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最近、気になるレンズで中古品の在庫が本当にない──名玉は海外へ持っていかれているのか

最近、中古レンズを探していて、明らかに在庫が少なくなったと感じる。

以前なら中古カメラ店を何店舗か見れば、少なくとも数本は候補が見つかった。価格や状態を比較しながら、ゆっくり選ぶこともできた。

しかし今は違う。

気になるレンズを検索しても在庫がない。あったとしても、カビやクモリ、AF鳴き、外観の傷など、何かしら不安を抱える個体ばかりである。

これは単なるタイミングなのか。

それとも、日本の中古レンズは海外勢に持っていかれているのだろうか。


国内向けに出品しても海外へ売れていく

現在は、海外の購入者が日本の中古品を買いやすい環境が整っている。

国内の中古カメラ店だけではない。ヤフオクやメルカリの商品も、代理購入サービスを利用すれば海外から購入できる。

出品者側は、日本国内の指定住所へ発送するだけでよい。その先で商品が海外へ転送されるため、国内向けに販売したつもりの商品が、実際には海外へ渡っていることも珍しくない。

円安も大きい。

日本人から見れば高くなった中古レンズでも、海外から見れば割安に映る場合がある。特に状態のよい日本製レンズは、海外のカメラファンから見れば魅力的な商品である。

国内の中古市場だけを見ていると分かりにくいが、実際には世界中の購入者と在庫を取り合っているのである。


特に消えるのは代わりがないレンズ

在庫が薄くなりやすいのは、現行の一般的なズームレンズではない。

生産終了したソニーツァイス、AマウントのPlanarやSonnar、Distagon、CONTAXのツァイス、旧型の高級単焦点などである。

これらのレンズには、現行レンズでは完全に代替できない個性がある。

最新レンズのように、開放から隅々まで鋭く解像するわけではない。しかし色の乗り方、立体感、ボケの質感、ハイライトの残り方などに、独特の魅力がある。

ミラーレスカメラとマウントアダプターが普及したことで、古いレンズも再び使いやすくなった。

新品は増えない。しかし使いたい人は世界中に増えている。

当然、良品から市場から消えていく。


SAL85F14Zのようなレンズは待っても増えない

最近気になっているのが、ソニーAマウントのPlanar T* 85mm F1.4 ZA、SAL85F14Zである。

ツァイスらしい色と立体感を持ち、85mm F1.4という王道のポートレートレンズである。

現代の85mmレンズと比べれば、AF性能や開放時の解像力では不利な部分もあるだろう。しかし、写真全体から漂う雰囲気には、このレンズならではのものがある。

問題は、中古在庫が驚くほど少ないことだ。

在庫が見つかっても、価格が高い。安い個体には、AF鳴きやクモリ、コーティングの傷など、何かしら理由がある。

以前なら、次の入荷を待つという選択ができた。

しかしSAL85F14Zのような生産終了レンズは、待ったところで新しい個体が補充されるわけではない。

市場に残っている本数は、基本的に減っていく一方である。


在庫がないのではなく、良品がない

現在の中古レンズ市場で起きているのは、単純な在庫不足だけではない。

本当に少なくなっているのは、安心して買える良品である。

カビなし、クモリなし、AF異常なし、外観も良好、付属品もそろっていて、価格も極端に高くない。

そのような個体は、出品された瞬間に売れてしまう。

結果として検索画面に長く残るのは、何かしら判断に迷う個体になる。

安いと思ったらAF鳴きがある。外観がきれいでも小クモリがある。付属品が欠けているのに、良品とそれほど価格が変わらない。

中古在庫は存在していても、実質的には選択肢がないのである。


安い問題個体より、相場通りの良品

以前の中古レンズ探しでは、できるだけ安い個体を見つけることに意味があった。

しかし現在は、少し考え方を変えたほうがよいのかもしれない。

相場より1万円安い問題個体を買うより、相場通りでも状態のよい個体を選ぶ。

特にAF駆動系に不安がある古いレンズは、購入後に修理できるとは限らない。メーカーの修理受付が終われば、故障した時点で使えなくなる可能性もある。

安く買えたとしても、すぐに不具合が出れば意味がない。

状態のよい個体に少し多く支払うことは、割高ではなく、残された使用時間を買うこととも考えられる。


世界規模で名レンズの回収が始まっている

中古レンズが減っている理由を、すべて海外勢の購入だけで説明することはできない。

国内でも、最新レンズの解像力競争に疲れ、古いレンズの描写を再評価する人が増えている。

動画やSNSをきっかけに、過去の名玉が再発見されることもある。

軽量なミラーレスボディに、昔の個性的なレンズを組み合わせる楽しみ方も定着した。

海外流出、国内での再評価、円安、生産終了、修理対応の縮小。

これらが重なり、良品の中古レンズが急速に減っているのだと思う。

SAL85F14Zのようなレンズは、待てば安くなる商品ではない。

次の良品がいつ出るか分からず、出たとしても価格が下がる保証はない。

今起きているのは、単なる中古在庫不足ではない。

世界中のカメラファンによる、日本に眠っていた名レンズの回収なのである。

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