泣きたい時に、泣けないあなたへ。
『泣きたい時に読む本』第一巻を公開しました
泣きたい時ほど、なぜか泣けないことがあります。
悲しくないわけではない。
忘れたわけでもない。
強いわけでもない。
ただ、泣くタイミングを失ってしまっただけ。
人前では平気な顔をして、
仕事や家事や日々の用事をこなして、
「大丈夫です」と言いながら、
本当はずっと心の奥に置いたままの気持ちがある。
そんな夜に、そっと開ける本を作りたいと思いました。
それが、新シリーズ
**『泣きたい時に読む本』**です。
泣けないまま、今日まで来てしまった人へ
このシリーズで描きたいのは、
ただ悲しい出来事ではありません。
大切な人との別れ。
言えなかった「ありがとう」。
聞けなかった一言。
渡せなかった手紙。
もう戻れない時間。
それでも、心のどこかに残っている小さな温かさ。
人は、悲しいことがあった時に、すぐ泣けるとは限りません。
その場では忙しかったり、
誰かを支えなければならなかったり、
泣いたら全部崩れてしまいそうだったり、
「もう終わったことだから」と自分に言い聞かせたり。
そうしているうちに、涙の出し方がわからなくなることがあります。
けれど、涙は弱さではないと思っています。
涙は、ずっと心の奥にしまってきた想いを、
ようやく外に出してあげるためのもの。
忘れるためではなく、
ちゃんと抱えて生きていくためのもの。
『泣きたい時に読む本』は、そんな涙に寄り添う物語です。
第一巻は『最後の写真』
第一巻のタイトルは、
**『泣きたい時に読む本 第一巻 最後の写真』**です。
舞台は、古い商店街の端にある写真館「灯里」。
看板には、こう書かれています。
思い出、現像します
そこを訪れるのは、なぜか皆、泣けない人たちです。
母に言えなかった「ありがとう」。
父から聞けなかった一言。
終わった恋の中に残っていた優しさ。
小さな靴にしまわれた夫婦の涙。
そして、店主が十五年間現像できなかった、亡き妻の最後の写真。
古い写真には、撮った時には気づけなかった想いが残っていることがあります。
写真に残っていたのは、過去ではなく、
言えなかった想いだったのかもしれません。
収録されている五つの物語
第一話 母のエプロン
母を亡くして三年、一度も泣けずにいた娘。
実家の押し入れから見つかった母のエプロンには、娘のために残された小さなメモが入っていました。
第二話 父の背中
無口で不器用だった父を、ずっと誤解していた息子。
父の遺品から見つかった運動会の写真には、仕事で来られなかったはずの父の姿が写っていました。
第三話 届かなかった葉書
離婚から十年。
偶然見つかった古い葉書に、消えかけた元夫の言葉が残っていました。
第四話 小さな靴
幼くして娘を亡くした夫婦。
十年間、口にできなかった悲しみが、小さな靴と一枚の写真から静かにほどけていきます。
第五話 最後の写真
写真館「灯里」の店主には、十五年間現像できなかった写真がありました。
それは、亡き妻が残した最後の一枚でした。
これは、悲しい話を集めた本ではありません
『泣きたい時に読む本』というタイトルなので、
とても悲しい話ばかりを想像されるかもしれません。
でも、このシリーズで書きたいのは、
ただ読者を悲しませるための物語ではありません。
泣いたあと、少しだけ息がしやすくなる話。
悲しみの奥に、まだ温かいものが残っていたと気づける話。
言えなかった言葉に、遅れてでもそっと触れられる話。
そんな物語を目指しています。
泣くことは、終わりではなく、
もう一度歩き出すための準備なのかもしれません。
だからこの本は、
泣かせるための本というより、
泣けなかった人が、ようやく泣けるようになるための本です。
Kindle Unlimitedでも読めます
『泣きたい時に読む本 第一巻 最後の写真』は、Kindleで公開しています。
Kindle Unlimitedをご利用の方は、追加料金なしでお読みいただけます。
泣きたい時に、泣けないまま過ごしている夜があれば。
誰かに言えなかった言葉を、まだ心の奥にしまっているなら。
そっと開いてもらえたら嬉しいです。
▼ Kindleはこちら
泣きたい時に、泣けますように。
泣いたあと、ほんの少しだけ息がしやすくなりますように。
泣きたい時に読む本 第一巻 最後の写真
雨宮ひより
