見出し画像

「魔法少女」 #3つのお題に空想のひらめきを

片桐みかんさんの企画『第23回 3つのお題に空想ひらめきを』に参加させて頂きます。お題はコチラ。

お題①:「海のポスト」
お題②:「風の渡し舟」
お題③:「砂の中の星座」


『魔法少女』

薄暗い取調室。蛍光灯の光が彼女の髪に冷たく降り注ぎ、壁の時計が静かに秒を刻む。手錠の鎖がわずかに揺れ、金属音が空気を切る。


「私は騙してなんかいない、魔法をかけただけ…」


女は静かに語り始めた。声は囁きのように柔らかく、しかしその瞳は遠くを見つめていた。


「マッチングアプリは風の渡し舟なんです。普段伝えられない想いを届けてくれる。そして、そこで知り合った男性達の恋愛感情は、私の魔法でキラキラに輝く砂の中の星座になるの」


拳を握る仕草は、まるで舞台の幕が上がる瞬間の役者のようだった。彼女の言葉は、現実と幻想の境界を曖昧にしていく。


「…あぁ、そう罪深いのぉは…魔法。その対価として多額のお金を頂いてしまった。私はお金を出せと言ったわけじゃない、ただ私の魔法が偉大すぎただけなのぉ」


その口調は、スポットライトを浴びた舞台俳優のように誇らしげで、どこか哀しげだった。


一転、沈黙が訪れる。外では木枯らしが唸り、遠くでサイレンが鳴る。


「だけど私は今や海のポスト。罪という海に沈められた。もう誰の想いも届かない忘れ去られたポスト…」


彼女の両腕に繋がれた手錠は、まるで錘のように重く見えた。だがその姿は、沈めば罪人、浮かべば魔女。彼女の魂は、浮き沈みを繰り返すガラス玉のように、光を受けては揺らめいていた。


取調官は何も言わない。ただ、記録用のペンが紙の上を滑る音だけが、彼女の独白に寄り添っていた…。



(本文591字)


あとがき

片桐みかんさんの美しい言葉。これを逆手に取ってみた。明るい光はより闇を深くする。

#3つのお題に空想のひらめきを 【第23回】
#海のポスト風の渡し舟砂の中の星座
#魔法少女
#魔法
#スポットライト
#魔女


いいなと思ったら応援しよう!