ショートショート 「クルトン星人」 #せりふ三題噺
山の上公園では、プチ天体観測がキャッキャッと開催されていた。
「見て、光ってる」夜空を指差す子どもたち。
「何あれ? 何? 何?」声が爆ぜる。
「あぁ、スープ星雲に浮かぶクルトン星だよ」僕は適当に答えた。
「スゲー、マジ? マジスゲー、スゲー」少年の目が星みたいに輝く。
「今、適当なこと言ったでしょ?」彼女は笑う。
「ハハ、我ながら彗星のようにスッと出た“デマカ星”です。…でもきっと昔の人は空を見上げて、あれは何に見える、いや、あれはこうだって、勝手に楽しんでたんだろうね」
「あ、今、話そらした」
「スイングバイであります」僕は敬礼する。
彼女は月のように微笑んだ。
…。
「黙って夜空を見上げると、吸い込まれそうだよね」彼女は―実際に吸い込まれながら言った。
「え!?」
みるみる上へ登っていく彼女を、僕はただ見上げるしかない。
空中で三回転半。
くるりと回ると、ゆっくり降りてきた。
「だ、大丈夫か?」
「う、うん。ク、クルトン星人がね…虫よけスプレーしてくれた…」
レモンに似たハーブ調の香りが漂う。
「え?」
「天体観測には虫よけ必須だよって言ってたわ…」
「まじか、ジェントル宇宙人じゃん」
僕の腕が痒い。
まさに蚊が血を吸っているところだった。
プ〜ンと飛び去ると、刺された場所がみるみる膨れ上がる。
それは、クレーターのようにも見えた。
完
(本文553字)
あとがき
はらとけいさんの企画「せりふ三題噺」に参加させて頂きました。お題は下記の通りです。
■セリフ
「見て、光ってる」
■三題
・宇宙・スープ・虫よけ
久々にお邪魔させて頂きました。楽しく書けました。ありがとうございました。
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