見出し画像

【創作小説】オルヴェリィ_光の記憶 特別編① 初めてのクリスマス

 エリーがやってきて、初めてのクリスマス。

 十二月の中頃から、エリーはどこか浮き立っているようだった。

 ある日、一緒に買い物へ出かけたとき。エリーは店先をきょろきょろと見ながら歩いていた。どの店もクリスマスグッズが前面に並び、ツリーも飾られている。

「アージェルの国では、クリスマスってどうやって過ごすの?」

「自分の国では、家族で過ごしますね」

「この国は違うの?」

「家族でも過ごすと思いますが……どちらかというと、恋人同士で過ごすように促されてる感じがします」

「そうなんだ……」

 エリーは少し考えるような顔をして、また尋ねた。

「アージェルはこの国に来てから、どんなふうにクリスマス過ごしてたの?」

 興味津々のエリーに対し、折原は淡々と答える。

「……特に“過ごす”っていうのは無いですかね。生守さんとラボで、ケーキとチキンを食べたりしてました」

「……そうなんだ」

 納得したような、納得していないような表情で、エリーは折原の隣を歩く。

「アージェル、今回のクリスマスは家に帰ってくる?」

「……一緒にケーキ食べますか?」

 折原のさりげない提案に、エリーの顔がぱっと明るくなる。

「うん! アージェルとクリスマス過ごしたい!」

 折原の腕に、自分の腕を絡ませて喜びを表現する。

 ――エリーはチョコケーキが好きでしたね。注文しておかないと

 折原は、ケーキとチキンの手配をしなければ、と頭の中で段取りを組み始めていた。

ここから先は

1,947字 / 2画像

¥ 300

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この場所は、静かに物語を置くための場所です。 応援チップは、執筆時間と創作環境を守るために大切に使わせていただきます。 もし作品が心に残ったなら、そっと灯りを分けてもらえると嬉しいです。