スピーチの達人 0巻|言葉にできない想い
うまく話せない。
人前に立つと、声が震える。
用意してきた言葉が、頭の中から消えてしまう。
でも本当は、伝えたいことがある。
結婚式の友人代表。
父の退職祝い。
仕事での謝罪。
面接での自己紹介。
誰かを見送る日の言葉。
人生には、ときどき、逃げられない「ひと言」があります。
きれいに話したいわけではない。
感動させたいわけでもない。
ただ、ちゃんと伝えたい。
ありがとう。
ごめんなさい。
おめでとう。
寂しかった。
本当は、ずっと言いたかった。
そんな言葉ほど、なぜか声にならないことがあります。
町の片隅にある、小さな話し方研究所。
そこを訪れる人たちは、スピーチの技術を学びに来たはずなのに、やがて自分の心の奥にある「言えなかった想い」と向き合うことになります。
白石直人は、静かに話を聞きます。
「スピーチは、上手く話すものではありません。
言えなかった気持ちに、席を用意するものです」
この物語は、言葉に迷う人たちが、自分だけの一言を見つけていくシリーズです。
第1巻は、親友の結婚式で友人代表のスピーチを頼まれた女性の物語。
祝いたいのに、少し寂しい。
嬉しいのに、胸が痛い。
そんな矛盾した気持ちを抱えながら、彼女は本当に伝えたかった言葉を探していきます。
うまく話せなくてもいい。
少しくらい声が震えてもいい。
大切なのは、その言葉が、ちゃんと誰かに向かっていること。
大切な人に、まだ言えていないことがある。
そんな日に、そっと読んでほしい物語です。
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