ショートショート 「黙っているのは嘘つきと同じよ」 #青ブラ文学部
「黙っているのは、嘘つきと同じよ」
彼女はそう言い放ち、僕を断罪した。
その理屈が、まったく理解できないわけではない。
けれど、沈黙を嘘と断じるその言葉自体が、真実をねじ曲げている。
そんな矛盾がまかり通る関係の中で、僕の沈黙だけが咎められる理由はどこにあるのだろう。
声を発さなかったという事実と、偽りを語ったという罪とが、同じ天秤に載せられるはずがない。
そんな反論を口にするわけもなく、僕は引き続き、黙秘権を行使した。
完
(本文206字)
あとがき
山根あきらさんの『青ブラ文学部』お題「黙っているのは嘘つきと同じよ」に参加させて頂きました。修羅場、断罪というイメージから書いてみました。
