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短編小説【友達だった魔王へ】


1年前、親友だった彼は魔王となった。士官学校でも王国騎士団でも、上手くやってるはずだった。だが、平民と貴族の格差社会があるこの世界では、俺達はただただ無力だったのかもしれない。
無詠唱で発動できる魔法
騎士団長にも引けを取らない剣術

それは誇るべきもののはずなのに何故か恨まれ疎まれた。これこそ最初から産まれ持ったものでは無い。たまたま実家の本棚から見つけたものに書いてあったのを2人で試してみただけだ。そして、士官学校に入って騎士になるのが夢だった俺達は、それこそ誰よりも努力した。毎日毎日2人で切磋琢磨し技を磨きあった。

なのに、貴族達はそれを否定し続けた。何とか騎士団の入団まで登り詰めたはいいが、そこでの扱いも思い出したくない位に酷いものだった。
厄介払いの様に魔王討伐に出たのは幸運だったのかもしれない。また2人だけで旅が出来る。それが何より楽しかった。


だが、人間の差別社会は王国内だけでは無かった。1歩外に出れば魔物が人間を襲う。だが、彼らは対話が出来るでは無いか。話を聞くと、500年前に人間に迫害されてからずっと人間に怯えて暮らしているという。
そんな話を聞いた俺達を辺境の地にある魔王城で待ち構えていたのは、あろう事か魔族ではなく俺達を排除しようとしていた国王直属の近衛騎士団達だった。


そして今、俺は世界を変えると自ら魔王となった親友を手に掛けた。どれだけ見た目が変わろうと、彼は俺のよく知る人物だった。

俺はもう目も虚ろな彼の手を握り、涙を流していた。結局悪いのは、愚かな人間だった。

勇者だと言われどれだけの人間に感謝されようとも、俺はこの国の人間を恨み続けるだろう。


ただ、俺達は
夢に向かって進んでいただけだったのに
……決して許しはしない


その日、勇者は新たな魔王となった


END

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