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第8話|正しさの代償「母親なのに、仕事を選んだ私」

※本記事はAIによる校正・推敲の補助を受けて作成していますが、内容は筆者により執筆しています。又、Amazonアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。

「またお待ちしております」

客を見送りロッカー室に戻ると、携帯が点滅していた。

「あれ?着信?」

手にとった瞬間、携帯がブルブルと震えだした。

画面には、母の名前。

一瞬、嫌な予感がした。

「あ、もしもし?」

通話ボタンを押して小声で言った。

「あんた、今どこなの?」

その声で、すべてを察した。

「え、店だけど……どうしたの?」

「〇〇ちゃん、熱上がっちゃって」

一瞬、頭が真っ白になった。

「急にぐったりしてしまって」




――昨日。

子どもの額に触れたときの、あの熱。

気のせいだ、そう思って私は家を出た。



「今、病院に向かってるから」


その言葉で、現実に引き戻される。

「ごめん、なるべく早く行くから」

口ではそう言ったものの、足はロッカーの前から動こうとはしなかった。。





店の中では、いつも通りの時間が流れている。

笑う声も、乾杯の音も、止むことはない。

私だけ、時が止まったようだった。

「ごめん、ちょっと出て良いですか?」

そう、ママに言えばいいだけ。
なのにその一言が、どうしても出てこない。


「今、私が抜けたら…」

「客に迷惑がかかる」

「今日だけは抜けられない」

頭の中で、いくつもの“理由”が並んだ。

でも。

本当はその全部が、言い訳だった。




「あとで連絡するから」

そう言って、電話を切った。


画面が暗くなる。


その中に映った自分の顔を、私はしばらく見つめていた。

「まだ、大丈夫」
「母がついてるし」

根拠のない言い訳を、心の中で何度も繰り返す。

そうして私は、もうフロアに戻った。

何もなかったように、夜の顏をして。


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