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「かさねの色目 平安の配彩美」 ― 四季と色が織りなす美の体系

平安時代の人々は、自然や季節の移ろいを衣の色に映し込むことで「美」を表現していました。
その代表的なものが「かさねの色目」。表地と裏地の色の組み合わせから始まり、後には十二単衣の重なりの色合いとして広がっていきます。

本書『かさねの色目 平安の配彩美』は、この日本独自の配色美を体系的に解説した一冊です。


「重」と「襲」による色の文化

もともとは一枚の袷仕立ての裏表で表される「重(かさね)」、そして十二単衣などの重ね着によって表現される「襲(かさね)」。
この二つの方法で展開された色の世界は、単なる衣装のデザインを超えて、季節・植物・自然観を反映した色彩美の体系でした。

260種類以上の組み合わせが紹介され、その中でも植物を中心にした120種の色譜が特に印象的です。


時代ごとの装束の変化

また本書は、単なる色見本にとどまらず、時代ごとに異なる「襲の式目」の変化をも丁寧に追っています。

  • 平安時代末の『満佐須計装束抄』

  • 室町時代応永『女官飾鈔』

  • 室町時代天文『曇華院殿装束抄』

こうした資料をもとに、装束の色合わせがどのように変化していったのかを比較できる点も大きな魅力です。


ページをめくるたびに、「色」というのはただの視覚的効果ではなく、自然や時間、文化を映す鏡であることを実感しました。
春には淡い桜や若草を写し、夏には涼やかな青や白を重ね、秋には紅葉を思わせる色合い、冬には雪や氷を思わせる清らかな配色……。

現代のファッションコーディネートにもつながる発想でありながら、そこに「自然との対話」という深さが加わっているのが平安美の真髄でしょう。


まとめ

『かさねの色目 平安の配彩美』は、色の文化史を知りたい方や、日本の伝統美に関心のある方にとって格好の資料です。
単なる学術的なまとめではなく、ページごとに「色が生きている」ように感じられる一冊でした。

この本を通して、自分の服や写真の色合わせに「季節感」や「意味」を込めてみたい、そんな新しい視点を得られました。


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