なぜカメラのバッテリーは「1つしか付属しない」のか──高性能時代の“燃費問題”を考える
カメラを買ってまず感じるのが、「なぜバッテリーが1個しか入っていないのか?」という疑問だ。
何十万円もする機種であっても、基本的に“電池ひとつ”がスタート地点。
これは一見不親切に思えるが、理由をたどると、メーカーの設計思想とコスト構造、そして時代背景が見えてくる。
■ コスト構造と「純正バッテリー文化」
まず単純な話として、純正バッテリーは高利益商品だ。
1個あたり8,000〜12,000円ほどするモデルも多く、しかも消耗品。
メーカーにとっては継続的な収益源であり、カメラ本体に2個付けるインセンティブがない。
「必要なら追加で買ってください」という設計が、長年の業界慣習になっている。
■ 性能の進化と“電力飢餓”
一方で、最近のカメラは“電力を食う化け物”になりつつある。
・高解像度センサー(4000万画素超)
・高速連写や被写体検出AF
・4K/8K動画記録
・EVF(電子ビューファインダー)
・Wi-Fi/Bluetooth/GPS通信
──すべてが電気を消費する。
もはや「電池1個で1日撮影」は幻想であり、
撮影スタイルによっては3〜4個持っていくのが常識になっている。
■ 設計思想としての“軽さ優先”
もう一つの理由は、カメラの「軽量化志向」だ。
ミラーレス化以降、ボディがどんどん小さくなった結果、
バッテリーも“ギリギリのサイズ”で設計されている。
つまり、最初から「予備を持つ前提」で作られているのだ。
この“1個主義”は、軽さと携帯性の裏返しでもある。
■ 「電池の進化」は「機能の進化」に追いつかない
実は、バッテリーそのものの性能はここ10年で大幅に向上している。
しかし、その進化を上回るペースで、
カメラ本体が高性能化してしまった。
これはスマートフォンでも同じ構造で、
CPUやセンサーが進化するほど消費電力が増え、
「結果的に電池持ちは変わらない」状態に陥る。
■ プロの現場では「バッテリー運用」もスキル
1日中撮影するような現場では、
バッテリーを「時間ごと」「用途ごと」にローテーションするのが基本。
ライブ撮影やイベント撮影なら、
・午前:メイン1
・午後:予備1〜2
・夕方:予備3
という運用が当たり前だ。
いまや“電池管理”も写真技術の一部になっている。
■ 電池1つは“不親切”ではなく“哲学”
バッテリーが1つしか付属しないのは、
「必要な人が、必要な分だけ持てばいい」という合理的な設計思想でもある。
ただし、それは同時に、ユーザーの“現場対応力”を前提とした設計だ。
カメラはどんどん賢く、便利になった。
だからこそ、電池はいつまでも足りない。
それは矛盾ではなく、進化の証でもある。
(この記事には、アフィリエイトリンクが含まれます。)
いいなと思ったら応援しよう!
もし記事を気に入っていただけたら、チップをいただけると嬉しいです。より良い記事がかけることに投資させていただきます。