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CONTAX S-Planar 60mm F2.8の「S-Planar」とは何か──ツァイスの精密系マクロ

CONTAXのレンズ名を見ていると、ときどき気になる名前が出てくる。

S-Planar 60mm F2.8

Planarはわかる。
ツァイスを代表する標準レンズの名前だ。

しかし、その前についている「S」とは何なのか。

このS-Planarは、単なるPlanarの派生というより、かなり特殊な立ち位置にあるレンズである。


S-Planarの「S」はSpecial

S-Planarの「S」は、一般的には Special を意味するとされている。

つまり、普通のPlanarではなく、特別な用途を意識したPlanarということだ。

では、何が特別なのか。

それは、接写や複写、平面被写体の再現性を強く意識している点にある。

通常のPlanarは、人物や日常撮影でも使いやすい万能型の標準レンズとして語られることが多い。

一方、S-Planarはもっとストイックだ。

被写体を美しく雰囲気で包むというより、対象を正確に、緻密に、歪みなく写す方向に振られている。


S-Planarはマクロ寄りのPlanar

CONTAXのS-Planar 60mm F2.8は、マクロレンズとしての性格が強い。

特に注目されるのは、最大撮影倍率が高く、接写性能に優れている点だ。

花、昆虫、小物、時計、フィルムの複写、資料撮影など、細部をきちんと写したい場面で力を発揮する。

いわゆる「雰囲気で撮るレンズ」というより、「対象物を観察するためのレンズ」に近い。

このあたりが、普通のPlanarとは大きく違う。


Makro-Planarとの違い

ツァイスのマクロ系レンズといえば、Makro-Planarの名前も有名だ。

では、S-PlanarとMakro-Planarは何が違うのか。

かなりざっくり言えば、

S-Planarは記録・複写・精密描写寄り。
Makro-Planarは写真表現寄り。

という見方ができる。

S-Planarは、平面性、解像力、歪みの少なさを重視した印象が強い。

一方でMakro-Planarは、マクロ性能を持ちながらも、一般撮影やポートレートでも使いたくなるような描写の美しさがある。

ツァイスらしい立体感や、なだらかなボケ、被写体の存在感を楽しむならMakro-Planar。

より正確に、より緻密に、被写体そのものを写し取りたいならS-Planar。

そんな棲み分けで考えるとわかりやすい。


S-Planarの描写はかなり硬派

S-Planar 60mm F2.8の魅力は、甘さよりも精度にある。

開放からしっかり写る。
接写で破綻しにくい。
平面被写体をきっちり写せる。
細部の情報量が多い。

こういうレンズは、撮っていて派手な感動があるタイプではないかもしれない。

しかし、あとから写真を見ると「あれ、こんなところまで写っていたのか」と気づくタイプのレンズである。

派手な色気より、静かな凄み。

それがS-Planarの魅力だと思う。


作品向きか、記録向きか

S-Planarは、決して作品撮りに向かないレンズではない。

しかし、性格としてはかなり記録寄りだ。

たとえば、アクセサリー、古いカメラ、レンズ、腕時計、フィルム、印刷物、植物の細部などを撮ると、その真価が出やすい。

逆に、ポートレートで柔らかい雰囲気を出したい場合は、少し真面目すぎると感じるかもしれない。

人を撮るならPlanar。
立体感や余韻まで欲しいならMakro-Planar。
物や資料を正確に撮るならS-Planar。

そう考えると、このレンズの位置づけが見えてくる。


ツァイスの中でも「職人肌」のレンズ

ツァイスレンズには、それぞれ性格がある。

Planarは王道。
Sonnarは軽やか。
Distagonは構成力。
Makro-Planarは繊細さと立体感。

そしてS-Planarは、精密さのレンズだ。

美しく盛るというより、被写体の情報を誠実に拾う。

これはある意味、非常にツァイスらしい。

ツァイスというブランドには、写真表現の美しさだけでなく、光学機器としての正確さ、計測的な信頼性もある。

S-Planarは、その後者の魅力が濃く出たレンズだと言える。


職人肌の一本

CONTAX S-Planar 60mm F2.8の「S-Planar」は、普通のPlanarとは少し違う。

接写、複写、平面再現、精密描写に寄った、かなり硬派なPlanarである。

Makro-Planarが「写真を楽しむマクロ」だとすれば、S-Planarは「被写体を正確に写し取るマクロ」。

だからこそ、物撮りや資料撮影、小物撮影には非常に向いている。

派手な味で惹きつけるレンズではない。

しかし、静かに、正確に、深く写る。

S-Planarは、ツァイスの中でもかなり職人肌の一本である。

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