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SAL50F14Zの中古在庫が、静かに少なくなっている

ソニーAマウントの「Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM」、SAL50F14Zの中古在庫が少なくなっている。

少し前までは、中古相場で7万円前後という印象のレンズだった。

もちろん状態や付属品によって価格差はあったが、探せば6万円台後半から7万円台前半で見つかることもあり、Aマウントのレンズとしては比較的手を出しやすい時期があった。

しかし、最近は少し雰囲気が変わってきた。

7万円台後半の個体が増え、状態のよいものは8万円台へ入っている。現在、メルカリには状態がよいとされる個体が95,330円で出品されている。

マップカメラでも、コンディションに難のある実用品が7万円台後半、比較的きれいな個体になると8万円台後半という水準が確認できる。もはや「Aマウントだから安い」と簡単には言えない価格になってきた。


値上がりというより、在庫が出てこない

SAL50F14Zについて感じるのは、人気が急激に爆発しているというより、そもそも中古市場へ出てくる本数が少ないことである。

Aマウント全盛期の定番レンズというほど大量に普及した製品ではない。

発売日は2013年7月26日。メーカー希望小売価格は当時164,850円で、Aマウント用の高級標準レンズとして登場した。発売前には予約が予想を上回り、生産が追いつかず、発売が延期された経緯もある。

その後、ソニーの主力は急速にEマウントへ移っていった。

2013年以降にもAマウントレンズの更新は行われたが、確認できる主な新製品は70-200mm、70-300mm、24-70mm、16-35mmなどのズームレンズである。SAL50F14Zは、新規設計されたAマウント単焦点レンズとして、実質的に最後期の一本だったと考えられる。

つまり、生産期間や販売本数が限られていた可能性が高く、今後、中古在庫が急に増えることも考えにくい。

状態のよい個体から市場から消えていくタイプのレンズである。


AFが使える、少し古いソニーツァイス・プラナー

SAL50F14Zの魅力は、単に「希少なAマウントレンズ」であることではない。

AFが使える、少し古い世代のソニーツァイス・プラナーである。

レンズ内にはSSMが搭載されており、Aマウントボディではもちろん、対応するEマウントボディとマウントアダプターを組み合わせればAF撮影も可能である。

オールドレンズのような雰囲気を求めながら、完全なマニュアルフォーカスにはしたくない。そんな人にとって、この立ち位置はかなり珍しい。

少し古い光学設計の味わいと、AF撮影の実用性を両立できるからである。


「Eマウントにも50mmプラナーがある」では終わらない

ここで、

「EマウントにもPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAがあるではないか」

と思う人もいるだろう。

しかし、AマウントのSAL50F14Zと、EマウントのSEL50F14Zは、名前が似ているだけで光学系はまったく別物である。

Aマウント版は5群8枚構成。Eマウント版は9群12枚構成となっている。

レンズ構成を見比べるだけでも、単純なマウント変更版ではないことがわかる。

Eマウント版は、高画素センサー時代に合わせて収差を抑え、画面全体で高い解像力を得る方向へ設計された、現代的な標準レンズである。

開放からシャープで、コントラストが高く、細部まで明確に写る。その性能は間違いなく優秀である。

一方、Aマウント版は構成が比較的シンプルで、現代レンズとは少し違う像の作り方をする。

もちろんSAL50F14Zも、発売時には高い解像力とコントラストを特徴として紹介されたレンズである。非球面レンズを2枚採用し、防塵防滴に配慮した金属外装の高級レンズだった。

ただし、現在の基準で見ると、何もかもを均一に整えるタイプのレンズではない。

ピント面の存在感、前後のつながり、コントラストの立ち上がり方など、少し古いツァイスらしい立体感を期待できる。

同じ「50mm F1.4 ZA」「Planar」という名前でも、選ぶ理由は違うのである。


Eマウント版の代用品ではない

SAL50F14Zを探している人は、単に安い50mm F1.4を探しているわけではない。

小型軽量さだけを求めるなら、ほかにも選択肢はある。絶対的な解像性能を求めるなら、最新の50mmレンズを選んだほうが合理的である。

それでもSAL50F14Zが欲しくなるのは、この時代のソニーツァイスにしかない写りを、AFで使いたいからだ。

現代的な高性能レンズへ置き換えられる存在ではない。

Eマウント版を持っているから不要になるレンズでもない。むしろ両方を所有して、撮影する被写体や求める雰囲気によって使い分ける意味がある。

Eマウント版は現代のプラナー。

Aマウント版は、少し古い時代の空気を残したプラナー。

同じ名前を持ちながら、見ている方向が異なるのである。


10万円に近づいてから探すことになるかもしれない

中古レンズの価格は、必ずしも一直線に上昇するものではない。

一時的に安い個体が出てくることもある。傷のある個体や、付属品が欠けた個体であれば、相場より安く購入できる可能性もある。

しかし、SAL50F14Zについては、安い個体が大量に補充される状況ではない。

以前は7万円前後だったものが、徐々に7万円台後半へ移動し、8万円台が珍しくなくなっている。状態のよい個体には、すでに9万円台の価格が付けられている。

これは一時的な値上がりというより、中古在庫が減少する過程で価格帯が一段ずつ切り上がっているように見える。

「また7万円くらいで出てくるだろう」

そう思って見送っているうちに、次に状態のよい個体が出てきたときには、10万円に近い価格が当たり前になっている可能性もある。

SAL50F14Zは、誰にでも必要なレンズではない。

しかし、少し古いソニーツァイスの描写が好きで、AFで使える50mmプラナーを求めている人にとっては、代わりを探しにくい一本である。

Aマウントだから安く買える時期は、静かに終わり始めているのかもしれない。

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