写真と風土、その「味わい」をめぐる旅『写真』Sha Shin Magazine vol.4「テロワール/Terroir」
2023年7月20日に発売された『写真』vol.4「テロワール/Terroir」は、ただの写真雑誌ではありません。
それは、土地と人とのあいだに流れる見えない空気や湿度、匂いや音までも、紙の上に封じ込めようとする試みです。
編集長・村上仁一氏が巻頭言で語るように、たとえ現代社会が加速度的に変化しても、人間が有機的な生命体である限り、人と土地、人と人は交感し続けます。その交感の記録こそが、ここでいう“テロワール”であり、写真はその語り部となります。
巻頭を飾る石川竜一の新作
沖縄を拠点に活動し、木村伊兵衛写真賞を受賞した石川竜一。
彼の新作は、風景の中に潜むざらりとした質感や、人の暮らしの体温を感じさせるもので、まさに「土地の手触り」を視覚化しています。インタビューでは、その視線の背景にある土地との関わり方が語られ、作品がより立体的に響きます。
多彩な作家と多層的な視点
笹岡啓子、田附勝、中井菜央、山口聡一郎、田代一倫、北井一夫といった写真家が、それぞれの土地でとらえた瞬間を持ち寄ります。
都市と地方、海と山、暮らしと記憶――同じ日本であっても風景の表情は驚くほど異なり、そこに住む人々の息遣いまで聞こえてくるようです。
思考を深める論考と対談
伊藤俊治 × 石川直樹の「秋田 その風土と世界性」では、ローカルとグローバルの交差点を探ります。
大西みつぐ、タカザワケンジ、山田裕理による座談会は、写真が社会や文化とどう結びつくかを多角的に掘り下げます。
飯沢耕太郎の時評や、KYOTOGRAPHIE 2023のレポートなど、現代写真の潮流も押さえられています。
「味わい」を残すということ
“テロワール”はもともとワインの世界で使われる言葉ですが、この号ではそれを写真に置き換えています。
レンズを通して切り取られた土地の空気は、撮影者の記憶や身体性と混じり合い、唯一無二の味わいを生みます。
この雑誌は、単に写真を見るためのものではなく、土地と人の関係をもう一度、自分自身の感覚で味わい直すための本だと感じました。
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