家事代行だけが知っている「泡が消えないスポンジ」の攻略法〜見えない仕事ほど、プロの差が出る〜
家事代行には、お客様がたぶん一生気づかない仕事がある。
スポンジの泡切りだ。
食器を洗い終えたあと、多くの人はそのままシンクに置く。
でも私は違う。
スポンジを何度も握って、泡をできる限り外へ追い出す。
最後に水気を切って、できるだけ乾きやすい状態にして帰る。
なぜそこまでするのか。
理由は単純だ。
泡がスポンジの中に残っていると、次に使う人が洗剤をつけなくても泡立ってしまう。
それだけではない。
泡が残るスポンジは乾きにくく、ぬめりや臭いの原因にもなりやすい。
だから私は、「泡をどこまで追い出せるか」を毎回考えている。
ところが、このスポンジという相手は実に手強い。
新品は素直だ。
握ればすぐ泡が消える。
でも使い込まれたスポンジは違う。
何度握っても、また泡が出てくる。
復縁を迫る元恋人のように。
「まだいたのか。」
そう思ってもう一度握る。
するとまた泡が出てくる。
まるで、
「まだ終わってないよ。」
と言われているようだ。
現場によってスポンジの種類も違う。
柔らかいもの。
硬いもの。
目の細かいもの。
粗いもの。
それぞれ攻略法が違う。
私は毎回、そのスポンジの性格を観察しながら最適な握り方を探している。
最近ふと気づいた。
私はスポンジと戦っているのではない。
将棋を指している。
このスポンジはどう動くのか。
次の一手は何か。
こちらが一手打つと、相手も一手返してくる。
泡が消えたと思えば、また現れる。
だから最後まで油断できない。
家事代行の仕事は、派手ではない。
でも、こういう誰にも気づかれない小さな工夫の積み重ねでできている。
お客様は気づかなくていい。
次にスポンジを手に取ったとき、
「あれ?なんだか使いやすい。」
そう感じてもらえたら、それで十分なのである。
私はスポンジと将棋を指している。
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