『写真 Sha Shin Magazine: ゴースト Ghost (vol.6)』——写真という“幽霊”を見つめる試み
雑誌『写真』の第6号が掲げたテーマは「ゴースト/Ghost」。
目には見えず、触れることもできないけれど、確かに存在を感じさせる“何か”。
本号は、その不可視の存在と写真の関係を多角的に探る一冊です。
写真は幽霊に似ている?
巻頭言では、デジタル全盛の現代において、写真は複製や転移を繰り返し、あらゆる媒体に憑依する存在だと述べられます。
物質としての写真が薄れていく一方で、記憶や観念の形をまとって現れる写真。
それはまるで“幽霊”や“霊魂”のようであり、見えないからこそ不気味で、そして惹きつけられる——そんな視点がとても新鮮でした。
作家陣が描く「不可視」の世界
巻頭を飾る志賀理江子「霧の中の対話」では、宮城県牡鹿半島の山中で食猟師と交わした時間を通して、目に見える風景の奥に潜む気配を写し取ります。
阿部淳、岩根愛、苅部太郎、永瀬沙世、吉野英理香、百々俊二らの作品も、直接的な“霊”の表現ではなく、見る者の記憶や感情を呼び起こす「余白」を感じさせます。
写真評論と歴史の交差点
大山顕による「心霊写真は死んだのか?」は、かつて人々を熱狂させた心霊写真ブームと現代の写真文化を比較し、写真の物質性や信憑性が変化した背景を分析。
浜野志保の心霊集合写真研究や北桂樹の現代写真論も、写真の「見えるもの/見えないもの」という二重構造を浮き彫りにしています。
新たな才能と記憶の断片
特集内の須田一政「Temptation + 私の写真と記憶についての断片」は、過去の作品と記憶の断片が交差するような濃密なページ。
さらに、ふげん社写真賞グランプリを受賞した浦部裕紀の作品も収録され、新たな視点を提示しています。
本号は、写真を「幽霊」に例えることで、作品の裏に潜む記憶・感情・観念に光を当てています。
単なる心霊テーマではなく、写真というメディアそのものの本質を問う内容でした。
見えないものをどう捉えるか——その試みは、写真だけでなく、私たちの“見ること”の態度をも揺さぶります。
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