ショートショート 「届かないモノ」 #3つのお題に空想のひらめきを 【第31回】
ボクは悩んでいた。
澄んだ冬空は空にしまい忘れたもの、ボクの感情を山々の稜線のようにくっきりと浮かび上がせる。それはまるで、心の輪郭をさらけ出すように感じた。
あのポツンと浮かんでいる雲は僕の思考そのもので、形は常に定まらず、流されていく。やがて誰にも見えない場所で静かに消えていくのだろう。
この空の色のように正解はない。それを頭では分かっていても、どこかで正しさを求めてしまっているボクがいる。そんな天邪鬼なボクをやさしく包みこんでくれる空。ここは思っていたより、やさしい世界なんだ。
え?何に悩んでいるかって?
かれこれ『魔法の宅配ランチ』を頼んで1時間が経つ。確かに魔法が遅れて届く日もある。それにしても遅い…けど連絡している最中に届いたら、なんか気まずい。
ピンポーン!
冷たい空気を揺らしインターホンが鳴る。
ボクは平然を装い、気持ち早足で玄関へ向かう。
完
(本文375字)
あとがき
片桐みかんさんの企画『3つのお題に空想のひらめきを』お題は…
第31回 3つのお題
お題①:「空にしまい忘れたもの」
お題②:「魔法が遅れて届く日」
お題③:「思っていたより、やさしい世界」
に参加させて頂きました。
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