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VCが注目する成長ドライバー「パートナーチャネル」とは──スタートアップが共創で市場を切り拓く方法【ジャフコ グループ株式会社・上原晶】

ジャフコ グループ株式会社 投資部の上原です。
ベンチャー投資部門にて、シードおよびアーリーステージのスタートアップ企業を中心に、投資先の発掘、投資実行、投資後の支援業務に携わってきました。日々、起業家の皆さんと向き合う中で、「良いプロダクトを作ったのに、なぜ売上が伸び悩むのか」「シリーズB以降、成長カーブをどう描けばいいのか」という相談を受けることがあります。

今回は、私の投資担当先の一社であるパートナープロップさんから機会をいただき、私たちVCがスタートアップの成長チャネルをどう見ているかについてお話ししたいと思います。
特に近年は、従来の営業・マーケティング手法に加えて「パートナーチャネル」が成長ドライバーとして注目されつつあります。今回は、JAFCOでの支援経験や具体的な事例を交えながら、その理由や実際の活用方法についてご紹介します。

VCはスタートアップの「成長の蓋然性」をどこで見ているか

私たちJAFCOは、50年以上の歴史の中で数多くの投資と支援を行ってきました。その中で、スタートアップの将来を見通すための視点は多岐にわたりますが、私がグロース(成長)の観点で特に重視しているのは「市場へのアクセス方法(Go-to-Market)の再現性と拡張性」です。
創業初期は、起業家自身の熱量やネットワークで「最初の商談」を作り出し、売上を作ることができます。しかし、組織が拡大し、上場を見据えるフェーズになると、属人的な営業だけでは限界が来ます。

市場の大部分を占めるマジョリティ層を攻略するには、「熱量」だけでなく、広範な顧客接点と信頼が必要です。
「誰が売っても売れる仕組み(再現性)」と、「自社のリソースに比例せずとも市場を広げられる仕掛け(拡張性)」を持っているか。これこそが、成長の壁を突破し、大きな成長を描けるかどうかの分水嶺になると考えています。

シリーズ別の「壁」とチャネル戦略

シリーズAまでは、いわゆるSLG(Sales-Led Growth)、つまり自社の営業リソースとマーケティング費用を投下して、顧客を一件ずつ獲得していくモデルを中心に、PMF(プロダクトマーケットフィット)を証明することが一般的です。
しかし、シリーズB以降へ進もうとすると、多くのスタートアップが「30人の壁」や「CPA(顧客獲得単価)の高騰」に直面します。競合も増え、顕在層へのアプローチが一巡すると、自社だけで市場を切り拓くコストが急激に上がるのです。

ここで私が注目するのが、「自社以外の力でいかにレバレッジできるか」という点です。これが、昨今注目されている「パートナーチャネル」や「エコシステム主導の成長(ELG)」という考え方です。

私たちJAFCOも、実はこの「パートナーチャネル」の機能を投資先に対して提供しています。 私たちには数千社にのぼる大企業ネットワークがあり、投資先企業の「営業戦略の検証」や「商談機会の創出」を支援しています。これは、創業間もないスタートアップが、JAFCOという「信頼あるパートナー」を介することで、独力では開拓することの難しい大企業と商談できるようになる、という一つのパートナーシップの形です。

成功事例に学ぶ:「投資」を起点とした深い事業共創

では、実際にパートナーチャネルをうまく活用して事業成長の足掛かりを作っている事例を見てみましょう。ここでは、私のもう一社の投資担当先である株式会社テックドクターさんの事例をご紹介します。
テックドクターさんは、ウェアラブルデバイスから取得したデータを用いて、心身の状態を可視化する「デジタルバイオマーカー」の開発を行うスタートアップです。同社は、医療・ヘルスケアという参入障壁の高い業界において、創業300年を超える大手製薬企業、小野薬品工業株式会社(以下、小野薬品)との強力なパートナーシップを構築しました。

「顧客とベンダー」ではなく「課題を共有する同志」になる

通常、大企業とスタートアップの関係は「発注側と受注側」、あるいは「出資側と出資される側」という上下関係になりがちです。しかし、テックドクターさんと小野薬品さんの事例において特筆すべきは、双方が「共に社会課題を解決する関係」へと昇華させた点にあります。
この連携のきっかけは、私たちJAFCOが小野薬品さんと共に実施したCVC育成プログラムでした。当プログラムを受講した小野デジタル投資さん(小野薬品さんのCVC)がテックドクターさんへの投資を行った後、テックドクターさんの経営陣と小野薬品さんの新規事業担当者が一堂に会するワークショップを開催したのです。

成功の鍵は「弱みの共有」と「共通言語化」

このワークショップで重要だったのは、自社の強みをアピールし合うことではなく、「互いの抱える課題(弱み)をざっくばらんに共有したこと」です。

「課題のすり合わせ」を行ったことで、お互いが補完し合うべきポイントが明確になりました。その結果、その後も毎週のようにディスカッションが行われ、小野薬品さん社内の様々な部門から「テックドクターの技術を活用して何かできないか」という期待が集まる状態、つまり大企業側が自発的に協業を模索する状態が生まれています。
これは、単なる「発注側と受注側」あるいは「出資側と出資される側」の関係よりもさらに深いELG(エコシステム主導の成長)の本質的な姿の一例です。「自社の技術」と「パートナー(製薬会社)の信頼・リソース」を掛け合わせることで、単独では届くことの難しい「創薬・ヘルスケアの革新」という大きな市場にアクセスしようとしているのです。

「契約して終わり」にしないための3つの合意

一方で、「契約書は交わしたものの、結局ほとんど稼働していない」という失敗談も、起業家の皆さんから本当によく聞きます。 この「契約後の死の谷」を避け、パートナービジネスを成功させるためには、リクルーティング(契約)の段階で以下の「3つの合意」を握り切ることが不可欠です。

  1. 共創ベネフィットの合意: 単なる販売手数料(マージン)の話に終始せず、「なぜ両社が組むのか」というビジョンや、パートナーの既存事業・本業に対して自社がどう貢献できるかという「組む理由」を合意する。

  2. パートナープログラムの合意: 精神論ではなく、パートナーが自発的に動きたくなる「仕掛け」としてのプログラムが必要です。「ランク条件(達成すべき目標)」と「ランク報酬(得られるメリット)」をセットで明確にする。

  3. 契約条件/共同計画の合意: 契約締結時に、具体的な活動目標やビジネス計画(いつ、誰が、どのくらい売るか)を意思入れした状態を作る。

そして、これら経営層との合意と同じくらい重要なのが、現場の担当者に対する「イネーブルメント(成果を出すための支援)」です。
経営層が乗り気でも、現場が「売り方」や「売るメリット」を理解していなければ数字は作れません。特に立ち上げ期においては、「パートナー任せ」にせず、ベンダー側が汗をかいてリード選定や商談セットアップを行うなど、「パートナーが最初の成功体験(Early Success)を掴みやすい環境」をお膳立てすることが、後の自走化に向けた極めて重要な投資となります。

おわりに

スタートアップの成長において、自社リソースだけで戦う「SLG」から、周囲を巻き込む「ELG」への転換は、今後ますます重要になってきます。しかし、頭では理解していても、実際にパートナーが自発的に動く仕組みを構築し、運用し続けるのは容易ではありません。多くの企業が「契約はしたものの稼働しない」「誰がどこで動いているのか見えない」という課題に直面するのが現実です。

「パートナービジネスを立ち上げたいが、何から始めればいいかわからない」 「既存の代理店網をもっと活性化させたいが、打ち手が見えない」そんな悩みをお持ちの方のヒントになりうるのが、パートナープロップさんの知見だと思います。
同社は、国内No.1の実績を持つPRM(パートナー関係管理)のリーディングカンパニーであり、単なるツール提供にとどまらず、「パートナーが売りたくなる仕組み」を科学的に構築するプロフェッショナル集団です。「30人の壁」や「CPA高騰」といった成長の壁を突破し、非連続な成長を描くためのパートナー戦略。その第一歩として、ぜひ一度、パートナープロップに相談してみてください。同社の知見が、皆さんの会社の成長を加速させる強力な武器になるはずです。

出典:& JAFCO POST「前例のないCVC育成プログラムを事業会社×ジャフコで実現。投資の先にある『投資先との事業創出』を見据えて


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