掌編 「わたあめ」 #せりふ三題噺
真っ青で、まるでリトマス試験紙みたいな空が、
酸性のしずくを垂らされたみたいに、すうっと赤く染まりはじめた。
そのうち、西の空にぽつんと浮かんだリングピローみたいな小さな雲が、もくもく、もくもくとふくらんでいく。
「夕立かな…? アレ持ってこなきゃ!」
今にも降り出しそうな雲を指さすと、子どもたちは一斉に駆けだした。
ポツポツ、ポツポツ…
ザラメみたいな粒が地面に弾ける。
「来たー!」
子どもたちは笑いながら、天に向かって割り箸を突き上げ、くるりくるりと円を描くように空をかき回した。
すると、しゅるしゅる……
薄く雲が割り箸にふわりふわりと絡みついてくる。
「わっ、ふっかふか!」
手の中には、いつのまにか立派な“わたあめ”。子どもたちはぱくぱく頬ばりながら、また空に向かって、くるりくるりと割り箸を回していた。
完
(本文347字)
あとがき
はらとけいさんの企画「せりふ三題噺」に参加させて頂きました。綿飴=綿雨というダジャレからショートショートにしようとしたものの、オチが甘く締まらないので、メルヘン掌編にしてみた。
■セリフ
「わ!ふっかふか!」
■三題
・酸性・夕立・リングピロー
