい(広くなった屋敷、次は何が待ってる?)
②シロのその後が気になる(あの子は無事なの? また会える?)
③どっちとも言えない、もう少し様子見
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